第二章・プロローグ〜魔女との対談
さて、第二章開幕です
今自分が
日常と思っている日々が
いつまでも続くことが一番
非日常なのかもしれません。
△▽
陽気で暖かな午後の陽射しを浴びながら紅茶を飲む。
そんな平民の女の子なら憧れそうなシチュエーションだが、生憎、俺は目の前に座っている女性がいることで少々不機嫌になっている。
「そんなに睨みつけないで下さいよ、ほら、ケーキもありますよ」
目の前の女性は俺の視線をまったく気にしないでいけしゃあしゃあと言いながら、こちらにケーキの皿を置く。
「……それで、ご用件はなんでしょうか、学園長?」
そう、目の前に座っている派手なドレスを着た……グラマーと表現するのが的確な女性は、ギルバート達が通っている学園の学園長である。
「まったく、可愛げがないですねぇ、そう思いません?」
俺の後ろで控えているメイド……俺が貴族から成り下がっても、唯一俺に仕えてくれているサーシャは眉一つ動かさないで「……」とした沈黙を保っている。
「……やれやれですね、主人が主人なら、召使も召使ですか……」と溜息を吐いた後、学園長は真面目な言音で切り出した。
「さて、本題に移りたいと思うのですが、良い話と悪い話と謝罪、どれから聴きたいですか?」
……普通に考えたら
「謝罪、でしょうか」
「やっぱりそうですか……」と、学園長は呟きながら、頭を俺に下げる……勿論、貴族らしく。
「今回の件、こちらの教職員の管理が甘かった故に生徒を危険に晒してしまって申し訳ありませんでした」
「……なぜ」
俺に? という前に遮られる。
「貴方に『お願い』した警備の域を今回は明らかに超えてました。特に犯人の捕獲は我々がやるべき仕事でした」
「対応が遅れたのは仕方がなかったことだろう?」
「はい、しかし、結果は変わりません。
ですので、お詫びとして____」
そう、この時俺は、いや、俺達は勘違いしていた。
または忘れていたと言っていい。
学園長が素直に謝ることがおかしいと、素直にお詫びなんて出すなど異常だと。
俺達はこの時点で、お詫びの意味を考えなければいけなかった。
そしたら、結果はもっと変わっていたかとしれない……。