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〜翡翠の彼、瑠璃の彼女〜  作者: 狼×狐
第一章・翡翠色の眼/瑠璃色の瞳
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9・作戦開始

 正直、俺はこの作戦が最善だとは思っていない。


 なぜかというと、囮を完璧に無傷の状態のままで事件を解決することができない可能性があるからなのである。


 ではなぜ受けたか。それは彼女が____シャノンが、断っても自分一人で無茶をする可能性があると思ったからなのである。


「私が、犯人をおびき出す囮になります」と言った時の彼女の目、死を覚悟した者とまではいかないが、簡単には意見を曲げない決意をした者の目だった。


 ……しかたない。


 それに、よく考えてみればそれ位しか作戦が無いのも事実。外部からの犯行なら一回一回、騎士の警備網を突破してることになり、内部の犯行なら、特定は難しい。


 やはり現行犯で捕まえるしかない。






 だけど



「……本当にいいのか?」


「え?」


 シャノンが手でイヤホンを弄んでいたのを止める。


「今回の作戦、あんたも理解してるだろ? あの二人がなんで反対したか」


「それは……わかるけど、それでも、やっぱり私がやらなくても誰かはやらくちゃいけないと思う。だったら被害がこれ以上広まらないように早くしたほうがいいでしょ?」


「……」


 正論だ、だから俺は反対しなかった。


 だけど、やはりもう一度あの切り裂き魔と遭遇するかもしれない、ましてや、襲われて怪我を____最悪、死んでしまうかもしれないのに、気丈に振舞っている様に俺は、逆に心配になる。


 自分がこんなに何を心配してるのかはわからないままだが____。











「……来たな」

 

 シャーニッドが。


「……今の言い方だと誤解を受けますよ……」


「……すまない」


 自分でも悪かったと思っている。


「ギルバード。すまない遅くなった、これを取りに行っていたんだ」


 そういって一振りの刃物を目の前に突き出す。



 それは刀身が逸れていて、両刃では切れないようになっている。



「……それは?」


「これはカタナという武器でね、俺が一番愛用してるんだよ。

 そんなことより……そろそろ時間だよ。シャノンさん、危険な役目を任せるけど、ギルが護ってくれるから、勿論、僕もだけどね」


「は、はいっ!」


 ……シャノンは気づいていないが、シャーニッドの敬語が取れた。

 基本的にシャーニッドは家族と俺以外の人間がいる場合、敬語しか使わない。それがなぜたかは本人には聴いてないから分からないが、やはり貴族としての何かがあるのかもしれない。


 しかし、シャノンがいるこの状況でシャーニッドが敬語を取ったということは


「……なるほどな、認められる才能、か」


「ギル、何か言ったかい?」


「いや、なんでもない」


「そうか、それじゃあ作戦を開始しよう。シャノンさんとギルバートは配置に着いてね」



 こうして、切り裂き魔を捕まえる作戦は開始されたのである。

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