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F.S. Another story.(仮)  作者: 庚至(かのえいたる)
第一話「入学式で一波乱」
4/12

第三章~果てなく続く、主人公の疎外感~

 最近、寒くて目が覚めるようになりました。もう冬だなとか思ってしまいます。ですがこの作品は今は春ですからね! 春うららな入学シーズン! そして夏には水着回が控えていますから!!!

 ……どうでも良いこと言いましたね。それでは第四章、お楽しみください。

 裕也は、呆気なく終わった戦いを見ていくつか思う所があった。

「久しぶりにアイツが戦うの観たけど、小学校の頃よりえげつなさに磨きが掛かってる気がする」

 最後に響介が戦った時っていつだっけ? たしか、僕が見たのは卒業式前ので最後だったはずだ。と考える裕也。

「まぁ確かに。中坊(チューボー)の初めて会った時はもっとマシだったな。喧嘩のやりかた」

 裕也のつぶやきを聞いていたのか、哲也がそう答える。

「最初に喧嘩した(とき)ゃ、不意打ちや騙し討ちのオンパレードだったかんな。今じゃ、挑発して相手をおちょくりながらやってやがる」

「成長しないでいいトコ成長させちゃってるよね、アレ」

 卑怯が進化して変な方向へと行っていた。

「そーおー? 私は頼もしーと思うけどなー」

 京はケラケラと笑って言う。

「そりゃ守ってもらう分はそうだろうけどさ、傍から見てもやっぱり悪魔的と言うか、もう悪役だし……。それに、何処からあんな声変える技覚えたんだろう」

「それなら。響介以上のサド悪魔に聞け」

 ゲンナリとした表情で哲也は言った。

「サド悪魔……?」

「おうテメーら。俺の悪口たぁ、言い度胸してんじゃねーか」

 ビクゥッ‼

 いきなり背後から響介の声が聞こえ、裕也はビクつく。

「……あれ。響介は?」

 声のした方へ向いても響介はいなかった。

「先パイなら、まだ向こうに居ますよ」

 本人はいないのに響介の声がまた聞こえた。

「って、青井さん⁉」

「おーう。やっと気づいたか、少年」

 響介の声で、千歳は言った。

「ちー坊はそういうの、得意だからな。オレも響介もよく騙されてた」

 イヤなものを思い出したときの顔をして哲也はそう言った。

「へ、へぇ。そうなんだ」

「ウィナー……。轟ィイイっ、響介ぇぇぇえええええええええ‼」

 向こうでバカが一人ではしゃいでいる。

「ていうか、自分であれやるって、なんかもの凄く恥ずかしい気がする」

「気にするだけ無駄だろ」

 哲也は呆れたように、ズビシッ! と腕を振り上げている響介を見ながら言った。

「よーしテメエら。オレは今から帰るぞ」

「うわっ‼ いつの間に来たんだよ?」

 さっきまで向こうで騒いでいたのにいつの間にやらやって来る。

「ちょっとまて。あそこで寝て奴はどーする気だ?」

 哲也が香織を指さして言う。

「んなもん。他の役員に任せてよくね? 正直言ってメンド臭ぇ」

「それでは須藤姉弟に任せましょう。彼女、そういうのでしか出番なさそうですし」

 響介の発言にそう答える千歳。

「二人とも、ナチュラルで酷い人だと思う」

「ドSが二人もいちゃ、胸やけモンだな」

「ハッ、言ってろ。サディスティックブラザーズたぁ俺らのこった」

 鼻を鳴らし、そう返す響介。

「変な名前まで付けてるよ」

「止めてください。兄妹なんて、非常に不愉快です」

 千歳が顔を歪めながらそういった。

「ほほう。では、俺の嫁が良い、と」

「いやいや。それはスゴイ解釈の仕方だと思うよ」

 自分の良いように解釈しすぎだ。

「それはそうと、先パイ。何故か周りの方々が数名、自分たちを睨んできていますよ」

「あ? 俺らっつーよか、俺を睨んでねーか?」

 響介はそういって、周りをぐるりと見回す。

「確かに、オレ等は眼中にねーって感じだな。どうせ会長様サマの仇討だとか言うんじゃねーか? あのツルペタ会長、結構人気あるしな」

 我関せずと言った風に哲也が言う。

「テツは会長ちゃんの事が嫌いなんかー? ま、いっか。気にせず行くぞ」

 響介はそう言ってさっさと裏口から出て行こうとする。

 ――サッ

 裏口の前を、三人の人が邪魔するように立つ。

「あ~ん? 何だテメェら。どけ、生皮剥ぐぞ」

 三人に悪役然とした口調で脅し文句を言う響介。

「あんな卑怯なやり方で柳瀬会長に勝って、俺たちが黙ってられると思ったか?」

 三人の一人がそう言った。

「おいおい。それじゃまるで俺がお前らの事分かってるみたいな物言いだな。俺ぁお前らモブキャラの事なんざしらねーよ」

 苛立たしげにそう呟くと、響介は何かを思いついたと言った感じでポンッと手を叩いた。

「あっ、もしかしてアレか。会長ちゃんのファンクラブとか親衛隊とかってやつか? そりゃ悪かったな。お前らのアイドルあっけなく潰しちまってよ。なんならあのまま犯しても良かったんだがね」

 ヘラヘラと笑いながら響介はそう言った。笑ってはいるものの、言葉に刺がある辺り内心すごく怒っているのだろう。

「ファンクラブ云々ではないが、まあ似たようなもんだ」

「そらもう、ファンクラブでイイじゃねえか」

 哲也がすかさずツッコみを入れる。

「へっ。流石は我らがツッコミ担当二号」

 響介は愉快そうに呟く。

「うっせ。誰がツッコみ担当しかも二号だ」

 哲也は響介とは反対に、不愉快そうに言葉を吐き捨てる。

「またまた。本当は嬉しいくせにぃ。ちなみに一号は少年な」

「ちょっと待て! 誰が一号だ⁉」

「おい、俺たちを無視して話を盛り上げるな」

 さっきの人がまた話し掛けた。

「っせーな。どけよ、硝酸のプールに放り込むぞ。ゴラ」

 響介はまた、もの凄い脅し文句を言う。

「断る。あんな卑怯な勝ち方、俺は許さない」

 男はそう言うが、あれは卑怯と言うよりは心理戦である。

「卑怯卑怯って、アレは戦術だ。別に悪ではないだろ」

 哲也が、擁護するように言った。

「そーそー。それに、勝てば官軍、負ければ賊軍っていうだろ?」

 響介が茶々を入れる。

「それに卑怯っつったら、会長様だって卑怯じゃねーか。素手で丸腰のヤツを相手に防具つけて武器持って、こりゃあもう今からシメますよって言ってるようなもんじゃねえか」

 確かにそれは一理あるのだが。

「だが、最初に断ったのはそっちだろ」

 コレを言われたら、もう言い返せない。

「百歩譲ってそこは良いとしても、まず素人相手に剣道ってのがすでに卑怯じゃねーのか?」

「「「うぐっ」」」

 三人同時に小さく唸る。哲也の言葉に言い返せないみたいだ。

「だ、だが――」

「あーもう、コレじゃラチが明かねー」

 男が、何か言おうとした所に、響介が遮るように言う。

「なによりこのままじゃただの水掛け論じゃねーか。もういいどけ」

 そう言って響介は三人を押しのける。三人のうち一人が咄嗟に響介の肩を掴んで止める。

「待てよ」

「あ~ん? 放せボケ。サインはお断りだ」

響介は容赦なく男の顔面に一発入れる。

「ガッ⁉」

 男は勢い余って後ろに倒れる。

「さーて、見せしめに一発やりますか」

 (とど)めとばかりに倒れている男を踏みつけ――

――ブンッ、ガツン!

「あだっ⁉」

 る前に、どこからともなく何かが飛んできて響介の後頭部に直撃する。

「……サン、ダル?」

響介に突撃して落ちた物体を見て裕也はそう呟く。サンダルにはW.C.と書いてある。

「うーい。そこ、喧嘩止めろー」

 やる気のない声が飛んでくる。

中山(なかやま)。今更だな、出てくんの」

 中山修(しゅう)(へい)。裕也たちのクラスの担任である。

「おいおい、呼び捨てするなよ。オッサン、一応は担任だぞ? もう少し敬意ってもんをだな……」

 修平はぼやくように言う。

「いっつ~~~」

 頭を押さえながら響介は立ち上がる。

「あー。今日はこんなんばっかだな。マジ、厄日かなんかか?」

 こっちはこっちで愚痴を漏らしている。

「おう響介。相っ変わらず短気だな」

 そんな響介に修平は親しそうに話し掛ける。

「んあー? ナカちゃん。何でココいんだ?」

 響介もあだ名で呼ぶ。

「って、響介と先生は知り合い⁉」

「黙れ少年」

 裕也のツッコミがダマレの一言で一蹴された。

「それよか中ちゃんよ、今更何で来たん?」

「いや、なんか俺のケータイに匿名で、体育館で決闘やるヤツがいるから立会してくれってメールが来たんだがよ」

 修平がそこまで言うと、響介は千歳を見る。

「……おい」

「知りません」

 あからさまに顔を逸らす千歳。

「しかも、便所でクソしてる途中に来るもんだからよ、時間掛かっちまったよ。ったく、もうちょい時と場所を考えろや」

「やいこのスカトロ野郎。ちゃんと手ぇ洗って来たろーな!」

「当り前田のクラッカーよ。もう大人だぞ? やんねー方がおかしいだろ」

 響介の質問に修平は死語を入れて答える。

「と言うか、響介。お前、学校でくらいは大人を敬え。社会出て苦労するぞ?」

 ダメそうな大人に将来のことを心配された響介。

「心配すんな。敬える大人は敬ってる」

「いや、大人は一応全員敬えって」

 自信満々に答える響介に、裕也はツッコみを入れる。

「ま、それは良いとして。もう終わっちまったし、無駄足、もしくは一足遅かったってとこだな」

 響介は、香織を指さしてヘラヘラと笑いながら言う。

「! ……そうでもないわな」

 修平は、響介の指さした方を見て、少し驚きながらそう言う。

「あん?」

「油断していたら足元掬(すく)われるぞ?」

 耳をほじりながら響介にそう言う。

「何言って……、っ⁉」

 響介は訝しげに後ろを見ると、そのまま横に跳んだ。

 ――ガンッ!

 さっきまで響介がいた所に木刀が勢いよく叩きつけられる。そしてそのままめり込む。

「おぉお~~~。危ねぇ危ねぇ。まさか会長ちゃんがこうも早く目ぇ覚ますとはな。狸寝入りでもしていたのかい?」

 冷や汗を垂らしながら響介は軽口をたたく。

「生憎ね。私は寝覚めが良いタイプなのよ」

 香織は凛とした笑みを浮かべ、そう答える。


――――to be continued――――





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