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F.S. Another story.(仮)  作者: 庚至(かのえいたる)
第一話「入学式で一波乱」
1/12

序章

まあアレです。タイトルきまったんですけど、まだ(仮)はつけたままにしておきます。

――――いらっしゃい。……おや? 初めて見る顔だね。何故わかったかって? そりゃ分るさ。なんせ――私が言うのもなんだけど――こんなコアな店に来る人間なんざ限られているからね。

……え? それで儲かっているか? まぁ、普通の商売なら、儲からないね。これは言わば私の道楽みたいなものだよ。儲かる必要も、儲ける必要もない。それより君は、どうやってこんな店を知ったんだい?

……。

ネットでここの話があったから来た? へぇ、そうなのかい。……全くとんだ情報社会になったものだね。

…………まぁいいか。それで君は、ココがどんな店で私がどういった仕事を生業にしているのかちゃんと知っているのかい?

……。

へぇ。ある程度は知っているんだね。本当に、困った社会になったものだね。……まぁそれは良いとして、そこまで知っていて、よく君はここに来ようとしたものだね?

自分で言うのもなんだけど、こんな店知っていても普通の人なら絶対に来ないし来たがらないよ? 特に、君みたいな年の人なら絶対に、ね。

……。

まぁ、好奇心が勝る人なら来そうだけどね。

おっと。私ばかり喋りすぎたかな。職業柄――あぁ、まぁ職業っていうほどでもないんだけどね。一人で勝手に話をしてしまうんだよね。

……それで、君は私のする話を本当に訊きたいのかい? 途中で飽きて寝ても料金は負けないよ?

…………へぇ。最近は変わった子もいたものだね。良いよ分かった。それじゃ、今回君は初めてだし、私が勝手に物語を選んで話すとしよう。

――――――この世界とは違う、別の世界で生きた少年少女の物語。その断片だ――――――






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






海の上に建てられた、巨大な橋の上を、一台のバスが走っていた。

「しっかし、ムダに派手だなぁ、この学校はよー」

バスの中、後ろから二番目の窓側の席に座る赤髪の少年、(とどろき)響介(きょうすけ)は、バスの中 から見える、これから自分が通うことになってしまった学校を眺めながらつぶやく。

「いやいや、そりゃそうだろ。なんせ、小学生から高校生――別の場所にあるけど――大学までエスカレーター式の無駄に凄い学校なんだからさ」

 その隣で、響介の幼馴染みの杉山(すぎやま)裕也(ゆうや)は妙に機嫌のわるい悪友に向かって苦笑を交えて言う。

「何で説明口調? 違う違う。あんなドでかいモンが何で海の上に浮かんでんだっつー話しですよ」

 響介は裕也を横目で見ながらそう返す。

 これから響介たちが向かっている学校、『岬峰(こうみね)学園(がくえん)』は、街を丸々一つ巨大な浮き島にしたのような学校で、一本の大きな橋といくつかある小さな橋で本土にある港と繋がっている。

そして学校自体は小中高を一まとめにして、さらには『岬峰(こうみね)大学』の付属校で正式名称は『降峰学院(がくいん)高校』という。

 極め付けには、世界中に兄弟校(小中学校だけ)をもつというムダにすごい学校だったりもする。

 そしてもう一つ。この学園は、魔術師や超能力者たちを公的に招き入れ、育成・研究を行っている機関でもある。

(まぁそれはそれとして。……本当に我ながらよく受かったもんだ。おかげで、また三人一緒に慣れたわけだけど)

 心の中で裕也はそう呟く。

 響介たちは小学校をあがる前からの幼馴染みなのだが、家庭の事情などで響介は中学の間は他県の全寮制の私立中学に行っていたため夏休みなどの長い連休の間しか会っていなかったのだが。

 今回、晴れてまた同じ学校を通えるようになった裕也たち。それなのに、

「あ~あ、泣きてぇよなぁまったく。何がイヤかってーとよー。せっかく三時間かけて作りだした俺の人生計画が台無しになった事だよ。こんちくしょう……」

 響介ときたらこの様である。温度差があまりにもあり過ぎる。たった三時間でどんな人生計画を考えついたのか知りたいが、そんな物ではまともに生きてはいけないだろう。

 そんな事を思いながら、裕也は響介になかば予想のついている質問をした。

「そんなにイヤならなんで受検しようと思ったんだよ?」

 そういうと裕也はバスの中を見渡しながらさらに言葉を紡ぐ。

「馬鹿みたいに必死こいて勉強して受かった人やそれでもダメだった人達に失礼だろ」

「お前のほうがよっぽど失礼だと思うんだが……?」

 苦い顔をしながらつぶやくと響介は、ふと思い出したような顔をする。

「そういえば、(みやこ)はどうした? こういう話をすれば真っ先に入ってくるだろ。あいつ」

 そういって後ろのほうをみると、亜麻色の髪を腰のあたりまで伸ばしている本日二人目の幼馴染みの樋川(ひかわ)京が座席の上で、カバンを枕にし、体を丸めてスゥスゥと寝息をたてていた。

 気持ちよさそうに眠っている京を眺め、響介は苦笑を浮かべる。

「なるほど……。おネムですか」

 呆れたようにそう呟くと、響介は京の頬をツンツンとつつく。すると京はくすぐったいのか少し顔をしかめる。それを見て響介は『ウリウリ』と言いながら京の頬たをさらにつつく。

「いやー、春休み開けてからまた一段と、柔らかくなってきた気がするな~。ウーリウリウリ」

 響介は楽しくなったのか、作ったようなへんてこな笑い声を上げると、頬をつつくだけではなく、指先でグリグリとやり始めた。

 京は、今度はイヤそうに少し顔を歪めた。その表情があまりにも可愛らしかったのだろう響介は、次は右の頬をツンプニし、左の頬を指先でグリグリとしだした。

 ここまでイタズラされているのに、京は一向に起きようとしない。ただうなされるように顔をしかめたり、響介の手をふりはらおうと顔を振るだけだった。

「響介。なんか可哀相だからその辺でやめあげなよ」

 裕也は見かねて響介を止めに入った。すると、響介がイヤな顔をして何か言おうとしたとき、

 ――ピンポーン

 軽快な音がバス内に鳴り響いた。

『まもなく、降峰学園につきます』

 とアナウンスの声が響く。

「チ。もちっと京の柔肌を堪能しながら現実逃避してたかったな~」

 いやぁ残念だ。といいながら、響介は京を起こしに入った。ていうか、自分で現実逃避って言っちゃってるよ、この人。

 それからまもなくして、バスは学園の前へとついた。



                      *



 裕也たち、編入生(他行から受験をして来た生徒を指す)や進級生(中等部から来た生徒たちを指す)は、体育館の中でパイプ椅子に座りながら長々と禿頭(とくとう)の学園長の話を聞かされていた。

「ふゎ~~ぁ」

 余りの退屈さについついアクビをしてしまう。

 裕也は気晴らしに周りを見まわすと大半の生徒は船を()いでいた。そして左隣を見ると、京が完全に寝入っていた。

「――――んゅ」

 気持ちよさそうな寝顔を眺め、

(バスから降りたときは遊園地に来た子どものようにはしゃいでいたのに、退屈になるとすぐ眠るよな)

 そう思いながら苦笑すると、次に右隣の席を見る。そこには誰もいなかった。当然ながら欠席者の分ではない。まして一人分間違えて多く置いてしまった訳では決してない。

 この席には響介が座るはずだったが、そこに座っているはずの響介は『ちょっと野暮用があるから』と言い残すと始業式の開始早々にストライキした。

 体育館内にいる教師達は、何故か誰一人として響介が抜け出すのに気付かなかった。

「ハァ……。どうせだれも来そうにないところで昼寝でもしているんだろうな」

 周りの人に聞こえないように小さな声でそう呟く。

(それにしても長いなぁ。早く終わらないかな)

 そう心の中で呟くと、校長の額にある大きなホクロを退屈しのぎにと凝視してみる事にした。



                      *



 入学式が終わり新入生達は各々の決められた教室へと向かう中、裕也と京もまた共に向かっていた。

「ふゎぁ~……。まらねむいよ~」

 目を擦りながら京は呟いた。本当に眠いらしく、その呟きは全く呂律(ろれつ)が回っていない。裕也はそんな京にツッコミを入れる。

「あんなに寝てもまだ眠いか。まったく、一日に何時間寝れば気が済むんだよ、京」

「えへ~。いついかなる時でも眠れる所存でありますよ~」

 京はそんな文句をものともせず、にへらぁと笑いながら答える。

「……なんか、ホントに京といると退屈しないよね、悪い意味で」

 何故かズキズキと痛むこめかみを押さえながら、裕也は響介にこのマイペース大魔王(女)を引き渡したいと深く思った。

「ふにゅ~。ゆうくん、おんぶ~」

 そういって京がいきなり背中にのしかかってきた。

(って! せ、背中になにかやーらかい感じのものが惜しめもなく当たって……。

だ、ダメだダメだ。幼馴染みで、しかもそーいった関係じゃないんだぞ! そんなやましい事考えちゃダメだ!)

 そんな事を考え悶々としていると、周りから突き刺さるような視線を裕也はビンビンに感じた。

「すぅ……」

 既に寝息を立てている京を感じながら、恐る恐る周りを見てみる。

『何を入学早々ラブコメ展開丸出しでイチャラブしてんだコラ』

 そういった目で大量の人がこちらをねめつけていた。

「はぁ……」

 裕也は、深い溜め息を吐きながら早く響介が来ないかと願っていた。


                     ――――Interface――――


 その頃、響介はと言うと、

「……ここ、ドコよ?」

 完全に迷っていた。


                     ――――Interface――――


 裕也は、羞恥心に耐えながら一つ大事なことに思いだす。

「僕の行くクラスって、どこだろ?」

 すっかり忘れていた。どうやれば自分のクラスが分かるのか知らない裕也は、近くにいた教師に自分のクラスの知り方を聞くために声をかけてみたら、もの凄く変な顔をされた。

「自分のクラスが分からない? お前たち新入生か? ……向こうにある掲示板にクラス分けが表で載ってあるから行ってこい」

 親切な先生だった。おかげで、どの教室が自分のクラスの知り方を分かった。

「えーっと、僕のクラスは……。あっ、あった。……Fクラスか」

 ちなみに京もFクラスだった。

「そうだ。ついでに響介のヤツのも見ておいてやるか」

 そう言って響介の名前を探す。

「……Fクラスには居ない。それじゃ他には、……」

 Eクラスも居ない、Dクラスにも載ってない、CもBもAクラスにもいない。

「アレ? じゃあ響介はどのクラスだ……?」

 まあいいや。載せ忘れか何かだろうし。そう思い裕也は僕で自分のクラスへ行く。

 ――ガラガラ……

 スライド式のドアを開けると、まばらにいたクラスの皆の視線が一斉に裕也に集まる。

 最初は、誰かなといった感じの眼だったのだが、直後それが好奇と羨望と、何故か侮蔑の眼差しに変わった。

 ここに来る途中にも感じたこの視線に、一体なんで僕はそんな眼で見られなければいけないんだと疑問に思う裕也。

「おい、お前」

 何故? と思っていると、一人の少年が話しかけてきた。

「お前、杉山裕也だろ? あの野郎(ヤロー)とよく一緒に居る」

 旧知の友に対するような馴れ馴れしさで少年はそう言う。

(な、何で僕の名前知ってるんだ、この人⁉ しかも、あの野郎って誰?)

 驚き、内心でそう叫ぶ。

「それと、何でお嬢ちゃんが背中で寝てんだ?」

 そういって少年は裕也の背中を指さす。

 そこでようやく、裕也はまだ京が背中で眠っている事を思い出した。

「い、いやあ。その、京……コイツが、眠いって言っていきなり負ぶさってきて……」

 しどろもどろになりながら裕也はそう答える。

(でも、何でこの人は僕や京のこと知っているんだろう?)

 そんな事を思っていると、裕也のことを知っている――しかも一方的に――少年がため息を吐く。

「お前な……。そのツラだと、どーせオレの事、覚えてねぇんだろ? オレは加賀(かが)哲也(てつや)ってんだ。たまに轟と一緒に居るとこで会ってんだろ」

 哲也は呆れたようにそう言う。

「あー! 思い出した。夏休みの時なんかによく遊びに来てたよね。へぇ。加賀君って、ココに在学してたんだ。それとも、僕と一緒で今年入ったの?」

 裕也がそう訊ねると、哲也はクワッと目を見開く。

「か、加賀君とか変な呼び方すんじゃねぇ! 気持ち悪いだろーが」

 鬼気迫る形相で哲也はそういうとガシッ、と裕也の両腕を掴もうとしたが、背中で京が寝ているからか途中で固まった。

「……いいか、今後一切オレの事を加賀君なんて呼ぶんじゃねぇ。呼び捨てにしてくれ。それがムリなら、せめて君付け以外で頼む」

 わかったな? そう言いたげにギラつかせた目で裕也を睨んでくる。何か過去にイヤな事でもあったのだろうかと裕也は思う。

「んーじゃーあ、テッちゃん」

 そんな事を思っていると、京がそう言う。

「おい京、目が覚めたなら下りてよ。コレ結構恥かしいんだから」

「ムニャムニャ……」

 どうやら寝ぼけて呟いたみたいだった。

「って、おわっ! 制服に涎垂らさないでよ、汚いなぁ……」

 何で僕ばっかりこんな目に合わなきゃなんないの? 裕也はそう言いたげに泣きそうな顔をする。

 ――ガラガラ……

「おっ。やっぱもう教室にいたか、少年」

 後ろから、そんな声が聞こえた。

「あ、やっと見つけた。響介、お前今までどこ行ってたんだよ?」

 後ろにいる響介に振り向きながらそう問いただす。何故か響介は同い年なのに裕也の事を少年と呼ぶ。ちなみに裕也はその呼び方をあまり快く思ってはいない。

「はぁっ⁉ なっ、響介! 何でお前がこの学校にいるんだよ⁉」

 すると突然哲也が響介に向かって叫ぶ。

「あ? テツ、テメーこそ何でココにいんだ」

 質問に質問で返す響介。

 何で二人ともこの学校に居る事と来る事を教えてなかったのか。と裕也がそう思っていると、響介は振り返り言う。

「テツと俺は、ちょいとした腐れ縁だ。そこまで仲良いってワケでもねーし、教え合う必要ねーんだよ」

「へぇー、そうなんだ。……って、人の心を勝手に読むな、響介!」

「人の心っつーか、少年の思ってる事がとりわけ分かり易いからなんだがな」

 憐れむような目で裕也を見ながらそう言う。

「お、俺そろそろテメーの教室に戻らにゃならんな。時間的に」

 教室にある時計を指さしながらそう呟くと、響介はその場を後にする。

 入学式サボったやつが今さら何を言う。

「いや、それより響介。教室に戻るって、お前どこのクラスだよ? どのクラスにもお前の名前のって無かったぞ」

「さあ? 特別枠で入ったとかじゃね?」

 響介はあからさまにバカにしたように肩を竦めながらそう答える。

「ま、どーせ後でわかるこった。それまでのお楽しみだな」

 それだけ言うと、僕たちにヒラヒラと手を振って去って行った。

「あの、加賀く……」

「それ、呼び辛いなら哲也でイイ」

 疲れた様に呟く哲也。

(なるほど、それなら何とかできるかもしれない。……なんか今、それだけでできるのかってツッコミが聞こえた気がする)

 気のせいだ。

「えっと。……哲也は、響介とはどういった関係で」

「タダの腐れ縁だ」

 即答&一蹴された。しかも響介と似たような返し方で。

 その話はあまりしたくないらしく、哲也はそのまま自分の席へ戻っていった。

 ――キーンコーン、カーンコーン

 これでお開きとでもいうように都合よくチャイムが鳴り、裕也は寝たままの京を彼女の席に置き自分の席に着いた。

 十分後、ようやく教室のドアが開かれ、人が入ってくる。

「うーい。テメェら全員席着いてっかー」

 ヨレヨレのスーツを着て無精ヒゲを生やした不衛生そうな雰囲気の頭の男が、気だるげにそういって入って来た。

「はいー。今、オレの事汚いと思った奴ら、全員廊下へ出ろー」

 横暴だ。というか分かっているなら身だしなみくらい整えればいいのに。

「冗談はさておき、今からホームルーム始めっぞー」

 こっちのやる気まで持ってかれそうな感じにそういう。

「じゃ、まずは自己紹介からな」

 そういって、生徒に自己紹介をさせる。自分は自己紹介をせずに。


――――to be continued――――

 序章からなんかしらのアクションがある作品って訳じゃないんでこんな感じですかね。でもまあ後からいろいろアクションがあると思いますんでよろしければ、是非!

 そして、ご感想やご意見があればお申しつけ下さい。では、またの機会に。










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