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つまり、私を騙したのね。はい、じゃあ死刑 4

その後、全員で準備を完了して、明日の役割分担を確認。僕と及川は役柄上代役を立てるのが難しいので、休みは少ない(及川は体格的な意味で、僕は存在的な意味で)。お化け屋敷自体の休憩時間くらいしか休みがないが、特にやりたいこともないので、別にいいだろう。

春日井さんはというと受付係で、交代が多いので明日の仕事は少ないが、今まで頑張ってきた春日井さんなのだから当然だろう。

早め早めの準備が幸いして、僕らのクラスは早く解散することができた。というわけ久しぶりにさつきさんと家に帰ることにする。

「緊張するな、耕太。これは明日が楽しみすぎて今夜は寝付けないかもしれない」かわいい人だった。今日はいじめられすぎてさすがの僕でも心が荒んでいたので、さつきさんは何にもまさる癒しとなる。

「寝付けなくてイライラして、寝ている耕太を殴ってしまうかもしれないが、その時は許せ」

「許せるかっ!!」だめだった。いじめられすぎて僕の心はもう不毛の大地だった。

「僕は楽しみというよりも怖いですね。・・・・・・自分がどんな扱いを受けるのか」

春日井さんなんてさっき、被害者の会のメンバーが訪れた時のために、僕に投げ当てる用の石を本気で用意してたし。さすがにそれは良識あるクラスの面々が止めてくれたが、もう僕の肝は冷えたなんてものじゃない、凍りついた。

「お化け役がチワワのように震えるんじゃない!」

「無茶言わないで下さいよ。明日には僕の頭が自分の胴体とこんにちわしてるかもしれないんですよ」

「君はやんわりといったつもりかもしれないが、逆に怖くなっているからな」

「僕が感じている恐怖の100分の1でもわかっていただければ幸いです」

「やれやれ、君ほどの男が何をいまさら恐れているんだか。自分からセルを完全体にしたくせにボロボロにやられてビビってるべ○ータみたいだな」

「そこまで残念なんですかっ!?」

だって、あれは・・・・・・ねえ?

「そういうところがあるから僕はべジー○嫌いなんですよ」

「そうか。まあ、べ○ータも君のことは嫌いだがな」

「くっ・・・」さつきさんの毒舌スキルが上がっている、だと。

これが弟子入りの成果なのか?

10分ほどで家に着き、玄関のドアを開けた。いつも通りつむぎのリアクションはなし。僕は部屋に戻り、鏡を見ると、落とし忘れた血のメイクが口から顎まで滴っていた。

「だから道行く人々が僕の顔見て避けてたのか・・・。ていうかさつきさん気付いてたでしょ!言ってくださいよ!」さつきさんは今日一日テンションが上がっていたから疲れたのだろう、ベッドでごろごろしていた。

いや、いつもごろごろしてるけど。

「馬鹿を言うなっ!君は私の楽しみを奪うというのか!」

そこまで言うのか・・・。じゃあ僕は恥をかく方を選ぼうかな。僕の恥なんていまさら安いもんだし。

「さて、今日くらいはつむぎの手伝いをするか」

最近忙しくて夕飯はつむぎ一人でつくっていたから、時間のある今日くらいは手伝おう。って、いつも僕は忙しくないし、普段からつむぎ一人でつくっていたんだけど・・・。

とにかく、そういう後ろめたさがあって、僕は1階に降りる。

「なに、耕兄。暇なら散歩でもしてくれば」相変わらずの出会いがしらの一撃だった。だがしかし、これくらい普通普通。どこの家でもこんなものだろ。

「何か手伝うよ」

「キッチンには入らなくていいわ。配膳をやって」

「・・・はい」いつの間にかキッチンを聖域にしている妹だった。

主婦はキッチンに他人が入ってくるのを嫌がるって聞いたことあるけど、そんなようなものだろうか。はて、いつから僕の妹は主婦になったんだ?

「明日からだっけ」

箸を並べている僕に突然つむぎは切り出した。明日からってなんだろう。つむぎがキッチンを聖域にする日だろうか。

「文化祭」つむぎはこちらを見ないで味見をしている。多分煮物だろう。また料理のバリエーションが増えたらしい。

シュウ君に毎日つむぎの手料理を食べていると言ったらどうなるだろうか。恨まれることは必至だ。

「ああ、そうだよ。明日は校内だけの発表。明後日は学校を開放して一般の人たちも来るよ」

「あたしも行くことになったから。・・・友達が行きたいって」

「へえ、友達ね。シュウ君とは来ないの?」

と、取り皿を並べながら僕が尋ねるとつむぎはため息をついた。

「はあ・・・。耕兄は中学時代、というか人生で彼女がいないからわからないかもしれないけど、中学生のカップルは堂々と行動できないものなの」

「・・・・・・」戸棚から茶碗を取り出しながら、肩を震わせて必死に涙をこらえる僕。

「まあ、シュウ君も友達と行くって言ってたから会うことはあるかもしれないけど」

「あ、そ」妹からノロケ話を聞かされるとは思わなかった。

まあ、つむぎとシュウ君はぜひ応援したいカップルなので、別に悪い気はしない。

「あたしはどうでもいいんだけど、それでシュウ君が耕兄の出し物も見たいって言ってるんだけど。あたしはどうでもいいんだけどね、耕兄の教室ってどこ?あたしはどうでもいいんだけど」

「いや、そんなに連呼しなくてもどうでもよさは伝わってるから。・・・4組だよ」来てほしくないなあ。だって、あんなんだもの。

「そ、わかったわ。じゃあ、明日行くから」

「だから明日は校内の出し物だからな。金曜日の明日はちゃんと学校に行けよ」

「言い間違えただけよ!」

つむぎは間違いを指摘されて怒ったのか、それから口をきかなかったが、煮物はめちゃくちゃおいしかった。というわけで僕とさつきさんは明日のために活力をもらい、がっつり寝た。ちなみにさつきさんは僕より寝付くのが早かった。




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