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つまり、私を騙したのね。はい、じゃあ死刑 1



「今日は恐らくさつきさんも暇にはならないと思いますよ。いろんなクラスでいろんな出し物の準備してますからね」

翌日、僕とさつきさんが連れ立って学校に行っているとき、僕は言った。さつきさんはとても嬉しそうな顔をした。

「そうか!そろそろ退屈だから授業をぶち壊しにかかろうと思っていたところだ」

「文化祭様様です・・・」文化祭が学校を救った瞬間だった。さつきさんなら校舎ごと壊しかねない。文化祭もこんなふうに学校の役に立てるとは思いもよらなかっただろう。

確かにもともとレクリエーションの意味が大きいけど、それは生徒のためのレクリエーションで、さつきさんのためではないはずだ。

「ふん、しょせん社会はそんなものだな。大多数を中心にすえていていつも私一人だけでは中心においてくれない。なぜだっ!!」

「女王様の拗ね方っ!?」多分マリー=アントワネットでもそこまでのセリフは言わなかったと思うけどな。

「パンがなければ泣いて施しを乞えばいいじゃない」

「ちゃんと庶民の苦しみを理解した上での悪政だ!」性質悪い!最悪だ!

「パンがなければ人から奪えばいいじゃない」

「なにその王妃っ!?自分の国をどうしたいの!?」

「まあ、この言葉通り、王族は庶民によって地位を奪われたわけだな。つまりあの革命はマリー=アントワネットの予想通りだったと言うわけだ。ただ彼女は王族として国と共に滅びようと心に決めていたからな」

「あの傾国の美女にそんな男気が・・・」だったら国が傾くような贅沢な暮らしをやめればよかったのに。・・・って、危ない危ない。さつきさんのつくり話だった。危うく信じるところだった。世界史のテストが大変な事になるところだった。

「あれもいーな、これもいーな(17)が厄(89)を呼んだ、フランス革命。1789年だな」

「好きですねえ、語呂合わせ」しかもこれは普通に使えそうだ。間違えて17万1789年と覚えそうだけど・・・。

「君はどんな未来からやって来たのだっ!?」

確かに果たして17万年後に人類が存在しているかは微妙だ。

「まあ、そうだな。それに17万年続いたとしてもあの革命は長い歴史の中に埋もれてしまうだろうな。歴史とはそう言うものだ。平安時代の貴族は奈良文学を一生懸命勉強していたが、今の君たちにとってはどちらも遠い過去だろう?」

「そういえばそうですね・・・」

人類が積み重ねてきたものはただの積み重ねになってしまう。同じように僕らが生きていたという事実はただの事実になってしまう。二百年も経てばもう誰も僕のことを覚えていない。延々とそれが繰り返される。その中で、僕らは僕らの幸せをつかまなくてはならない。

「ああっ、気分が悪い!!」

最近の癖でついシリアスモードに入ってしまった僕に対してさつきさんがひどいコメントをしたところで、学校の校門が近づいてきた。


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