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平行
気が付くと僕は、舟の上にいた。
父さんと母さんに囲まれて。
ある時、父さんが僕に小さな舟をくれた。
僕はその舟に乗り込んだ。
周りには、平行に走るいくつもの河。
幾つかは合流し、幾つかは分かれていく。
僕は、小さな支流に乗った。
幾つもの小さな支流は合流し、仲間はすぐに増えた。
僕らの先頭には先生がいる。
でも、仲間達と別れの時は必ず来る。
時が来ると、僕らは先生を追い越してそれぞれの支流へ進む。
大きな舟に乗り換えた奴、すぐに同乗者を見つけた奴。
舟が沈んでしまった奴もいるし、滝に飲み込まれてしまった奴もいる。
それでも、僕は幾つもの河を越えて行く。
最愛の同乗者を見つけるために。
そして、小さな舟を造るために。
先の見えないこの河を越えて行く。