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ぱられる  作者: 楸由宇
7/20

輪ゴム

 ある時、私は輪ゴムの内側に、別の世界を見つけてしまった。輪ゴムの輪の内側を覗くと、小さい頃に御伽話で聞いたことがある人や動物や妖怪が、謡ったり踊ったり語り合ったりしていた。

 輪ゴムだから伸ばせば、輪は大きくなり向こう側が見やすくなる。そうして、私は時々輪の向こう側をそっと覗いていた。こちら側の世界で輪ゴムの位置を変えると内側に見えるものも変わることをある時気付いた私は、輪ゴムを広げて腕を輪の向こう側に伸ばしてみた。手に触れた草花を抜いてみる。輪のこちら側に持ってきた花は見たこともないものだったが、それは確かに存在していた。

 これなら向こう側の世界に行けるかもしれない。

 そう思った私は、輪ゴムの中に右腕を思いっきり通してみた。しかし、肩のところで輪ゴムは伸びきって切れてしまった。

 それ以来、私の右腕に誰かが触れるのを感じることが出来るが、私は自分の右腕を見たことはない。

 もう二度と、輪ゴムの内側にあの御伽の国は見えなかったから。

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