3/20
引き出し
ある暇な昼下がり、ベッドの上でぼんやりしていた僕は、部屋の隅で自分そっくりの小人を見つけた。丁度僕の親指くらいの大きさだ。そっと摘んで観察してみた。服装も髪型もなにより顔も自分とそっくりだった。違うのはサイズだけ。
小さな自分の声は小さすぎて聞き取れなかったが、こちらの言うことはわかるらしい。危害を加えないとわかったのか、小さな自分は大人しく机の上に座っていた。
僕は、小さな自分のために机の引き出しを改造してミニチュアの部屋を造った。小さな自分は引き出しの部屋を気に入ってくれたらしい。喜んで部屋の中を動き回っている。
すると突然僕の部屋が動いた。
上を見上げると、天井に開いた隙間から大きな自分の顔が覗いていた。