餌
久しぶりに金魚を買った。
特筆すべきところが無いただの金魚だ。
全部で3匹いる。
餌をやった。
すごい勢いで食べている。
お腹が空いているのだろう。
ぱらぱらと金魚の餌を水槽に撒く。
ぱらぱらぱらぱらぱらぱらぱらぱらぱら。
餌をどんどん食べる。
ぱくぱく食べる。
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく。
ぱらぱらぱくぱくぱくぱらぱらぱくぱく。
気が付けば一昼夜餌を撒き続け、餌を食べ続けている。
ぱらぱらぱくぱくぱくぱらぱらぱくぱく。
既に金魚と一緒に買ってきた餌は無くなった。
食卓の上にあった食パンを千切って与える。
むしゃむしゃ食べている。
食パンもすぐに無くなり、冷蔵庫から魚肉ソーセージを出してきて与える。
むしゃむしゃ食べている。
ソーセージもすぐに無くなる。
既に3匹の金魚は、水槽一杯の大きさだ。
風呂に水を張り、そちらへ移す。
冷蔵庫から、チーズ、らっきょう、ハム、トマト、人参、合挽きの挽肉、鶏のささみ、冷凍コーンを出してきて与える。
がつがつ食べている。
冷蔵庫から残り全てを持ってきた。
がつがつ食べている。
すぐに無くなった。
家の中から食べるものが全て無くなった。
仕方なく買い物に出かける。
近所のスーパーの肉を全て買い占めた。
戻ると風呂の中には一匹しかいなかった。
あまりのひもじさに共食いをしたらしい。
生き残った金魚は既に風呂を一杯にする大きさだ。
巨大な金魚は、気持ち悪い。
大きな口は、恐ろしい。
買ってきた肉もすぐに無くなった。
泣く泣く飼い猫のチャッピーを与える。
頭からがつがつ食べた。
食べさせるものがもう無い。
仕方なく自分の頭を金魚に与えた。
ばくっ!