表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メゾン・ド・モナコ  作者: 茶野森かのこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/103

4. あやかしの世と人の世3



それからは、いつも通りの朝を迎えた。朝食では、なずなはブロッコリーを切ってレンジで温めただけだったが、それでもちゃんと出来ればフウカは褒めてくれた。子供扱いされているような気がしたが、それでも褒められれば嬉しいし、やる気が出てくるもの。しかし、「そんくらいで甘やかすな!」と、直ぐ様ナツメの喝が飛んできたので、その細やかな幸せの時間は、賑やかな朝へと様変わりだ。

そうして、賑やかさを繋ぎ止めたまま朝食が終われば、あっという間に仕事組を送り出す時間となった。


「なるべく早く帰りますから、気をつけて下さいね」

「はい、ありがとうございます。フウカさんもお気をつけて」

「はい、行ってきます」


フウカを送り出そうとした時、タイミングよくインターホンが鳴った。


「あ、ミオさん達ですよ、きっと」

「ミオさん?」


ミオとは、昨日、春風(はるかぜ)が言っていた、人の世のあやかし達を管理しているというあやかしだ。

フウカがドアを開けると、そこにはスーツをきっちりと着て、白に近い灰色の髪を持った綺麗な顔立ちの青年と、ギンガムチェックの半ズボンにサスペンダー、ふわっとした髪を隠す鹿撃ち帽、まるでシャーロックホームズを思わせる出で立ちの、愛らしい少年がいた。


「おはようございます、ご足労頂いてすみません」

「おはよう、これも僕達の仕事だから気にしないで。それより、お手柄だったね」


灰色の髪の青年が、物腰柔らかに言う、人の良さそうな青年だ。その言葉に、フウカは苦笑った。


「だといいんですけど…」

「大丈夫!僕達がちゃんと皆に言っておくから!」


鹿撃ち帽を被った少年は、胸を張って帽子をくいっと直した。任せてくれと言わんばかりの愛らしい姿に、フウカも笑って礼をいった。


「仕事でしょ?引き止めてごめんね」

「すみません、失礼します」


それから、フウカはなずなに目を向けて、「行ってきます」と、もう一度声を掛けた。「行ってらっしゃい」とフウカを送り出すと、なずなは二人に挨拶をしながらスリッパを差し出した。


「ありがとう、あなたがなずなさんですね」

「は、はい、高野(こうの)なずなといいます」

「話は聞いてるよ、俺はミオ。こっちがナオ」


灰色の髪の青年がミオ、ホームズみたいなコーディネートの少年がナオだ。

ナオはにっこり笑って、なずなの顔を下から覗き込むと、「よろしくね!」と元気良く挨拶する。可愛らしい笑顔につられ、なずなも笑顔で挨拶を返した。

ミオはスラリとした青年だが、ナオは小学生みたいだ。ハクより背が高いので、ハクよりは年上だろうか。


「それにしても災難だったね」

「いえ、皆さんに助けて頂きましたから」

「助かってるのは、こっちもだよ」


ミオの言葉に、なずなはきょとんとしながらも、ひとまず二人をリビングへ促した。

「ミオさんとナオさんがいらっしゃいました」と声を掛けると、春風がソファーから立ち上がり、ハクはマリンの後ろに隠れながらも、キラキラと目を輝かせていた。


「朝早くごめんね」と言う春風に、ミオは人が良さそうに表情を緩めた。


「いえ、それで何か喋りましたか?」

「あぁ。誰かに金と引き替えに騒動を起こしてこいって、指示を受けたらしい。この間、僕達と鉢合わせた火の玉男が彼の兄で、兄の失敗の尻拭いに弟が寄越されたらしい。ここに通うなずな君を襲えと指示を受けたようだ。だが、指示を出した者の正体は、彼にも分からないってさ」


肩を竦める春風に、ミオは眉を寄せた。


「指示役の姿も見てないって事?」

「あぁ、靄にくるまれたあやかしだと言っていた。目の前に指示の紙と札束を出されて、何も考えず手を出したってさ。きっと、火の玉騒動を知って面白がってたんだろ」

「それで、彼はどういう状況?」

「それ以上は聞いても無駄だと判断して眠らせている、術を解こうか?抱えて帰るのも大変だろう」

「暴れませんか?」

「もうそんな気力残ってないと思うよ」


にこりと微笑む春風に、ミオは春風に合わせて笑みを浮かべながらも、少し頬を引きつらせたようだ。

火の玉男に一体何をしたのか、それは神のみぞ知る。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ