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メゾン・ド・モナコ  作者: 茶野森かのこ


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4. あやかしの世と人の世2


「す、すみません!ナツメ君かと思って、」


きっと、服と背格好を見て、なずなの事をナツメだと判断したのだろう、寝ぼけ眼では、確かに間違うかもしれない。

そのまま慌てて洗面所から出ていこうとするフウカに、なずなも慌てて呼び止めた。


「え、こちらこそ、お先にすみません!フウカさんどうぞ!」


呼び止められ振り返ったフウカは、ボサボサの頭をそのまま、顔を真っ赤に染めて、うろうろと視線を彷徨わせている。

その様子に、なずなはきょとんと首を傾げた。

なずなは、今更すっぴんを隠しても仕方ないと、すっかり開き直っているが、そんななずなに対し、フウカはどこか照れくさそうにして、俯きながら頭を撫でつけている。だが、いくら撫でつけても、髪がぴょんと跳ねてしまっていて、なずなはますます微笑ましい気持ちを膨らませていた。


「すみません、その、朝はそんなに得意じゃなくて…」

「え?誰より早起きなのにですか?」

「僕が起きないと、皆の一日が始まらないので」


まるで一家の母親だ。苦笑うフウカに、なずなはそれならばと、瞳を輝かせた。


「私、通いに戻ったら、朝はもう少し早く来ますよ」

「え?」

「料理はまだダメですが上達させます!それ以外もしっかりやりますから、朝はお任せ下さい!そうしたら、フウカさんも少しはゆっくり出来るでしょ?」


フウカには、世話になりっぱなしだ。料理もそうだが、昨夜だって、急いで駆けつけてくれて、ずっと背負って運んでくれた。なずなは、フウカの優しさに救われてばかりだ、もし力になれる事があるのなら、どんな事でも力になりたい。

熱を込めて言うなずなに、フウカはきょとんとしていたが、やがて、いつものように微笑んでくれた。


「ありがとうございます、…よろしくお願いします」

「はい!」


それから、なずなは改めて昨夜の礼をフウカに伝えれば、フウカはいいんですよと首を振って、それからなずなに気を遣わせない為だろうか、フウカは思い出したように今晩の献立の提案をすれば、二人は話に花を咲かせていく。




そんな二人のやり取りを、遠巻きに耳をそばだてていた春風は、うんうん、と、どこか満足そうに頷いていた。


「いい傾向だね」


そんな感想を持たれているとは露知らず。二人は、穏やかに朝の時間を過ごしていた。







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