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斉藤くんに触る安西さん

安西あんざいさん、そこ間違ってる。水兵リーベ僕の船だから、フッ素かな」

「あ、そっか、ありがとう!」


 期末考査前日も、俺と安西さんは勉強会をしていた。明日は化学基礎と国語と家庭科。国語は教えられることも少ないので、化学基礎を勉強することになったんだけど――眠い。テスト前でバイトが終わった後も勉強をしているせいか、あくびの回数が多くなってきている。安西さんに眠気をうつされたんだろうか。


「……ふわぁ」

「大丈夫? さっきからあくびばっかりだけど」

「いや、大丈夫。えっとどこまでやってたっけ」

「ここのページだけど――」


 もう限界。俺はそのまま机に倒れていた。


 ――私の気持ち全然気付いてくれないよね。最近起きていられるのはキミのおかげなんだよ。


「ん……?」


 近くで誰かの声が聞こえてくる。頬のあたりがなぜかこそばゆかった。

 安西さんとの勉強会をしていたはずだけど、寝てしまったのか。あれ、そういえば、どこまでやってたっけ。

どれだけ寝ていたかも分からず、ゆっくり身体を起こすと、向かい側にいたはずの安西さんが隣にいた。


「……えっと、ごめん、勉強会の途中だったよね。ほんとにごめん!」


 勉強会中に寝るなんて、さすがの安西さんでも怒ってるよな。隣にいるってことは起こしてくれようとしていたんだろうし。

 そう思って謝ると、安西さんの顔が次第に赤くなった。


「起きてたの⁉」

「いや、さっきまで寝てたけど?」


 寝ていたから、謝ったつもりだったんだけど……。


「起こしてくれようとしていたんじゃないの?」

「……え? じゃあ、あれは聞こえてなかった? じゃあ、あれをやっちゃったのも……」


 慌てながら安西さんが何かを呟いている。安西さんがこんなに慌ててるってことは、寝ている間に何かあったんだろうけれど。まぁ、安西さんだし、変なことはするはずないだろう。


「何かあった?」

「ううん、何でもないよ。起こそうと思ってて。じゃあ、勉強の続きを始めよっか!」

「そうだね」


 それから時間になるまで勉強会をしていたが、安西さんは目を合わせてくれなかった。

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