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憶えてなかった安西さん

『斉藤くん。A卓さんにこれ持ってってあげて! あとB卓さんのところを片付けて、そのあとは――ア先にお会計してあげて』

「分かりました!」


『こっち生ビール2つね!』

『あ、こっちはさっきと同じやつね』

「……えっと生ビール2つですね。少々お待ちください! そっちはごめんなさい、商品名お伺いしても――」


『おい、さっき頼んだやつ、まだかよ?』

「…………少々お待ちください!」


『兄ちゃん、新しく入ったのかい? 男前やなぁ。男前と言ったら儂も昔バリバリ働いとった頃、モテまくっとってな――』

「………………今日は助っ人で――」


『おろろろろ~』

「お客様大丈夫ですか⁉ ……やばいこっちまで出そう」


『いらっしゃいませ、ありがとうございます~』

「ありがとうございます~」


 って、安西さんに言われてたことと全然違うんだけど!

 

 ~~~


 時は数時間前にさかのぼる。


「お母さん、戻ったよ。今日は助っ人連れてきたから!」


 安西さんに連れられ、俺はお店の中に入った。お店の中は壁際に商品名の書かれた板が立てかけられていて、その近くには有名人のサインらしき色紙が並んでいる。いたるところからお客さんの声が聞こえてきて、繁盛してるのがすぐにわかった。


「あ、戻ったのね杏里あんり。そちらの方は?」


 カーテンの奥に案内された先では一人の女性がいた。ショートボブの黒髪に紅く染まった唇と仄かに染まった頬がで色っぽく見える。安西さんより少し大人っぽくなった二十代くらいの――


「ってお母さん?」

「そうだけど?」


 嘘だろ? お姉さんじゃないのか。どうみても娘がいるとは思えないくらいなんだけど。


「あ、この子はね。さっき偶然道で会ったクラスメイトで。……えっと、名前なんだっけ」


 名前覚えられてなかった。一応クラスメイトで隣の席なんだけどな。


斉藤さいとうって言います」

「あ、そうだった。斉藤くん。思い出したよ!」


 パンッと両手を叩きながら安西さんがにっこりと笑う。

 どうせクラスでも名前覚えられていない方ですよ。


「えっと、斉藤くん。ほんとに大丈夫? 杏里が連れてきたから大丈夫だとは思うのだけど、少し大変よ?」

「いえ、大丈夫です!」


 安西さんが料理を運ぶだけって言ってたしな。それくらいなら簡単にでき――


「じゃあ、今からお酒の注ぎ方を簡単に教えてあげるから。そこからすぐホールに出てもらって、お会計と注文と、あとバッシングを」

「え? あの安西さんから運ぶだけって――」

「じゃあ私、戻るから。頑張ってね!」

「え、あ、ちょっと。安西さん!」

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