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休憩中な安西さん

安西さんとの勉強会を続けることになった俺は、今日もへとへとになりながらバイトを続けていた。


「いらっしゃいませ!」

『あ、兄ちゃんちょっといい?』

「はい、どうかいたしましたか?」

『この店、メニュー多いっすね。迷っちゃいますわ。それで注文なんすけど、まずは、ポテサラ一つとレモンサワー。あ、それと刺身五点盛ってのも、あとは――(何いる? これ? オッケーオッケー) カルピスサワーも追加でお願いするわ』

「分かりました。では少々お待ちください」

『頼んだで』


 関西風の厳ついお兄さんに頼まれて、カーテンをくぐり厨房へと入る。厨房はまちさんが一人、頼まれた料理をテキパキと皿に盛りつけていた。


「町さん、また注文が入って」

「分かったわ。伝票をそこに置いといてくれる? ドリンクは斉藤くんが注いでくれると助かるわ」

「分かりました」

「あ、それと、杏里あんりがもうそろそろ休憩から戻るはずだから、ドリンク持っていったら斉藤さいとうくんも休憩行ってね?」

「いいんですか? こんなに人多いですけど?」


カーテン越しにちらっと店内を確認してみたけれど、どう見ても満席状態。席のいたるところからお客さんたちの笑い声が聞こえてくる。いつ注文が入ってもおかしくない状態だ。町さんもさっきから料理の方を向いて話してるし。


「いいのよ、ルールだからね」

「……分かりました。じゃあ、これ持っていったら休憩行ってきますね」

「いってらっしゃい」


 町さんはそう言って、疲れた表情も見せず、汗をぬぐいながら盛り付けを始めた。

 こうしちゃいられない。町さんが頑張ってるんだ、ドリンクを作って、早く休憩に行かないとだよな。

 俺はドリンクを作り、関西風の厳ついお兄さんの所へ持っていった。


『お、ありがとな』

「料理の方は後でお持ちしますので、少々お待ちください」

『分かった、待っとるわ』

 

 ~~~


「今から休憩?」

「うん、町さんが行ってこいって。今日はやけに忙しいな」


 休憩スペースに入ると、安西さんが声をかけてきた。宿題をしている最中だったらしく、机の上には英語の教科書が置いてあった。


「そうだね。いつもよりもちょっと多いかも」


 そう言いながら、安西さんは教科書を鞄に仕舞い始める。


「キミが戻ってきたってことは時間だよね?」

「……そうっぽいけど、そんなに焦らなくても――」

「じゃあ、いかなきゃね!」


 店内は満席状態。いくら手馴れている安西さんとはいえ、何かあったらいけない。

 そう思って止めようとしたけれど、安西さんがそそくさと店内へ駆けていってしまった。


「あ!」


 心配しすぎだったかな。安西さんなら大丈夫だよな。


「頑張って!」


 俺は小さく拳を握りながら、安西さんを見送ることにした。

 さ、俺も少しだけ勉強をしようかな――


「おい、どうしてくれるんじゃ!」


 そう思った瞬間だった。店内から男性の大声が聞こえてきた。


読んでいただきありがとうございます。


こういうお客さん時々いますよね。


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