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覚醒する安西さん

「よし、全員指定の場所に着いたな。今から班に分かれてカレーを作ってもらうが、危険なことはするなよ。もし怪我をしたり、分からないことがあったりしたら、すぐに近くにいる先生に言うように」


 目的地に着いた俺たちは、全員集められ鷹先の話を聞いた後、班に分かれて、カレー作りをすることになった。机の上にはカレールーや人参、じゃがいもなど、カレーに使う具材の他、火を起こすための炭や木材が置かれている。


「これ、まずは火おこしからだよな」


 そう言って、立橋たてはし君は机に置かれていた薪を手に取った。


「そうだね。マッチもあるし」

「じゃあ、よし……あ、間違えた、斉藤さいとうと立橋に火起こしは任せるけどいい? 私たちはこっちで具材を切っておくから。ね? 安西あんざいさ――」


 天江あまえが隣を向くと、そこには机に顔を隠して寝ている安西さんがいた。

 ついさっきまで起きていたはずなのにもう寝てる。


「……まぁ、私一人でなんとかするから、男子二人で頑張ってよ」

「おっけー、こっちは任せてくれ!」


 というわけで立橋君と火おこしをすることになったんだけど――。


「これ、難しくないか?」

「……そうだね」


 マッチで火をつけて、新聞紙を使い、薪に火をつけるところまではできたのだけど、あまり燃え移っていなかった。


「あおいではいるんだけどな。悪い、斉藤、もうちょい新聞紙足してくれね?」

「わかった。はい、これでどうだ?」

「うん、いい感じだ」

「そっか。天江、そっちは――って、何やってんだ」


 天江は指を切ったのか、人差し指を唇に当てていた。


「ごめん、芳樹。いつもあんまりこんなことやらないから」

「お前、いつもパソコンと睨めっこしてばかりだったもんな。はい、これ、絆創膏。まずはあっちで手を洗ってこい」

「うん、そうする」


 そういって、天江はお手洗いがある方に走っていった。

 どうしよう。他の班は材料の下ごしらえを終えて、カレーを作り始めている。このままだったら下ごしらえも時間かかるな。火おこしは終わっているとはいえ、ご飯も炊かないと――


「どうしたの?」

「安西さん?」


 寝ていたはずの安西さんが起きていた。目をぱちぱちしながらも、首を傾げてこっちを見てくる。


「安西さん、良かった。今、火おこしは終わったんだけど、下ごしらえがまだできていなくって」

「うん、分かった」


 いつも実家のお手伝いをしている安西さんなら、この状況を変えてくれるかもしれない。


「じゃあ、まずは――」

「ごめん、戻った。あれ、眠り姫が起きてる!」


 天江も戻ってきた。これならまだいけるはず。


天江あまえさん、にんじん切って」

「斉藤くんはじゃがいもを」

「……えっと、誰だっけ?」

立橋たてはし! え、俺一応サッカー部に入ってて……そんな名前覚えられずらかったのかな」

「立橋くんは……何しよう?」

「何しようって何?」

「私は他の材料を切っていくから、早く一緒にカレーを食べよう!」


「「「おー!」」」


 ということで安西さんが中心となって、カレー作りをすることになったんだけど。


 ――すげぇよあの班。すげぇ勢いで完成させてるぜ。しかも眠り姫が起きて指示してる。

 ――マジかよ。あの眠り姫が? 寝てるだけじゃなかったのか。

 ――立橋君、カッコいい!

 ――天江さん、料理しているところ映えるな。

 ――眠り姫の隣にいるあの人だれだっけ?


 と、周りが噂するほど、順調に調理が完了し、目の前にカレーが出来上がっていた。


「やっぱり、うまいよ、カレー」


 立橋君はすでに食べ始めている。

 これも安西さんのおかげだな。


「安西さん。今日はありが――」


 働いて疲れたのだろう。隣には寝ている安西さんがいた。


「お疲れ、安西さん」


読んでいただきありがとうございます。


今日はあと2話公開予定です!


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