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安西さんが起きている?

 寝ていた安西あんざいさんを起こすこと五回。ホームルームが終わり、隣でお休み中の安西さんを気に掛けながら、俺は教室を去った。校門を出て、電車とバスを乗り継ぎ向かった先大手アニメショップ。


 発売日に買うのが基本。

 二日目に行って置いていなかった絶望感を一度味わい、謎の格言を信じている俺は、新刊コーナーへと足を向けていた。

 明後日からゴールデンウィーク。休みの日にできるだけ積読を減らしておきたいが、新刊は買っておきたい。


「よし、あった」


 黄色いSの模様の入ったとある文庫の本を手に取ってレジへ向かう。

 平日の夕方なこともあってレジは少しだけ混雑していたが、思ったよりも早く買うことができた。


「さ、今日も読むぞ!」


 重くなった鞄を手に、俺は家へと帰ろうとした。


「あ、そういえばシャー芯なかったんだった」


 予備を買おうとしていたことをすっかり忘れていた。

 ついでだし買いに行こうかな。

 そう思い、コンビニへ向かおうとした時、俺の視線はある方向に吸い寄せられた。


「安西さん?」


 横道から安西さんが現れたのだ。

 起きてるところ久しぶりに見たな。ずっと寝ている安西さんだけど、学校には歩いてきている。入学式のあの時だって――


「いやぁ、杏里ちゃん、よかったよ」

「そうだ、そうだ~」

「ありがとうございます」


 嘘だろ。あの噂って本当だったのか?

 いつも寝ている安西さんは、夜に何かしているという噂が飛び交っている。その中でも男子生徒で有力視されているのが――


「パパ活」


 安西さんの後ろには酔っぱらった二人のおじさんがいた。

 べろべろに酔っぱらっているのか足取りは朧気で、フラフラしている。


「少しついていってみるか」


 クラスの男子達が、安西さんがおじさんたちと会っているところや、お金を貰っているところを見たと言っていたが、勘違いかもしれない。

 とりあえず俺は、安西さんにバレないよう物陰に隠れながら、安西さんを尾行することにした。


「杏里ちゃん、この後どうよ」

「そうだ、杏里ちゃん。おじさんたちがどーんと」

「いえ、大丈夫ですから」

「そういわずに」

「そうだぞ~」


 駅前に着いた安西さんは、おじさんたちに体をベタベタと触られていた。


「このままじゃまずいよな」


 安西さんの噂がまだ本当かは分からない。それで生活してるかもしれない。お節介と言われるかもしれない。それでもさすがにこの状況は放っておけない。


「安西さんから離れてください」


 俺はおじさんと安西さんの間に割って入っていた。


 これでどうだ。安西さんは助かって――


「ねぇ、杏里ちゃん、この男の子は知り合いかい?」

「もしかして、杏里ちゃんの――」

「吉岡さん、違いますから。この子はただのクラスメイトで」

「いやぁ、そうか、そうか」


 あれ? どうしてこんな空気になってるんだ? 安西さんは触られて困ってるはずじゃ――


「いや、君もカッコいいよ」

「え?」


 吉岡さんと呼ばれていたおじさんに肩を叩かれた。


「そうだぞ、おじさんたちこんなに酔って、杏里ちゃんに駅まで送ってもらってるのにな、がはは」


 高笑いするおじさんたちに絡まれながら、俺は安西さんの方を向く。

 安西さんはぎこちない笑みを浮かべていた。


「もしかしてだけど、安西さん、ただ酔っぱらってた人を介抱していただけってことであってる?」


 寝ていたときの穏やかな表情とは違う、ひきつった表情で安西さんは答えた。


「この人たち、実家の常連さんだから」

読んでいただきありがとうございます!


安西さんいったい何者?


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