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勉強できた安西さん

「……十位」


 廊下の壁に貼られているテスト順位が綴られている紙を見て、俺は呟いていた。

 立橋たてはし君が言っていた通り、テスト結果がはられていたので、見に来たけれど。周りにはやはり自分の順位が気になるのか、それなりに人だかりができていた。


「もうちょっと頑張れたかもしれないな」


 数日前には答案用紙は戻ってきていて、点数は把握済みだったが、もう少しで一桁順位だったと思うと何とも言えない悔しさがある。

 順位も見たし教室に戻るか。


 ――嘘だろ? おい、あそこ見てみろよ。

 ――ん、何だよ、あれ、ってマジか? この順位表間違ってるわけじゃないよな? いつも寝てるだろ、なのに俺より順位高いのかよ。


 そう思い、教室に戻ろうとしたら、どこからかそんな声が聞こえてきた。


安西あんざいさん以外にも寝ている人いるんだな」


安西さんほどではないにしろ、授業中に寝ている人はそれなりにいる。ただ、いつも寝ているというほどだ。聞いたことはないけれど、他のクラスにもいるのだろう。


「……そういえば、安西さんって何位なんだったんだ?」


 テスト返却のときも寝ていていたが、一度、起こして取りに行ったときは嬉しそうな顔をしていた。

 よっぽど点数が良かったんだろうけど。


 大きな文字で書かれた順位表を五十位から順にみていく。ちなみに順位は五十位までしか張り出さていない。


 五十位台。そもそもなのだが、ここに名前が載っていたら、クラスの中でも頭のいい方に分類されると思う。

 四十位、三十九位、三十八位、三十七位――。


「ないな」


 三十位台には名前がなかった。だとしたら、もっと上の順位ってことなんだろうけれど。


 ――おい、あれ見たか? あれだよ、眠り姫の順位!

 ――当たり前だろ? ずっと寝てるのにすごいよな。あの噂、絶対嘘だろ。

 ――だよなぁ。こんなの見せられたら、あんな噂、すぐデマだって分かっちまうぜ。


 二十位台に入ったところで、教室に戻ろうとしている三人の生徒からそんな声が聞こえてきた。

 すぐに順位表に目を戻し確認してみると――


「二十五位」


 安西さんの名前が見つかった。


 本当に、すごいな。

 お店も手伝って、お客さんの相手をして、勉強もして、学校では寝ているけれど、相当頑張っているんだろう。


「今度、何かプレゼントでもしようかな」


 迷惑かもしれないけれど、何かをプレゼントとしたら喜んでくれるかもしれない。

 


斉藤さいとうくん、勉強教えて!」

 なのになんで、こんな状況になってるんだろう。

 放課後、俺は安西さんにお願いされていた。

読んでいただきありがとうございます。


テストの成績がよかったのに、なぜ勉強教えてほしいって言い出したの、安西さん!


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