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異世界勇者~それぞれの物語~  作者: 野うさぎ
番外編 トルコ石編集部
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第2話

こんな夢中にさせやがって、好きにさせやがって、ムカツクくらい可愛い。

正直で、いとおしくて、暖かい気持ちにも、さびしい気持ちにもさせてくれる恋を、どうにかしてほしい。

この気持ちを誰か止めてくれ。

僕は愛してる。愛しすぎるぐらい愛してる。湖という一人の男を。

きっと、こいつに振られたら立ち直れないんだろうな。


トルコ石編集部で働く僕は、スーツを来た真面目なサラリーマン。

仕事は手抜きもしないし、職場ではナンパ行為もしたことがない。

隣の隣の県でのナンパをしていても、どこからか噂が広まったもんだ。

僕は最近は誰のナンパもしていない。ナンパなんかしたら、浮気しているようなものだ。

付き合ったら付き合ったらで自由がなくなる。

ナンパもできなくなるし、合コンとか相席居酒屋も行けない。誤解される行為は避けなくてはならない。


この会社は社内恋愛禁止で、ばれたら部署を異動させられるか他の会社に異動を命じられる。

まさか男同士で恋愛しているとか誰も思うまいし、想像の範囲を越えている。

例え湖と歩いていても、カップル成立には結びつかないだろう。

手を繋ぐとかキスをするとか、公の場ではしないしな。むしろ、恥ずかしくてできない。


「なあ、どうしてメールくれないんだよ?」

湖は不機嫌そうだった。

「メール?後から返信しようかなって」

「後からじゃだめなの。きずいたなら、返信してほしいよ‥‥」

たいした用ではない限り、すぐに返信しなくてもいいのでは?

というか、些細なことにメールする必要あるか?

「ひどいよ、岩石」

メールの返信しなかっただけで、そうなるの?

「俺のことが嫌いになったの?」

嫌いになったら、付き合わないって。もう別れてるよ。

「そんなに疑うのか?」

愛はメールの回数とか、記念日とかで決まるのか?

「こわいんだよ‥‥俺を大切にしてくれているかどうか‥‥。

浮気しているんじゃないかって不安にもなる。

仕事も違うし、浮気もできるかなって考えちゃうの‥‥。

仕事している間のことなんかわからないからさ」

言いたいことはよくわかったような気がする。

湖よ、話をわかりやすくまとめるとか、大人ならしてほしいものだよ。


「湖、僕が浮気する程暇だと思うか?」

この間まで相席居酒屋に参加していたし、何の説得にもなってない。だけど、社内では浮気はしてないってことだけでも証明したかった。

「ううん、浮気に忙しくなるかなって」

意味がわからない。

浮気する程暇じゃないって話をしたいのに、浮気で忙しいとかって話に結びつけるとか湖は天然なのか?それとも、僕の質問の仕方が悪いの?

「編集部の仕事は忙しいんだ」

「まず、編集部ってどんな仕事をしてるの?」

そんな質問を気軽にできたな。

湖って働いているんじゃないのか?働いているのなら、編集部じゃないにしても仕事の大変さはわかるはすだ。

「編集部は締め切りに追われる職種なんだ」

「社会人って大体そんなものなの?」

「社会人って‥‥湖も社会人だろ?」

「ううん、バイトしている学生」

確か、湖は僕と同い年のはず‥‥。なら、この年齢で学生とか浪人していたとか、ダブっているのか?にしては、ダブりすぎだし、浪人しすぎな気がする。

「俺、大学院三年生でさ、アルバイトしながら勉強してるの。将来の夢とか高校生の時から決まっていて‥‥。

12月で25歳になるし、普通に考えれば社会人だし、結婚とか考え始める年齢だけど恋愛とかしたことなくて」

「学生だとしても、25ならいろいろと知ってほしいさ。アルバイトしてるなら尚更ね。

知らなくても可愛いのは24までだよ」

「25も24もたいして変わらないよね?」

「僕大卒なんだけどさ、今年で入社は三年目なの。普通に考えて入社三年目で物を知らないとか今まで何をしてたの?となる。

だけど、24は入社二年目だから、まわりもいろいろと親切にしてくれるだろうさ」

「社会人の辛さは社会人にしかわからないかもしれない。それと同じように、学生の辛さは学生しかわからない‥‥。

社会を経験しなければ社会がどうなっているかなんてわからないし、人から聞く話なんてどこまでか本当かわからなくてさ、俺は大学院に入学して良かったのかなと正直思う」

「湖、学生を選ぶにしても、社会人を選ぶにしても、子供じみたことはいつまでも続けてほしくない。

仕事で忙しくても、こうして湖の時間を作っている。これで満足しないのか?

一緒にいられる時間は短いかもしれない。短くても愛はある。

これ以上何がほしい?」

「何もほしくない‥‥。

俺は岩石さんがいない時間に押し潰されそうだった。岩石さんの全てがほしいとか俺は大人になりきれないんだよ‥‥。

俺は自分の感情をコントロールできる程、器用じゃない‥‥。我慢してんだよ‥‥。

会えない時間、価値観の違い、それがあったとしても岩石さんが好きなんだよ。

好きになりすぎるから辛いんだ」

湖は涙を流したから、僕が泣き止むまで背中をさすった。


湖は僕が思う以上に繊細かもしれない。

同い年だけど、湖を弟のように見てあげることにしよう。僕と対等の立場なんて求めた際には、湖が潰れてしまいそうだ。

本当は寂しいはずなのに、何もわかってあげられなくてごめんな。

手離したくない程に僕は恋をしてしまった‥‥。

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