第4話
恋愛って、しちゃうんだよな。
盲目的な恋なんかしたくないし、そろそろ結婚とか視野に入れないと親になんて言われることやら。
戌野さんと恋をして、同じ恋なんかしない。
ホモなんて構うものか。
戌野さんがそのくらい好きだということだから。
戌野さんを振り向かせたい。
だけど、恋のトラウマが足止めとなる。
「もしかして、もしかして好きですか?」
一瞬、ドキッとした。
もしかして、きずいてもらえた?
「この本とか?」
本の話か。
なんだ? 日本語で書かれてないし、かといって英語のようで英語でなさそうだった。
「フランス語で書かれた本なんですよ」
フランス語なんて、わかるわけない。
「昔、習い事でフランス語やっていましたから」
「英語とかにしようと思わなかったの?」
「英語は、高校三年生の段階で、1級まで受かったから…」
「1級!?」
俺とかでも、準1級までしか合格できずに、トパーズ編集部に就職することになったから。
まさか、身近にハイレベルなやつがいるとか想像すらしてなかった。
「実は、好きな人がいて」
一瞬、ドキッとした。
次の瞬間、
「一人の女の子を好きになって」
女の子??
「職場にはいませんけど、大学の後輩を」
大学の後輩?
「どうゆう子ですか?」
と聞くことが精一杯だった。
「去年、一年生で入学したから、今年で20歳になるみたいです」
「はあ…」
「片思いで、いつ告白するのか迷っていて」
恋さえしてなければ、「今すぐ告白しろよ」と言えるけど、言えない。
俺が好きだから、俺だけのものにしたいのに、呆然と立ち尽くすしかなかった。
告白もしてないし、
会社以外の付き合いをしたり、
何も関係性が発展してないのに、
さっそく失恋したとか、
あまりにもシャレにならない。
男同士というだけで、恋愛対象から外れるのかもしれない。
「戌野さんは、どうしたいんですか?」
「告白しようかなと思ってます」
「そうなんですか…」
なぜ、それを俺に言う?
同じ職場の人に聞かないで、
一人で考えて結論出すとか、
同じ大学の友達に相談するとか、
すればいいのに。
「友達なら、好きでいてくれるような気もしますから…。
実際、二人で遊んだり、連絡先も知ってますから」
俺の片思いは、ここで終わりを迎えると思っていた。
あれから、一週間して、戌野さんが、いつもと違うなんとも言えない表情で出社してきた。
「どうでしたか?」
「告白したけど、振られました」
「え?」
話の内容を聞く限りは、向こうも好きそうな感じはするんだが。
「あなたとは、ただの友達としか認識してなくて、好きだなんて思わないとか。
それで、音信不通となり、疎遠になりました」
よく事情はわからないけど、俺の片思いはまだ続くようだ。




