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異世界勇者~それぞれの物語~  作者: 野うさぎ
番外編 ムーンストーン編集部
81/386

第1話

僕は、ムーンストーン編集部の月(名字)。


愛称は「つっきー」。


6月生まれ。




「恋人思い」「勘が鋭い」とよく言われる。


恋愛にも敏感と言われ、大体誰が僕のことを好きかよくわかる。




僕には男同士だけど恋人がいる。


名字は星。愛称は「ほっしー」。


僕は大体誰が自分のことを好きだかわかるし、好きとわかれば告白しに行ける。




僕は何でもわかっているつもりでいた。


ほっしーは無表情で、口数も少ないし、一人で悩みを抱え込むし、親友なんていないし、家族とも打ち解けていない、怒ったりとか泣いたりとかしない、そんなほっしーでも僕ならわかれるって勝手に決めつけていた。




ほっしーは漫画みたいな悲劇的なことや人とは違う出来事を繰り返している。


両親は離婚しているし、一人っ子だし、誕生日は小さい頃から忘れられてしまうし、同性愛者ということを打ち明けられないでいるし、身長は160センチに達していないという低身長症で、左利き。


17歳の時から少女漫画家らしい。


人気漫画家になったのは、18歳になってかららしいが。




ほっしーは、女の子に見える。


背が低い上に中性的な容姿もしているし、声もアルトぐらいは出せるんじゃないかというくらい高い、頼りなかったり、甘えん坊だったり、特技が裁縫やお菓子作りだったり、料理や掃除を趣味としていたり、ピンクや可愛い物が好きだったりとかして、本当は女じゃないかって疑ったこともあった。


ただ20代なのに幼児体型であることは少しだけ気になるが、言葉にしないでおこう。


一応これでも大学を卒業して、わが社のムーンストーン編集部の社員として働いているわけだし、履歴書にも書いてある。


大学の卒業証書も家にあったし、嘘ではないだろう。




ほっしーから同棲しようかという話が出たけど、僕は入社して間もないから貯金もないし、収入もない。


高校の時から稼いでいたバイト代は、全て大学の授業料に使ったため今はもうない。おかげで僕は奨学金を抱え込まずにすんだ。


奨学金返済がない代わりに貯金がないとなると悩ましくなる。


それで同棲とかしたい気持ちはあっても、現実叶いそうにない。


ほっしーも僕より一年入社が早かっただけであって、そんなに稼ぎも貯金もないだろう。もしかしたら、奨学金も抱えているかもしれないしな。




ほっしーは現在編集部である。


漫画家は既に辞めている。大学生活と漫画家の両立が難しいという理由で。


ほっしーの苦手とすることは、両立だ。ほっしーは不器用だから、僕がいつもフォローをしている。


あんな頼りのないほっしーをどうして好きになったのか自分でも疑問に思えてくる。


好きに理論はない。ただ好きだから一緒にいたい。それだけだ。




僕の両親は寛大だ。


大学生の妹も同性愛をしているが、素直に受け入れている。


その代わり、僕の中卒の兄が二股して、彼女二人を家に連れてきても何も言わない。連れてくるだけならまだしも、一人は性感染症、一人は妊娠している。


いくら放任主義でも流石に何か言うと思うんだが、知っていても叱りも褒めもしないのが両親。昔からだ。


だから、僕がいくらほっしーと恋愛しても何も言われないんだろうな。


ただ、ほっしーの両親がどう思うかわからない。




「ほっしー」


「つっきー」


今でも名前を呼ばれただけで胸の鼓動が高まる。心臓が痛くなる。


きっとほっしーも同じだと思うな。


「ほっしーといつまで一緒にいられる?」


ほっしーは自分のことを「ほっしー」と言う。


「いつまでもだ。愛してる‥‥」


「ほっしーも‥‥」


僕とほっしーはソファでキスを交わした。


今は家に誰もいない。


「愛してる‥‥」その言葉をほっしーが欲するなら何度でも言おう。


鈍感なほっしーには言葉が必要なんだよ。


付き合っていても、言わなくては伝わらないことも多い。


ほっしーが一番かりやすい例えになると思うな。


何度でもキスするよ。何度でも伝えるよ。何度でも抱きしめるよ。


それが僕にしかできないことだから‥‥。

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