第5話
この人は何かおかしいなあ。
でも、あの黒いマントを羽織った男の人が、嘘をついているようには自然と思えなかった。
だけど、根拠がないので肯定することも否定することもできないし、そのまま信じることにした。
タイトは好奇心で質問をしていた。
まずクーデレラなんてもの僕も聞いたこともないから。
タイトは黒マントと話が長くなりそうだけど、楽しかった。
僕の家の近くにあるショッピングモールは人が多いし、おいかけることはあっても、さすがにおかしな発言はしないかな。
「あなたは慄胡ちゃんじゃないの」
「久しぶり」
声をかけたのは、慄胡ちゃんが通う幼稚園で同じクラスの亜咲 百合ちゃんだ。
「どうしてここへ?」
「憧れの先輩に誕生日プレゼント買いにきたの」
「先輩って‥‥?」
百合には好きな人がいるらしい。
「ごめん、誕生日なんていちいち覚えてないから」
百合は好きな人のこととなると血液型、身長、誕生日、家族構成などいろいろ知っていたりするかもしれないけど、みんな知らないから。
「明日、好きな人が誕生日だから届けたいの」
「明日って日曜日よね? 幼稚園やってるの?」
「んもう、何言ってるのよ?
直接、家に届けるのよ」
「家!?ということは家を知ってるの?」
「もちろんよ。先輩のことなら何でも知ってるわ、じゃあ、今日はここまでね」
僕と慄胡ちゃんは、百合ちゃんに手を振って別れた。
百合ちゃん、お母さんは一緒じゃないの?
今更ながら、思った。




