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『自動販売機』
全てが煮えてしまいそうな暑い日。
用意した飲み物はあっという間になくなってしまった。
それでもまだ足りない。このままだと倒れてしまいそうだ。
「水でもいいから買わなきゃ……」
すぐそこにあった自動販売機に、ふらふらと引き寄せられる。どこでも冷たい水が買えるのはありがたい。
ボタンを押すと、ガコンッとペットボトルの落ちる音がした。
「あー、喉乾いたぁ」
そんなときに限って、スマホの通知音が響く。
「急ぎの連絡だったら嫌だなあ」
画面を見ながら、取り出し口に手を突っ込んで探る。すると、温かいものに触れた。
「あれ……?」
間違えて温かい飲み物買っちゃった?
とっさに自分の押したボタンを見上げたその瞬間、手を握られた。
「えっ!?」
反射的に手を引っ込める。今の……何?
恐る恐る取り出し口の中を覗くと、そこには水滴のついたペットボトルが横倒しになっていた。
触ると、ちゃんと冷たい。求めていた温度だ。
でも……さっきのは明らかに人間の手の感触と温もりだった。
こんなに暑いのに、寒気が止まらない。私は逃げるように、その場を離れた。