表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫被り娘はヤンデレ彼女を攻略できるのか  作者: ゆる
純真なカノジョ
6/25

邪魔者

「あ、郁ちゃーん!」


と校門前で私服姿の桐生を見つけるなり、手を振って呼んだ。桐生は駆け足で一ノ宮に近づく。

「まだ待ち合わせの20分前だぞ。杏、早いな。」と言うと、


「だって早く郁ちゃんに会いたかったんだもん!昨日の夜、今日着る服決めておいてよかった!」


ほわ〜んと桐生はそんな一ノ宮が可愛くって仕方がなかった。自分と会う為にそんなに悩んでくれるなんて…生きていてよかった…なんて桐生は思っていた。


じー。


その視線に一ノ宮はバッと後ろを振り返るが誰もいない。


「どうしたんだい?」

「い、いや、何となく視線が気になって…。」

「ここには私達以外誰もいないよ。さあ、行こうか。」


と手を差し伸べる桐生に笑顔で手を握る一ノ宮は校門を出て街へと出かけていった。


すると暫くして校門近くの茂みがガサリと音を立てると、そこからカメラを持った柳が出てきた。


「…ふふ、私服姿の杏ちゃんも可愛い…。でも、やっぱり私の選んだ服を着てほしいな。…あ、でもそれだと一度一緒に遊ばなくちゃいけないんだった。…うーん……。」


「なーにしてんの?柳さん。」

「ひょええええええ!!」


突然の信楽の登場に柳は思わずカメラをガシャンと落とす。信楽はそれを拾うと「カメラ…?」と疑問だった。

どうしようどうしよう、信楽さんは杏ちゃんの友達だし、もし私が杏ちゃんを盗撮してるなんてバレたら…!!


「柳さん、カメラ趣味あるんだね。珍しいー。」


と信楽は簡単にカメラを柳に返した。


「……え?…う、うん。」

「何撮ったりするの?」

「ええ!?えーっと、あ、お、お花とか…。」

「そっか!街ん中花でいっぱいだもんな!楽しんでな!」

「し、信楽さんはどこ行くの…?」

「実家、帰ってこいって煩いんだー。」


それじゃあね、と信楽は去っていった。ポツンと残った柳は暫くボーッとしてハッと我に帰る。

早く私の杏ちゃんを見つけなきゃ…!


日が暮れて鴉が鳴いている。

ぐったりとベンチに座る柳はガーンとショックを受けていた。

…あれから杏ちゃんを探したけどどこにもいなかった…とげんなりしていた。

今日は諦めるしかないのかな、と涙目になりながら寮に帰ると、街灯に照らされた一ノ宮と桐生を見つけた。


茂みに隠れてサッとカメラを構える柳に二人は気づかなかった。柳はカメラをズームさせると二人がキスしているところを見てしまった。思わずカメラを落とす柳。手が震える。カメラは草の上に落ちたので大きな音は出なかった。しかし、柳にはそれはどうでもよくて、大好きな一ノ宮が他の人に盗られたのが一番ショックだった。



そして、柳はその場を去った。





『で、どうだった?会長との2回目のデートの感想は。』


その日の夜、一ノ宮は実家にいる信楽と通話していた。一ノ宮は濡れた髪を拭きながら答えた。


「あー、なんか途中からさー。あいつのファンの子達に囲まれて、それから逃げてばっかで全然楽しくなかったんだよねー。」

『まあ、会長は有名な芸能人だしね。良かったじゃん!そんな有名人に気に入られてさ!』

「ふふ、まあね。」


ドヤアと自慢げに言う一ノ宮に『あ、そうだ。』と何かを思い出したように信楽が声を出した。


『校門近くで柳さんと会ったんだよね。』

「葵ちゃんと?」

『そう、いきなり話しかけちゃったから吃驚したのか持ってたカメラ落としちゃってさ。』

「へえー。」

『もしかしたら壊れてるかもしれないから、今から確かめに行ける?』

「オッケーオッケー。じゃあ、後で電話するね。」


と一ノ宮は通話を切った。部屋を出て、微かな電気だけで照らされた暗い廊下を携帯を弄りながら歩く。

えーっと、葵ちゃんの部屋はここだっけ、ととある部屋のドアをノックする。「葵ちゃんいるー?」すると、ガシャン!バタバタ!と大きな音がして、暫く経ってからキイ…と扉が少し開いた。


「凄い音したけど、大丈夫…?」

「う、うん。あ、杏ちゃんが突然くるなんて知らなかったから吃驚しちゃった…。な、何か用…?」

「あ、えっと…今日、莉子ちゃんが葵ちゃんのカメラ落としちゃって壊れてないか確認してほしいって言ってたから、確かめにきたの。壊れちゃった?」

「あ、ああ、そういう…壊れてないよ。だ、大丈夫。」

「そっか、なら大丈夫だね。莉子ちゃんに伝えておく。じゃあね、おやすみ。」


と一ノ宮が部屋に戻ろうとしたら、


「ま、待って…!」

「?どうしたの?」


すると柳は目を泳がせて言いづらそうに「……あまり、外で、キ、キスとかしない方がいいよ…。」と小声で言った。

その言葉にきょとんとした一ノ宮は暫くして理解したのかふふ、と微笑んだ。


「もしかして夕方のアレ、見てた?」

「う、うん…。」

「アレはキスじゃないよ。目にゴミが入ってたから取ってもらってたの。定番なネタでごめんね?」


な、なんだあ…と柳は脱力する。そして、一ノ宮は「また明日…あ、今日は土曜日か。明後日、学校で会おうね。」と去っていった。


……単純な人。本当はキスされてたんだよ。まあ、頬にだけど。


と人を小馬鹿にした言葉とクスクスとその怪しい笑い声は廊下の暗闇と共に消えていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ