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猫被り娘はヤンデレ彼女を攻略できるのか  作者: ゆる
純真なカノジョ
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猫被り娘

ここ、私立カルミヤ女子学院は古き良き歴史を持ち、清純な女子生徒を育成している。完全寮生活で大切に生徒達は守られている。

そんな学院に一人の少女がガラガラとスーツケースを持ちながら誰もいない校門をくぐる。

金髪の髪を二つ結びした少女は白い西洋風な学院を見て、嬉しそうに言った。


「ここが明日から私の通う学校かあ。楽しみ!」


雲ひとつない空、そして広大な敷地に建てられたいくつもの校舎。地図を見ながら寮を探すが、見つからない。どうしようと少女は困ったようにキョロキョロと辺りを見回すと「どうしたんだい?」と後ろから声をかけられて、少女はわっと驚いてスーツケースを持っていた手を離した。

話しかけてきたのは腰くらい長い黒髪を後ろでまとめているモデルのように背の高い女子生徒だった。


「…外国人?」

「あ、いや、私は転校生で…。」


その女子生徒は背が低く少女の金髪でふわふわとした髪質、透き通る様な空色の目を見て外国人と勘違いした。

女子生徒はスーツケースを持つとガラガラと音立てて歩き始めた。少女はスーツケースを持とうとしたら「私が運ぶよ。」と断られた。


「ああ、君が噂の転校生か。失礼した。…ということは高3だね。」

「噂?」

「先週から可愛らしい転校生が来るってクラス中の子達が喜んでるよ。」


あはは、と笑う女子生徒は「迷っているところを見ると寮に行きたいんだろう?案内するよ。」とその女子生徒は寮まで案内してくれた。バレバレだ…と少女は恥ずかしくて顔を赤くした。

寮に着くと寮母が待っていた。


「あ、案内してくれてありがとうございます!」

「同い年なんだからタメ口でいいよ。それじゃあ、私はこれで。生徒会の仕事があるんだ。」


そして、女子生徒は校舎の方へ向かった。

寮母に挨拶して、部屋を案内してもらう少女は、これから生活が楽しみでならなかった。

「荷物はもう届いてるから、自由に使って下さいね。」と段ボールが積まれてあった。


少女は段ボールから荷物を取り出し部屋を片付ける。一、二時間は経っただろうか。

白いブラウスに赤いリボン、グレーの膝下スカートの制服に着替えた少女は姿鏡の自分を見てくるりと一回転した。


「ふふ、明日から学校だ、友達たっくさん出来ますよーに!」




そして次の日、登校中金髪だからか目立つ少女は周りの女子生徒から奇異の眼差しで見られていた。しかし、少女は構わず鼻歌を歌いながら歩く。


「えー、今日から皆と勉強することになった一ノ宮杏さんです。」

「初めまして!一ノ宮杏です!見た目通りアメリカ人と日本人のハーフです。でも日本で生まれたので英語は喋れません。」


「よろしくお願いします!」と人懐こい笑顔で自己紹介する一ノ宮にクラスメイト達はほわ〜と和む。ホームルームが終わるとクラスメイト達に囲まれ、「どこから来たの?」「杏ちゃんって呼んでいい?」と早速質問責めにあっていた。しかし、一ノ宮は困ることなく全ての質問に答えいく。


「皆、あまり質問すると一ノ宮さんが困ってしまうよ。」


その声にクラスメイト達は「桐生様…!」と頬を染めて道を開けた。

現れたのはモデル顔負けの顔とスタイルを持った美しい生徒だった。そう、この女子生徒は昨日、一ノ宮を寮を案内した人物。


「あ!昨日の!」

「改めまして、初めまして、一ノ宮さん。私の名前は桐生郁。生徒会長をしている。困ったことがあれば何でも私に聞いて欲しい。」


「桐生様…!相変わらずお美しい…!」と頬を赤く染めて女子がきゃあきゃあと騒ぎ始める。その言葉に桐生はふっと笑う。


「私の美しさは深い罪だね…。大勢の女の子を虜にしてしまう…。嗚呼、なんと罪深い存在なんだ…!」


桐生はかなりのナルシストだった。そして、生徒会長であり、雑誌のモデルやドラマに出演する程有名人である。しかし、雑誌やテレビを見ない一ノ宮にとって桐生はただのクラスメイトでしかなかった。しかし、一ノ宮は花が咲くような笑顔でこう言った。


「桐生さん、ありがと!これからよろしくね!」


「じゃあ、昼休み、学校案内頼もうかな?」と言う一ノ宮に桐生は「勿論、大丈夫だよ。」と承諾した。すると一ノ宮は立ち上がり、桐生に近づいて…


頬と頬合わせチュッとチークキスをした。


チークキスをされた桐生はぴゃ〜!と赤くなった。周りのクラスメイトもきゃー!と騒ぎ始めた。その反応を見て一ノ宮は微笑んだ。


「これ、私のお母さんとお父さんがやってる挨拶。改めてよろしくね、桐生さん!」


その様子を遠くから見ていた一人の生徒は「へえ…。」とニヤリと口角を上げていた。





昼休み、一ノ宮は桐生に学校を案内してもらっていた。


「ここが図書館、世界中から集めた名作があるから読んでみるといい。」

「うん!」


とにこやかに返事する一ノ宮に桐生はじっと彼女を見つめた。

「それと…」と桐生は言いづらそうに言った。


「…どうしてずっと手を繋いでいるんだい?」


そう、学校を案内してからというものずっと一ノ宮は桐生の手を繋いでいた。そのせいか廊下を歩く度に生徒から羨望の眼差しで見られるのだ。


「だって、手繋いでおかないと私、はぐれちゃうもん!」


その瞬間、桐生は顔が赤くのがなるのが分かる。その顔を隠すように彼女とは反対側をバッと向く桐生は彼女に惚れそうだった。


「ねえ、郁ちゃんって呼んでもいい?まだ友達出来てなくて…。」

「勿論だよ。じゃあ私は杏と呼ばせてもらおうかな。」

「うん!


ねえ、桐生さんは告白されたことある?」


と突然の一ノ宮の質問に桐生は額と胸に手を当ててふっと笑った。

一ノ宮は桐生の人気がどれくらいのものなのか知りたくてこの質問をしたのだ。


「勿論さ、数えきれない程の女の子達ち告白されたけど…私は忙しい身でね、全て断っているよ。」


「そうなんだ!」と返事する一ノ宮の顎に手を当てて桐生は囁くように言った。


「罪深い私に惚れしまったかい?天使ちゃん。」


すると一ノ宮は笑顔で答えた。


「ううん、全然!」


その瞬間、桐生はカチーンと石の様に固まった。





その日の帰り、終礼が終わって一ノ宮は教科書を鞄の中に仕舞っているとクラスメイトに話しかけられた。


「ねえ、一ノ宮さん。私達これから寮でお菓子パーティーするんだけど参加しない?」

「うん、いい」「ごめんねー、一ノ宮さんは先約があるから無理なんだよねー。また今度誘ってね?」


と、話に割り入ってきた生徒。一ノ宮は襟を掴まれてズルズルと人通りの少ない、誰もいない廊下に連れてこられた。

そして、襟から手が離れ、立ち上がると黒髪で前髪を右に流し、ボブカットな生徒は言った。


「私、信楽莉子っていうの。莉子って呼んでね。私も杏って呼ぶから。」

「?うん、よろしく…?」


一ノ宮は何故自分がこんなところにいるのか、信楽の行動が分からずにいた。


「私、退屈してたんだよねー。ほら、この学院って校則厳しいじゃん?今時、スカート丈膝下って古くね?みたいな。」

「うん…?」

「まあ、それは置いといて友達になった記念にメアド交換しよ?」


と信楽はポケットから携帯を取り出した。しかし、一ノ宮は首を横に振った。

「ごめんね、携帯、寮に置いてあるの。」と申し訳なさそうに言った。すると信楽はあははと笑った。


「あはははっ!やっぱ面白いね、杏は!」

「??」


暫くして信楽は笑うのやめてぴっと一ノ宮を指差した。


「そろそろ猫被るのやめたら?」


その言葉に一ノ宮は先程までの雰囲気とは打って変わっていたずらっ子のような目つきで笑った。

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