4話 入学式:後編
正門につくとブラッディが立ってた。う〜〜ん、スーツ姿100点!
「おはようブラッディ。スーツ似合ってるね」
「おはようございます。よく似合ってますよ」
「・・・ありがと」
予想通り、ブラッディはスーツがよく似合っていた。自分の強みである綺麗な白髪を活かすために少し濃い目のスーツを選んでいる。うんうん、最高だね。
そんな美人が2人もいるものだからそりゃ周りの視線を集めるよね。挟まれて歩くのすごいプレッシャーなんだけど……。
「入学式は……講堂ですね、行きましょうか」
「うん!」 「・・・うん」
講堂っていう大きな建物に入って席に座る。輝夜ちゃんは先生のところに行って、どこかへ連れて行かれちゃった。……寂しい。
≪ただいまから[一星大学]入学式を始めます≫
あぁ、もう始まるんだ。大学の入学式って何するんだろ。
……って思っていたら学長先生の挨拶と学部長の軽い挨拶くらい。何か……あんまり面白みはないね。先生たちだけで校歌斉唱する意味あるのかな?……まぁいっか。私にとっては輝夜ちゃんのスピーチ以外興味無いし!
≪続きまして、新入生代表の挨拶です≫
来た! メインイベント、輝夜ちゃんのスピーチだ!
「初めまして。新入生代表の美山輝夜です。私たちは今日からこの[一星大学]の一員となります。ここには高等学校までに出会ってきた人以上の出会いの可能性があります。私たちはそのチャンスを掴み、自らの糧としていくことができるよう、1日1日を大事に過ごしていきましょう。また、ここまで育ててくれた両親に感謝して学びを深めたいと思います。そして、学びの機会を与えたくださった[一星大学]にも感謝します」
うんうん。ちゃんと練習通りスピーチできてる! この声にうっとりして寝ちゃいそう。いつも同じベッドでお話ししてから寝てるし、同じ環境みたいなものだよね?
「私たちは多くのことを学ぶ機会を得ました。これからそれを活かせるかどうかは自分次第です。この貴重な年月を大切に過ごしていきたいと思います。以上で挨拶とさせていただきます」
すごい……! 一度も噛まなかった! 新入生全員から熱い拍手を浴びる輝夜ちゃん。そして……
「あっ!」
ほんの少しだけ、1秒にも満たないくらいの時間、私と目を合わせてウィンクしてくれた。気のせいじゃ無いよね!?
「ねぇブラッディ、今輝夜ちゃんがウィンクしてくれた!」
「う、うん……アイドルじゃ無いんだからそんなに興奮しないで……」
スピーチを終え、輝夜ちゃんがこっそりと席に帰ってきた。
「お疲れ様」 と口パクで伝える。「ありがとうございます」と口パクで返してくれる。そのあとは座席の手すりで手を重ねて先生の説明を聞く。輝夜ちゃんの暖かい手の温もりで話が耳に入ってこないねこれ。
≪では学部ごとに移動してもらいます。ではまず歯学部から≫
「えぇ……輝夜ちゃんと一緒に行動できないんだ……」
「またすぐ会えますよ。終わったら正門前で」
「うん! 行こっか、ブラッディ」
「・・・うん」
歯学部の先生についていく。歯学部は3号館が中心になるみたいで学部説明も3号館で行われる。
また座らされて学部長挨拶やら学部の先生の挨拶やら……眠くなってきちゃった。
「・・・灯、授業と単位について説明してる。ちゃんと聞いて」
「う、うん!」
危ない危ない……寝落ちするところだった。
「歯学部といっても、1年生の間はほとんど歯についてはやりません。一般教養科目の単位を取得する期間にしてください」
なるほど……1年生のうちは社会とか英語とか理科なんだ。はぁ……また勉強かぁ。
なんとなく話を聞いて今日のところは解散に。明日は英語のクラス分けテストと、新入生歓迎会みたいなのがあるみたい。一応参加しようかな……でも輝夜ちゃんとイチャイチャする時間減るしなぁ……。
悩みながら歩いていたらいつのまにか正門にいたみたい。輝夜ちゃんいた!
「おーーい!」
「お疲れ様です。どうでした?」
「1年生のうちは一般教養科目? の単位を取れだって!」
「じゃあ一緒ですね。同じ授業を取れそうだったら取りましょうか」
「うん! もちろん!」
できるだけ輝夜ちゃんと同じ日程にしたいよね♪
「・・・じゃ、お疲れ」
「あ、もう行っちゃう? ウチ寄ってってもいいよ?」
「いや。お邪魔しちゃ悪いから。また今度行く。あと、また今度誘う」
「そうだね。じゃあまた明日!」
そういうとブラッディは一瞬で消え去った! えっ!? 何今の! そういえば移動方法始めて見たけどそんななの?
「じゃあ帰りましょうか。時間割を仮組みしてみましょう?」
「いいねそれ! やろうやろう!」
楽しそうな大学生活が始まりそうな予感です!