39話 文化祭!?
仮免を取得して、そろそろ路上での運転にも慣れてきました。森野灯です。
「いや〜、慣れれば楽しいものだね」
「油断していたら危ないですよ」
「そうデスそうデス! いつも周囲に気を配らないと、卒業できないデスよ!」
「……卒業……仮免……落ちる……」
集中の大事さを説いてくれる輝夜ちゃんとマリーちゃん。そしてダークサイドに落ちるブラッディ。なんだろう、この対比的なやつは。
この時間はみんな空き時間だから、休憩室で集まってお休みしている。大体おしゃべりしているだけだけどね。
すると突然、輝夜ちゃんがスマートフォンを眺めて固まっちゃった。
「どうしたの?」
「あ、いえ。文化祭についてのPDFが学校から送られてきたので読んでいたんです」
「文化祭!? そんなのあるの?」
でもそうだよね、大学生になっても文化祭くらいはしたいよね。
「結構大掛かりみたいですよ。私立大学ほどではないと思いますが……」
そう言って輝夜ちゃんがスマホの画面をスクショして送ってくれた。
なになに……
「えっ! 芸能人なんかが来るんだ!」
そのページにはつらつらとゲスト出演することになっている芸能人の名前と顔写真が載っていた。
お笑い芸人に、この地方の有名人。なるほどね〜、さすが[一星大学]。呼べる人間も豪華だ〜
そして2ページ目からはアイドルのコーナーになっていた。一際目を引いたのが……
「えっ!? [feliz]も来るの?」
「ふぇ……りす? 知っているんですか、灯」
「うん! 超絶大人気……とまでは言わないけど、そこそこ人気のアイドルだよ!」
「灯さん、アイドル好きなんデスか?」
意外そうにマリーちゃんが尋ねてくる。まぁそんな素振り見せたことないしね。そして別に私は特別アイドルが好きというわけでもない。
「えっと……このfelizのメンバーの泉薫って子が輝夜ちゃんに雰囲気が似てるからさ、ちょっと心の中で推してたの」
「に、似てますかね。髪型と髪色だけじゃないですか? やっぱりアイドルの方はキリッとしていてカッコいいですよ」
いやそんなことない。輝夜ちゃんはさらにそこに可愛いが加わる。つまり無敵存在なわけ。
「……[feliz]は私も知っている」
「へぇ、ブラッディが三次元文化を知ってるなんて意外だね」
「……リリチルの挿入歌を担当していた。なかなかいい歌を歌う」
「あ、そうですか……」
やっぱりブラッディはブラッディだったね。まぁでも、それならブラッディも文化祭ライブには来るかな?
「どうせならみんなで見て回ろうか。マリーちゃん来れそう?」
「私は大学は別の市なので難しいデスね。お誘いありがとうなのデス!」
「そっかー……またの機会にだね」
マリーちゃんとはせっかく仲良くなれたんだし、またいつかどこかで会いたいなぁ。
「私から鋏を誘ってみますね。灯はどうします?」
「もちろんユウを誘ってみるよ。大学行事だから一緒に回れると思う!」
メッセージを送ってから数分で二人から返信が来た。二人とも返事はOK。
「やったね!」
「そうですね。五人で何かイベントに参加するなんて初めてじゃないですか?」
これは今から楽しみになってきたね。夏休みが終わったらただただ勉強とアルバイトだけの毎日になるかと思ったけどそうではなさそう。
よし……この文化祭もめいっぱい楽しむぞ〜!
今回名前が出たfelizが活躍する、【犬猿アイドル百合営業中】もよろしくお願いします♪
明日、連載再開予定です!




