3話 入学式:前編
4月4日……月曜日。今日は[一星大学]の入学式です!
「いや〜〜ついに入学式だね、輝夜ちゃん!」
「はい! 何だかあっという間でしたね」
結局春休みは春スキー以降特に何もしなかった。というかあの日から2日は筋肉痛で動けなかったし。まぁいい思い出になったからいいけどね。
「じゃあ着替えて出てこよっか。私が物置部屋使うから輝夜ちゃんは寝室で着替えてて」
「はーい」
このお部屋はまず玄関、そこからリビングとキッチン、トイレ・お風呂があってリビングの奥から2部屋に別れている。本来2人の寝室なんだけど私達はラブラブだから寝室は1つしか使ってないよ♡
そしてその2つの部屋を使ってお着替えタイム。いつもは着替え姿を隠したりなんてしないけどね。私は堂々と輝夜ちゃんの前で脱ぐ! 輝夜ちゃんはまだ恥じらいを見せるけどね。
じゃあなんで今日は別れて着替えるかというと、もちろんスーツだから! 輝夜ちゃんって絶対スーツ似合うと思うし、着替え終わってからババーン! と見たいんだよね。
私は……まぁあんまり似合ってないね。おバカが背伸びしている感がどうしても抜けないや。
「輝夜ちゃん着替え終わったー?」
「はい! 終わりましたよ」
「じゃあせーので出よっか。3・2・1」
「「せーのっ!」」
ガチャとドアが開く音が2つ。輝夜ちゃんは……
「おお〜! やっぱり似合ってる〜! カッコいい!」
やっぱり輝夜ちゃんはスーツが超似合っていた。スラッとしているから大人な女性って感じだね。
「そ、そうですか? 灯は可愛らしいですよ」
「可愛いスーツ姿……? まぁいいや。ありがとう」
輝夜ちゃんがOLさんとかになったらこんな感じってことか。う〜ん……エッチだ。
「よし、じゃあ行こっか」
「そうですね」
遅れないように早めにGO! あ、ブラッディからメール来てる。
≪いつでも行ける。正門前に着いたら教えて≫
ふむふむ。そういえばまだ魔道国に招待されてないじゃん! 早く行きたいんだけど! まぁ……それは入学式後でいいか。
≪オーケー。また連絡するね≫
ブラッディもスーツ似合うんだろうなぁ。白い髪が紺色のスーツに映えて、輝夜ちゃんとは違った方面で似合っていそう。そんな2人と並んじゃっていいのかな、私。
なんだか急に自信なくなってきたけどもうどうすることもできないし、行くしかないね。
「鍵閉めますよー?」
「あ、はーい。行く行くー」
部屋から出たら管理人室から大家さんの守屋さんが出てきた。眠たそうに。
「おはよ〜。今日から大学生だねぇ。頑張んな」
「「ありがとうございます!」」
「うんうん。行ってらっしゃい」
守屋さんの脱力する声にも流石に慣れてきた。もう半月も住んでるんだもんね。結局私たちの2階の部屋以外に住人いないけど大丈夫なのかな……。やっぱり強制2人部屋はハードル高いよね。
ってそんな人の心配をしている場合じゃなかった! 今の私の心配は……輝夜ちゃんのスピーチ! 本人は緊張していなさそうだけど私が緊張してきたんだよね……。
「か、輝夜ちゃん大丈夫? ちゃんとスピーチできる?」
「えぇ……なんで私より緊張してるんですか……」
「だってだって〜!」
そりゃ心配にもなるよ! 大勢の前で話すなんて私にはできないもん!
「大丈夫ですよ。だって灯がスピーチの練習に付き合ってくれたんですもん」
……ここ最近はずっとスピーチ練習を2人でしていた。といっても私はただ聞くことしかできなかったけど。具体的なアドバイスはほとんどブラッディがしていたような……。
「うう〜ん……心配だなぁ……」
「……もう、しょうがないですね」
「ほえっ!?」
輝夜ちゃんが私を抱きしめてきた。ちょ、ここお外だけど!
「灯が聞いてくれるスピーチなんですから、私も頑張りますよ。それを信じてくれませんか?」
コソコソと輝夜ちゃんは私の耳元で囁く。輝夜ちゃんが囁くたびに身体がこそばゆくて跳ねる感覚を覚える。
「……信じるよ。ごめんね、勝手に不安になって」
「いえいえ。私のことを思ってくれているとわかって嬉しいですよ。さぁ……今度こそ行きましょうか、私たちの入学式です」
「うん! 輝夜ちゃんのスピーチ、ちゃんと見届けるからね!」
手を繋いで正門に向かう。今の私にできることは、心の中で応援すること。それも……この地球上で一番輝夜ちゃんを応援するんだ!
次回は火曜日更新予定です♪




