0話 新居の下見!
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【あらすじ、お読みになられる→お読みになる】 これはまだ……合格発表前のお話。
「輝夜ちゃーーん! おはよー!」
「おはようございます、灯」
私たちは今、[星乃川東駅]にいます。なぜかって? 同居するところを探しにいくためなんだよねぇ〜♪
当然まだ合格したわけじゃないから正式決定するわけじゃないけど、合格発表されてから探していたらいいお部屋が埋まっちゃうかもしれない。だから前もって決めておけってお母さんに言われたから、自由登校期間を使って今日行くことに。まだ受験日から2日しか経ってないんだけどね。
早速電車に乗って[星乃川市駅]に移動! そこからさらに乗り換えしてバスに乗って、ようやく目的地に到着!
「やっぱり毎日通うとなると厳しいね……」
「そうですね、同居の必要性を改めて感じました」
本当はそんなことはない。こっちで住む理由はあっても、同居する理由はない。でも……お互い好き合っている仲だし? 同居したいのは当然だよね。お母さん達も許してくれているし。
「なーんか、懐かしい感じ。なんでだろ? おととい来たばっかりなのに」
「受験の日は疲れたからじゃないですか?」
「う〜〜ん、そうかもね。さ、行こっか」
自然に手を繋いで歩し始める。うんうん、ちょっとしたデート気分だね。
今日までにインターネットで目星をつけていたのは[百合園荘]という2人部屋限定のアパート。女性限定・2人での居住強制というなかなか攻めたアパートだけど、私たちにとっては好都合なんだよね。ここからなら[一星大学]まで歩いて20分。自転車なら7〜8分で行けるかな。
バス停から10分ほど歩いたところで[百合園荘]が見えてきた! もう電話で下見させてくださーいって伝えてあるから管理人さんがいるはずなんだけど……どこだろ?
「やぁやぁ君たち。よく来たね」
この声……上!?
なんと声の主……おそらく管理人さんは[百合園荘]の屋上で座っていた!
「ちょ、危なくないですか!?」
「いーのいーの。これで死んだら本望だよ」
えぇ……それで死んだら死んでも死に切れないと思うんだけど……。
「よっと、ほぅっと」
トン、トンと軽い身のこなしで屋上から降りてきた管理人さん(?)
「君たちが下見予約の森野さんと美山さんだね? 私がこの[百合園荘]の管理人、守屋だ。よろしく〜」
「「よ、よろしくお願いします!」」
「まぁ寒いし、入りなよ」
指をクイっとして促してくる守屋さん。何歳くらいなんだろ……管理人さんのイメージよりはずいぶん若そうに見えるけど。
「お、お邪魔します……」
ここは……管理人室かな? 部屋ってわけではなさそう。
「ほんじゃさっそくだけどウチの基本説明からね。ウチは[百合園荘]。2人部屋限定だから、森野さんと美山さんには同じ部屋で暮らしてもらうけど、大丈夫?」
「はい! 大丈夫です!」
むしろそれ目的です!
「ウチは4室あるんだけど今んとこ2室埋まってんだよね。ただみんな卒業するみたいだからさ、もしかしたら森野さんと美山さんの部屋だけになるかもね〜」
へぇ……まぁ2人部屋限定ってルールあるから部屋が埋まりにくいんだろうなぁ……。
「ただまぁ下見に来た子は他にもいたし、もしかしたら同学年で4部屋埋まるかもねぇ。そしたら私も楽できるんだけどなぁ。他のアパートは見てたりするの?」
「あ、いえ。ここだけです」
輝夜ちゃんが答えてくれた。
「お〜そりゃ合格してもらわないとね。流石に0部屋だと生活に響くしさ」
なかなかに世知辛いことを言う守屋さん……。
「んじゃま、とりあえず部屋見てく? 今使ってる部屋が4階と3階だから……2階の部屋見に行こっか」
「はい! お願いします!」
どんな部屋かな〜ワクワクする! 輝夜ちゃんとキラキラした目線を交わしながら階段を上がり、二階へ!
「よっこいしょ」
鍵をガチャっと開けて、電気をつける守屋さん。おぉ……パッと見た感じ白を基調とした清潔感あるお部屋だ!
「まずここがリビングね。結構広いでしょ」
「本当ですね!」
「こっちがキッチンですか?」
「うんうん。料理してる姿も見えるでしょ。まるで新婚さーん、なんつってね」
……なんか守屋さんの声って脱力させてくる声なんだよね……。なんでだろ。
「んでこっちが部屋その1。となりも同じ構造になってるよん。まぁ2人部屋といいつつ、寝室くらいは分けたいと言う人向けにね」
私たちは……まぁ分ける必要ないよね? っていうアイコンタクトをとる。毎日同じベットで寝る! もう1つの部屋は物置になるかな?
「ほんでトイレとお風呂ね」
うんうん、こっちも結構綺麗じゃん!
「どうよ? 気に入ってくれた?」
「はい! ここに住むのがすっごく楽しみになりました!」
「あはは……ずいぶん気の早いこって」
「私もです。素敵なお部屋でした」
輝夜ちゃんの感触もいい感じ。合格したら、ここで決まりそうだね!
その後は必要な書類とかを受け取って帰ることに。
「そんじゃ合格したらそん時はよろしく。またね〜〜」
「は、はい。ありがとうございました!」
楽しかった〜〜! こんなに楽しんだんだもん、受かってなかった時のショックは大きいかも……。どうか受かってますように!!!
「灯、気の早い話かもしれませんが……」
輝夜ちゃんが真剣な表情で私を見つめてくる。
「これから、よろしくお願いしますね」
そんな輝夜ちゃんの手を取って……
「うん! こちらこそ、よろしく!」
私たちの共同生活に胸を躍らせながら、慣れ親しんだ家に帰るのでした。