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異世界戦争はナンセンス  作者: わたみ
第一章 始まりの道
8/15

 万能の神が振り向いた先は


 

 

 

 あの頑丈そうな壁に()()()()()

 一瞬にして一気に吹き飛び、(ちり)となった。いや、正確には(ちり)すらできていない。


「C班乗り込め!あとレン、また火力出しすぎだ!」

「指揮長?けっかおーらい、です」


 手加減が苦手だとか、これでも手加減してるだとか、そんな言い訳を背に、いつも大穴を空ける。

 こっちの身にもなってみろつってんだ。下手したら味方の攻撃に被弾して死ぬわ。

 遠くから指揮しているこっちですら音が響き、風が届いた。戦場の状況が(うかが)える。

 


 レンの使った光る光線。我々は『雷霆(らいてい)』と読んでいる。強力なプラズマのようなモノを丸めて凝縮し、一点に噴射するとんでも魔法だ。速さは音速の数倍の速さで、触れれば全てを溶かす。だから塵すらも残らないのだ。

 それをレンは放つことができる。


「きた、『雷霆(らいてい)』」

「やっぱすげぇなぁ」

「もう、これ壁の内にぶっ放した方が早くね?」


 『雷霆(らいてい)』の凄さは皆が認めている。

 レンは抜群的な強力個体。俺がこいつのことを怪物扱いしたのも(うなず)けるだろうか。

 しかし……

  


「しかしなんだ、()()()()()()()()()()()()()()

 


 イワンはそう(こぼ)した。

 レンが使っているのはあくまで「魔法」であって、一人一個性の「能力」ではない。

 そう、イワンが言ったことは間違えじゃない。正しい。

 レンは「魔力」の量と「魔力」の質は、選ばれた十人の"人質"の中ではトップクラス。しかし、レンが使えるのは『雷霆(らいてい)』と『飛翔』と基礎レベルの『治癒』と、他の"人質"に比べたら圧倒的に使える魔法が乏しく、その上自衛スキルが乏しいため、普通なら前線で大活躍する大隊長だが、レンの場合、上からの長距離攻撃を主にしているのだ。



「C班T(タイプ)を、《戦闘(コンバット)》に変更」


 ここで、空いた穴から俺は攻め入るために策を打った。


 《走型(ラン)》《砲型(カノン)》《守型(ディフェンス)》に次ぐ、四つ目のT(タイプ)、《戦闘(コンバット)》。近距離戦闘に長けたT(タイプ)である。主にレンの『雷霆(らいてい)』の魔法を全面的に組み込まれている。 

 特徴としては、刃には薄く『雷霆(らいてい)』が塗ってあり、背中には5発の希釈した小規模『雷霆(らいてい)』が発射できる砲塔があるなどがある。

 しかし、このT(タイプ)は防御が薄くなる。

 ここまでの道のり、どうして一度も被弾せずに来れたのか。敵が適当打ちの砲撃で、当たらなかったから?

 否、断じて違う。

 答えはこの武装にある。

 《戦闘(コンバット)》以外の武装には全てバリアが設備されている。《守型(ディフェンス)》はその強化版と言ったところだろうか。

 だからある程度の攻撃には耐えられたのだ。 

 しかし、その、《戦闘(コンバット)》はそのバリアが一気に乏しくなるのだ。


「C班、死なないように。検討を祈るぞ」

「了解!今から壁に入ります!」

「ラキアス、今いくぞ!」


 イワンが勢いよく言う。

 そう、勢いはこっちのもん。あとは敵の大魔法さえ、いなせれば……

 まぁ、でも

 

 

 ここまで順調。


 

 ……()調()

 

 順調すぎやしないか?

 

 なんだ、この違和感。

 俺はこの違和感に深く潜った。

 深く 

 深く

そうして、俺は沈んで行き、意識は遠のいていった。

 


 <<<<<



 「モニター」には不自然なのは何も写ってない。

 

 

 考えろ

 

 

 ここに来たときに感じた人気(ひとけ)の無さ。

 

 

 考えろ

 

 

 ここはなんとしてでも押さえときたい場所。

 

 

 考えろ

 

 

 結界、あれはなんだったんだ。

 

 












 

 …………あっ

 

 

 身体中、全身に電気が走った。


()()退()()!この世界から離脱せよ!」

「あぁ!?なんで!?」


 イワンが怒号する。


「よく聞け、これは囮だ。恐らくこの後………」


 くそぉっ、そういうことかっ!

 俺は干上がった喉で叫んだ。

 

 「モニター」に映るのは魔力と俺らに打ち込まれたチップの位置。

 

 人気(ひとけ)を感じなかった。いくらなんでも避難が早すぎる。

 

 ここはなんとしてでも占拠しときたいだろう場所。

 ()()()()()()()()


 結界で時間を稼いで、何を準備していたのか。

 

 


「……ゲイヴさん!あれ」 



 レンからの通信


「何か……落ちてきますよ。あれって……」

「ワケを話してる時間はない!早く!早く離脱しろ!レンは離れろ。早くこっちこい!」


 一段と大声で叫び、声が裏返る。

 しかし、ここで気付く。


「おいおい、離脱できねぇぞ。どういうことだぁ?」


 思考が真っ白になる。

 ……おいおい、まさか

 腰の強制離脱ボタンを()()する。

 ……連打?一回押せば脱出できるハズ。



「……作動……しない?」

 

 

 

 "こっち"の国では()()()()()を持っている。

 たった一瞬で長範囲にわたって大量殺人を可能にした悪夢。

 あの日を繰り返さないために、国は歴史を学び、国は努力をする。

 もう、あの日を起こさないように。

 

 ピカッと光る。レンの『雷霆(らいてい)』とは違い、とてつもなく暑い。痛い。

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 不健康な光。嫌な爆音。不気味な味。

 この後、全長16キロメートルのキノコ雲をあげて、敵味方を無差別に跡形もなく消え去った。


いや、消滅した。



 レンとゲイヴ始め、隊員全員は、消滅したのだった。

この回にて、第一章完結です。第二章をお楽しみください。

ということで、どうもわたみです。


一章を通して初めてスタートです。全部設定の提起ですからね。

え、ゲイヴと、レンはどうなったかって?


……



さて、二章から物語の本質が始まります。




さぁ、彼らの矛盾は物語はどこに進むか。





追加


次話は投稿遅れると思います。

ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第一章、豪快な締めだ……
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