プロローグはおまじない
思想と言うモノは個人差があるから、数多に生まれる。
しかし実際のところ、決断 選択 行動、それら全てにおいて正しい答えは無いに等しく、不正解は数多存在するだろう。
これは俺の持論だ。
……いや、違うか、これは俺をモチーフにした経験論だろう。
俺は政治家だった。
そこで俺は抜きんでた才覚を現していたのである。
三十歳になった時には、ノーベル平和賞候補だとか、時期首相候補だとか、その他いろいろもあり、それなりに有名人にもなった。
しかし、あれは完成してしまったのだ。
三十年の月日を経て、異世界との交流装置「ゲート」の完成だ。
それに則して、まずはこっちの世界の人を十数人派遣するとなった。
そして俺は、法律類の技術の通信使代表の依頼が来た。その時の俺は世界の代表として認められたことが嬉しくて、は飛び跳ねたくなるほどだった。
だから初めて「ゲート」の前に立った時は歴史の教科書に載ってしまうのかと考えると、柄にも無くとても緊張していたのがいい思い出だ。
最初は友好的に事が進んだのだ。
俺も、こっちの世界よりも、遅れていた政治技術に対してやりがいを感じていたし、指針に対して引導を渡せていたと思う。
会談はいつも笑い声に満ちていた。
それだけ友好的であったという事だ。
しかし、その均衡は何ヶ月続いただろうか。徐々におかしくなる。
まず一つとして、技術通信使を外された。
そして外されて直ぐに気がついたら、ENGなんて言うエネルギーのために戦争になっていた。
…………いや待て、おかしいおかしい、なんでこうなった?
俺は心から訴える。これはおかしいんじゃないですか!?
しかし、戦争の流れは加速する。そして俺の話は誰も聞かなくなった………
俺は政治関連の仕事を去った。
これで全ておさらば。終わりにしよう。
─────だが、終わらなかったのだ。
異世界侵略指揮長の強制委任。
異世界の資源を十ヶ国に分割させ、政治家を勤めていた国代表では無く、日本代表として、俺が任命されたのだ。
別に俺は父が日本人というだけなのに……
何故こうなった。
俺は別段戦争をしたいワケじゃない。むしろしたくない。
俺は世界を平和にしようと頑張ってきた。
でも結果は戦争を指揮する一員になっている。
その時気がついた。
元々を辿ればこうなったのは俺のせいでは?
この国を、いや、この世界を良くしようと奮起してたのが、俺がこうなった理由なのではないだろうか。
俺がしてきたことは間違いだったとは思いたくない。でも、これはそうとしか思いようがない。
………うそだ
俺の世界が崩れた。
………おれは、いったい、なんのために、ここまで、やってきたのか?
でも、それても諦めない。
だから……せめてとして……
俺は「占拠派」と対をなす、戦争に異議を申し立てる小数派閥である「融和派」への参加表明をした。
それを機に指揮長を少し離れたこともあったが、日本代表の適任者がいなかったのだろう。直ぐに俺に返ってきた。
それは五年経った今でも俺がやってる。
そして、これは俺は戦争を止める為に戦争をするという「矛盾」に抗う物語である。