作戦会議
「また来てるよ」
ちょっぴりお兄さんになった茶々丸は、境内の外をのぞいて言った。
組曲団のもっぱらの関心事は、今、神社の周りをウロウロしている美咲さんという女性のことだ。いつもこうして周りを歩いているだけで、決して鳥居をくぐって来ることはない。どうやら、神社が怖いらしい。
「何が怖いんだ?」
右京と左京が不思議そうに言った。
大和はいつになくまじめな顔で、
「今まで一生懸命、自分を信じ、頑張ってきたからこそ、大きな存在に依存してしまう怖さを感じているのかもしれないね。そしてもうひとつは、神社独特の様式美。真っ赤な鳥居や、揺れる紙垂、狛犬とかね」
この言葉にドキッとした右京と左京は、お互いの顔を指差して、(お前だ。お前だ。)と責任逃れをしている。
雪之丞は、大きな頭をかしげ、マツエクをした目をパチパチさせて、
「神様・ラブにさせてあげたいわ~。ムフフ」
そう言って、自分の胸の前にごっつい手でハートのマークを作って、腰をクネクネさせた。
境内では連日、美咲さんの神社デビューを手伝うための熱心な打ち合わせが行われていた。組曲団で考えた案はこんなのだった。
まず、美咲さんに安心してもらえるように、次々と人のよさそうなおばさんを登場させる。それらのサインが思い出に残るように、テーマを持たせる。つまり、おばさんが現れた時の会話はすべて「花」にまつわるものとする。題して「おばさんと花」
そして境内でホッコりしてもらえるように、綺麗な蝶々を飛ばし、白猫を登場させる。というものだった。
初めて参拝を終えた美咲さんには分かっていた。たくさんの人との繋がりによってお参りが出来たことを。何か大きな存在に導かれているような気がしていた。そして澄み切った空を見上げて、静かにつぶやいた。
「やっぱり、神様はいる」




