♢prologue 現れた力
—————朝、目を開くと私の手が白く淡く光っていた——―――。
「えー!?」
思わず叫んでしまう。
(だって、どう考えても現実ではないもの!)
しかし、ほっぺたをつねると痛いし寝てもう一度起きると何も変わっていない。
「やっぱり現実だ……」
そう言った少女・ルウラは、五度目の寝起きであった。
白く淡く光る自分の手を不思議そうに見つめていると、急に淡かったのが激しく輝いた。
瞬時、木の天井が焦げる。
その天井を見て数秒間停止していたルウラだが、次の瞬間突然の恐怖に襲われベッドに潜り込む。
「もう、どうなってるのよ……!」
確かに、この不思議な現状がどういうことなのかわかったらそれこそ意味が分からない。
次の瞬間、ルウラの意識は深い闇に包まれた―――――。
「……あれ……?ここどこ……?」
ルウラは確か、木製の壁の自分の部屋のベッドに潜り込んでいたはずだ。
しかし、今ルウラの目に見えているのは黄金の壁に宝石が埋め込まれており、天井にはダイヤモンドなどでできたシャンデリアがある。
「大層な場所ね……。私には全く縁のないような……」
「ルウラさん、ですね?」
突然後ろから、知らない男性の声が聞こえる。
「誰っ!?」
慌てて振り返ると、そこにはルウラより二歳ほど年上に見える、優しそうな顔の茶髪の青年が立っていた。