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こうして城へと駆け出しました。

「いってきます母さん!」

腰に剣を携え、僕はそう叫ぶと木製のドアを開け、勢いよく外へと飛び出す。

「気をつけるのよ~ツグミ」

背中越しに返事が帰ってくる。

家を飛び出すと路地を小走りで駆け、大通りへと出る。

そして目の前に広がるのは、絵に描いたように、人々が行き交い、賑わう、僕には見慣れた町並みだ。

ここはアーマレロ王国城下町、数々の人々が暮らしている。

だがしかし、16年前に突然国王が変わってしまった。

それからとういうもの税金は一気に何倍にも増え、この町では貧富の差が激しくなり幾多の人が生活が苦しいと悲鳴をあげ始めたそうだ。

僕の家はなんとか普通の生活を送ることができている。

だが、生活困難の人を見つけると胸がいたくなる。家もなく、路地裏でひっそりと暮らしている人もいる。

権力もなくなにもできない僕には、いつか皆が楽しく暮らせる王国になるといいな、と願うしかない。

大通りを駆けていると所々ポスターが貼られている。そこには『5月13日王国騎士志願者30名募集。志願者は当日午前9時までに城まで。』と書かれている。

まさに今日である。そして僕は今そのために城へと向かっている。

3年前他界した父は毎日剣術の稽古をつけてくれた。父は国では有名な騎士だった。国では 5 本指に入るほどの強さとも周りからは言われていた。

そんな父の背中を見て育った僕もいつしか騎士になりたいと思うようになっていた。

そんなことを考えていると、ばんッ。と突然人とぶつかった。

「っ、てて…すみません」

「あの~こちらこそごめんなさ…ってツグ!」

尻餅をつき額をさすっていると目の前にいたのは、同じく額を擦りながらこちらを見つめる一人の少女だった。

「あ、ミル。大丈夫だった?」

目の前にいる赤髪のツインテールの少女はミル。幼馴染みである。

「へーきへーき。ちょっとよそ見してた!ごめんねっ」

「僕のほうこそぼぅとしながら走ってたごめん。ところで…えっと…ミル?パンツ──」

「ばっ…ばかぁ!変態っ!」

ミルはめくれていたスカートを急いでおろし、眉間にシワを寄せ顔を紅潮させた。そしてそわそわしながら立ち上がる。それに続いて僕も立ち上がった。

ミルはこちらをみつめ口を開く。

「ツグ…今日騎士志願にいくんでしょ?」

「う、うん受かるか分からないけど頑張るよ」

「うちのパンツ見たんだから受かりなさいよね!」

唐突にそんなことを言われ僕は軽く苦笑する。何て返せばいいか…

「あはは…頑張るよ」

そうとだけ告げた。

「それじゃ急いでるからまた報告するよミル」

「うん。待ってる。やっぱり待ってないわ!じゃあ頑張りなさいよ」

そう言うとミルは手を振りにこりと微笑み見送ってくれた。

そして僕はまた城へと駆け出した──


~姫と初めて出会うまで残り9日~


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