第四話 〜味方〜
「やばっ!そろそろチャイム鳴るじゃん!」
真面目そうな女子が叫ぶ。
「本当だ!てめぇ、ちくったら許さないからな。」
最後にリーダー格の女子が睨みつけ、3人の女子は去っていった。
その直後にチャイムが鳴り、今度はオジサンの先生が入ってきた。
ちらりと泣いている里亜の方を見たが、知らん顔で教卓に移動する。
「社会担当の園田です。一年間よろしくお願いします。」
そして挨拶の後、すぐに授業が始まった。
(・・・泣いてたって、誰も助けてくれないんだ。)
里亜は涙を拭い、授業に集中した。
また、さっきのように応用問題が出された。
里亜は全部わかったが、さっきのようにイジメに遭うのは嫌だったので答えは書かなかった。
「解けたのは4人だけか?今年の連中は駄目だなぁ。」
また教室中の視線が里亜を含めた5人に集中する。
心なしか、さっきよりも冷たい気がする。
(解かなくても・・・一度注目されたらずっとこうなの・・・?)
里亜は絶望的な気持ちになった。
すると、後ろから視線を感じた。
さっきの3人かと思い、おそるおそる振り返った。
こっちをずっと見つめている2人がいた。
(綾小路さんと・・・日向さん?)
里亜が気付いた事がわかると、二人は笑いかけてきた。
無視するのは悪いので、里亜も照れながら笑い返す。
(あっいけない!)
授業に集中しなくては。ただでさえ内容は難しいのだから。
授業集中のチャイムが鳴り、先生が出て行くと、さっきのイジメっ子3人組が目配せしてこっちに来ようとした。
里亜は怯えながら、どうか来ませんようにと祈った。
目の前に人の気配がした。
びくびくしながら顔を上げると、さっきの3人組ではなかった。
「大丈夫だよ」
「日向・・・さん。」
「名前知ってるんだ〜嬉しいなw
ちなみに、私日向舞華って言うんだ〜よろしくね!」
日向舞華と名乗った少女は、はっとする位の美少女だった。
こげ茶色のロングヘアがとても似合っている。
「私たちは味方ですから安心して下さいね。
わたくし、綾小路紫音と申します。」
綾小路紫音と名乗った少女は、眼鏡をかけていていかにも優等生という感じだった。
よく見ると綺麗形の顔立ちなので、眼鏡を外せばとても美人なのだろう。
「日向さんと、綾小路さん・・ですか。」
「名前で良いよ!舞華って呼んで!」
「紫音と呼んでください。後、敬語じゃなくていいですよ?」
そういいながら、紫音も敬語である。
「よろしくね!」
里亜は、この二人となら困難も乗り越えられる気がした。
でもこの後、想像を絶するような事態になるとは、この時は知る由もなかった。
里亜に友達が出来ました。
友達が出来ないと、どうしてもイジメの的になりますよね・・・