第三話 〜差別〜
それは、普通の中一どころか、高校生ですら解けるかどうか危うい問題だった。
でも、里亜を含めた5人の生徒はその問題を解いた。
5人の分を採点し終わった中年の先生は、大きな声で叫んだ。
「解けた5人の内3人は新入生じゃないのよ!あんた達恥ずかしくないの!?」
その瞬間、教室中の視線が3人に集まった。
里亜はどきっとした。
(心なしか・・みんなの視線が冷たい気がする・・・)
「あんた達のほとんどは、この紅桜学園に小学校から通ってるのよ!
それは名誉な事なの!それなのに、こんな外部の人間に負けて・・・」
(この先生・・・別小の人間を差別するんだ・・・!)
里亜は悟った。
名門私立の人間は、妙にプライドが高いという事も。
そりゃあ、高度な教育を小学校から受けさせられてる人間が、のん気に暮らしていた凡人に負けるのは屈辱であろう。
そして、先生もその気持ちを利用するのだ。
結局、小学校からエスカレーター式に大学まで居られるのだから、必死に勉強して受験で受かって来た人にかなわなくても無理はないのだが・・・
チャイムが鳴り、先生が出て行くのとほぼ同時に、里亜は3人の女子生徒に取り囲まれる。
「ちょっと勉強できるからって、調子乗らない方がいいわよ?」
そう言ってリーダー格の女子は、里亜をおもいっきり睨みつけた。
「これでみんなに目ぇつけられたかもねぇ?」
そう言って不敵に笑ったのは、一見真面目そうな女子だった。
「・・・・・・・!」
里亜は、怖くて声も出せなかった。
小学校では、多くはないが友達が居たのでいじめられた経験がない。
そのため、3人の怖い女子に睨まれるのはかなりの恐怖だった。
「ていうか、シカト?」
楽しそうな顔でそう言ったのは、中一の癖に化粧していて、長髪のケバい女子だった。
「調子乗んなよ!キメェんだよ!」
「お前マジブスじゃん!」
(こんな事言われる覚えないし・・・)
里亜が黙っているので、3人は気分を害したようだった。
「何とか言えば!?」
「無視とかマジうざいんだけど!!」
里亜はとても怖くなった。視界がぼやけてくる。
「うっわー・・泣いてるんですけど。」
「マジキモッ!!」
「何泣いちゃってんの?」
より一層はやしたてる女子達。
他のクラスメイト達は、おもしろそうに見てる者、冷ややかな目で見てる者、全く無関心な者に分かれていた。
紫音と舞華を除いては・・・
ちょっと体験談入ってたり(笑
こういう迷惑な女子っているんですよね。