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/40/:嫉妬

話進みません。

キィさん、しゃきっとしてください。


そして、今回で10万文字らしいですよ(震え声)

「ほれほれ〜」

「ニャ〜♪」

 

 適当にヤラランと別れ、私は村の端っこの方で連れてきた猫と遊んでいた。

 私が左右に振る猫じゃらしを掴もうと白い猫は前足を必死に駆使している。

 なぜこんな毛むくじゃらの草を欲すのか謎に思いながら顎肘をついてボケーっとしていると、いつしか掴まれてしまう。


「おおぉ、やるじゃん」

「二ニャ〜♪」


 猫じゃらしを捨て、白猫の頭を撫でてやる。

 嬉しそうに鳴いてヤラランなんぞより数千倍可愛い。


「……はぁ。なんだろうなぁ、この気持ち」

「ミャ?」

「……嫉妬ねぇ。嫉妬ってやつかなぁ」


 背中を撫でてやりながらなんとなーく考えてみる。

 あの女みたいな男の……メリスタスだ、ったか、アイツとヤラランが楽しそうに話していると何となくムッとする。

 別に私が暇だから構って欲しいというわけではないからやっぱり嫉妬なんだろう。


「……よくわかんね〜」


 嫉妬だと言われても実感ないしな。

 好きなものを取られて妬むって事が私の中では起きていないと自分で分かってるんだ。

 なのになんでこんなに寂しくなるものか……。


「……後で謝らねぇとな」


 だいぶ酷い八つ当たりをしてしまった。

 ヤラランの事だから謝れば許してくれるだろうが、それだけだとなんだか申し訳ない。

 ……昼飯は手によりをかけるとしよう。

 私にはそのくらいしかできないから。


「……おーい、キィ」

「……あー?」


 馴れ馴れしく私を呼ぶ声がして振り返る。

 そして見なければ良かったと後悔した。


「……なにしてんだ?」

「見てわかるだろ? 猫集めてきたんだよ」

「……キモい」

「おいっ! なんだよその言い草っ!?」


 ヤラランの身体中には色とりどりの猫がしがみついており、顔だけが見えている。

 キモい、それ以外の感想が思い浮かばないぐらいにキモい。


「……頭打ったのか?」

「打ってねーよ。猫に埋もれるなんて、良いじゃねーか。重いけど」

「……あっそ」

「素っ気ねぇなぁ〜……」

「…………」


 私の背後にヤラランがゆっくりと腰を下ろす。

 足にへばりついていた猫達は離れて行き、ヤラランが胡座(あぐら)をかくとその上にまた乗っかっていく。


「……暑い」

「自業自得だろ」

「うっせー……。くそー、面白いと思ったのに引くなよ」

「引かないと思ったのか?」

「……まぁ、半々だな」

「…………」


 ……さっきまで申し訳なく思ってたのがバカみたいに思えてきた。

 いや、ヤラランがバカなんだから仕方ない。


「まぁまぁ、そんな仏頂面(ひっさ)げてねぇで元気出せよ。な?」


 苦笑しながら私の方をポンポンと叩いてくる。

 (つい)でに猫が2匹、ヤラランの腕から私の方に乗りかかってくる。


「……別に元気だっつーのっ。元から内向的な性格なだけだよ」

「どー見ても不機嫌なんだけど……」

「……私っていつもこんなじゃないか? 別に怒ってねぇし」

「……言われてみりゃ、確かにそうだな。いつもムスッとしてるぜ? お前」

「そりゃあ悪ぅござんしたよっ……」


 口を尖らせてまたふてくさったようになる。

 あぁ、ダメだダメだ。

 元気出せって励まされてんのに迷惑掛けたくねぇ……。


「まぁなんにせよ、不機嫌じゃねぇなら良かったよ。嫌なことがあったらなんでも言えよ? 仲間だしな」

「はいはい。遠慮せず苦情言ってやるよ」

「おうおう、その調子だ」


 ひょいっと自分の足元の猫を両手で持って私の足元に置いていくヤララン。

 1匹、また1匹と何故か移動させてくる。


「なにしてんだ?」

「んぁ? 猫と戯れてる姿とかなら可愛らしいかと思ってな。数増やしただけだ」

「……はぁあ?」

「んな怒んじゃねぇよ。美人なのに勿体ねぇなぁ」

「…………」


 いたって平然と言うヤラランとは違い、私はどこか恥ずかしくなって胸が熱くなってくる。

 なんだコイツ?口説いてんのか?

 いや、こんな真顔で口説かねぇよな……。


「……何が言いてぇんだよ、ヤララン?」

「は? いや、言ったことそのまんまなんだが……なんか気に障ったか?」

「いやいやそーじゃねーけど……その、だなぁ……」

「……?  だから、なんなんだよ?」


 心配そうに訊きながら、重そうな体を引きずって寄ってくる。

 ただでさえ近いのにさらに近寄られると益々体がなんだか熱くなっていき――爆発した。


「あーもうっ! うっせー! あっち行けバーカ!! 近寄んなよもうっ!」

「ええっ!?」

「おおっと、それは困りますな」

『!!?』


 突如聞こえた第3の声に目が飛び出そうになった。2人揃って向かいの建物を見れば、紫色の猫を背にしたナルーがのそのそと私たちの方へと歩いていた。

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