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/設定/:フォルシーナ先生の魔法教室②

「ヤララン、ある程度情報が纏まったので魔法について少し聞いてください」

「……そんなことしてる場合か?」


 ハヴレウス城8層の寝室、机に向かう俺の前にフォルシーナが立って いる。

 まだまだ善悪調整装置の研究を(おこた)るわけにいかないんじゃないのか?

 てか研究そっちのけで魔法してたのかよ。


「今後に関わることでもあるんですから聞いてください」

「えー、ルガーダスとかに話せよ……」

「あの人どっか行って帰ってこないじゃないですか。兎に角聞いてください」

「……はぁ。聞くだけならな」


 しぶしぶ折れて俺は書いていた書物を仕舞い、ペンを置いた。


「神楽器について話をしましょう」

「はぁ……」

「神楽器は持ち主の魔力を常時40倍に底上げする楽器であり、その他に魔力を乗せて演奏すると魔力効果が音に乗る、ベースの音があれば誰でも曲に合わせた演奏が可能、7つ同時に曲を奏でれば世界全体に【音響(サウンド)】の魔法が発動するといった効果ですね」


 フォルシーナは白紙の紙を取り出し、俺の使ってたペンを取って紙に4つの能力を書いていく。

 その隣には、線だけで出来た人を続けて描かれる。


「神楽器は人間の魔力を、とは言いません。人骸鬼に持たせれば人骸鬼の魔力は増加します。そして、単一個体が複数個持とうと関係ないのです。つまりは40倍の2乗……1600倍になります。1つ持った時点で魔力増幅が起き、2つ目で1つ目の分も認識してしまうので80倍ではありません」

「……1600倍だぁ?」

「やりようによっては、世界滅ぼせますねぇ」


 何気なく言っているが、それは笑い事ではない。

 1600倍って……えぇ〜?


「ところで、知ってるかとは思いますが、善悪調整装置の善悪量見聞で個人の魔力量が数値で見れます。世界平均とか単一個体の善悪別の最大魔力量などありますね」

「……あるな」


 俺の善魔力は700万ぐらいだった。

 人骸鬼が800万だし、俺が善幻種になるには800万くらい必要なんかねぇ?

 そんな疑問を覚えたなぁ。


「世界全体の悪魔力がおよそ30兆でした。そこに、例えば、ヤラランが700万で神楽器を4個持って反善の剣で自身を刺したとしましょう。悪魔力が40^4×700万=約18兆となり、世界全体の悪魔力の半分を超えます。悪魔力が30兆から48兆になれば、等しくある善魔力も30兆から48兆になるんですよ。ハヴレウス城から魔力が出て、勝手に誰かの善意が増加するはずです」

「……ふむ」

「ここで、ヤラランの18兆を無視しましょう。さらに、ここに4万体の人骸鬼が眠って居るとすれば、4万×800万=3200億の悪魔力を無視しましょう。そうすると、


 善魔力は48兆

 悪魔力は29兆6800億


 となります。比率的に8:5≒6.2:3.8でしょう」


 白紙に続けて数字を書いていく。

 ふむ、まぁ6:4かな。

 比率だけで見ていると、5:5と大差ないし、あまり意味がないような……。


「5個以上だと、比率がガクッと変わります。22:1、などとなれば、世界は平和になっちゃうんです。とはいえ、そんなことしたら善律司神と悪律司神は困るでしょう。対策があると考えといた方が無難ですね」

「ふむ……」


 確かに、善悪の比が魔法で傾いては元も子もないだろう。

 対策してない方がおかしいが、それなら6:4も怪しい気がする。

 成功するかどうかは、神だけが知ってるってわけね。


「あともう1つ、幻種系統について少し考えてみました」

「はぁ……」

「悪幻種と善幻種がありますが、ノールちゃんを見てると、悪幻種は特殊な魔法が使えるみたいですね」

「……【黒天の血魔法(サーキュレイアルカ)】か」


 今まで聞き覚えのない言葉で、とても強力な魔法だった。

 あの魔法の種類が使えることになるのは、俺たちが知る限り、ノールだけ。

 つまり、悪幻種か。

 だとすると、ナルーはどうなんだろうか?

 アイツは元が牛で、能力が食いもんを生み出すってヘンテコな技だ。

 ……いや、それはあの時に願った能力。


「……善幻種は、特殊な魔法を使えるんじゃなく、善意を持って願ったものを能力として授かる、って感じか?」

「多分そうでしょうね。こっちも時と場合によっては強力極まりないですが、なにぶん善幻種なんてなれる人は居ないでしょう。ヤラランがなるにしても、今の倍の魔力は必要ですから」

「……さすがに無理だわ」


 自分で言うのもなんだが、俺は自分の事を結構良い人だと思っている。

 しかも、自分より良い人に会ったことはない。

 ……これ以上の善意って、どんなだよ?


「……うーん、厳しいなぁ〜」

「そこはもう、愛の力でなんとかするしかないですね」

「……愛と善意って、微妙にちがくね?」


 微妙な論点のズレだとは思うが、愛と善意ってなんか違う。

 まぁ善意っちゃ善意なんだろうが……溺愛はよくねぇしなぁ……。


「……ま、今の所善幻種になるつもりはないし、研究しようぜ?」

「……そうですか。ヤラランも善幻種になって足が4本になれば……」

「ぜってーならねーよっ!!」


 そんな姿には死んでもなりたくない。

 この話はもうこれで終わりとし、各々仕事に戻るのだった。




 設定-了-

まだまだ書き残したことはありますが、設定の話はこれでおしまいです。

次回で完結とします。

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