表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/167

/155/:3年

最終章となります。

特に7章の人物設定とかはありません(大体死んでしまったので)

駄文ですが、最後までお付き合いください

 あれから3年経ちました。

 食物は地上に行けば自然と育った野菜や果物を食べ、水は川から汲んでそれで過ごしました。

 【界星試料】の研究はまだまだで、終わる兆しはありません。

 魔法の方はどんどん新しい知識は増えます。

 矢張り専門分野であり、趣味であり、こちらの方が好きでした。

 魔物については、生み出し続けています。

 多種多様の魔物を作り、飛行可能なものは完全制御(コンプリート・マネージ)で物置にし、飛べないものは陸に飛ばす。

 どのくらいの悪魔力が西大陸にあるのかは知りません。

 だけど、きっともう、善が8、悪が2ぐらいになったのではないでしょうか。

 そう思い、私はヤラランと魔物以外を選択に取り、界星試料で世界の善悪比を見ました。


「……7.1:2.9?」


 映し出されたのは絶望の値。

 嘘だと思いました。

 もう何十万と魔物を生み出してるのに、どうして比率は殆ど変わってないのか。

 魔物は人間に悪いことをする存在で、魔物同士の潰し合いもなく、寿命も死ななければほぼ不死なのに……。


 そのとき、世界全体の魔力量を見ました。

 善魔力は48兆から上がり、56兆。


 何故こんなに増えてるのでしょうか?

 私は少しそのことを考え、南大陸に偵察に行きました。


 私は圧巻しました。

 人口が増えてたのです。

 家と家の距離は近く、高層の集団住宅が立ち、人々は窮屈に暮らしてたんです。


 理由は単純明快。

 1つ、西大陸という領土が無くなった。

 2つ、世界がほぼ平和になった。

 人が死ぬことがなくなり、人は増え、なのに領土がない……。

 私は悩みました。

 どうしたらこの問題が解決されるのかを。

 なに、答えは簡単です。

 ようは――




 人が死んで、西大陸を渡せば良いのでしょう?




「――アハハハハハハハハハッ!!」


 そのことに気付くと、私は狂ったように笑いました。

 人を殺すのがどれだけ自分にとって重苦しいことで、ヤラランの志に背くことで、私が1番やりたくないことなのに。

 なのに、世界の平和を維持するためには殺すしかない。

 非情だ、非情すぎる――。

 私をここまで狂わそうとするなんて、いっそ狂えればどれだけマシであろう。

 だけどそれはできない。

 私には彼との約束がある。

 もう一度あの剣で刺すまでは、狂うわけにもいかない。

 どんな事にも耐え忍び、身を削ろうと魂を擦り減らそうと、心を狂気に明け渡して、約束を果たせないようになるのだけはゴメンです!!


「――やってやります、やってやりますよ……。私、私は――」





 ――どうせ死ぬこの命、世界のために使ってやりますよ――。






 その日の夕刻より、世界各地の至る場所に魔物を排出し始めた。

 なに、手順は魔物を作って地上に放出するのだから大差ない。

 瞬間移動があるのだから苦ではなかった。


 西大陸に侵攻するよう、タルナやバスレノスの王に話を持ちかけました。

 いろんな魔物の弱点も教え、彼らは大分の地域を1年余りで侵略してくれました。


 魔物はほぼ弱いものばかりを排出したためか、減少は著しく激しい。

 だから、人骸鬼や邪悪音龍(エヴィル・サウンド・ドラゴン)などの放出も微々たるものでありながらも始めました。

 人骸鬼は物理に弱いだけあってかなり死ぬため、放出の度合いは次第に多くなりました。


 だから――。




 1人の少年ができました。

 善悪調整装置で作った、髪がボサボサで無垢な目をした少年。

 筋肉もなくひょろひょろな体つきの男の子――。


「……ごめんなさい」


 どうしようもない弱々しい声で謝罪しました。

 けれど、きっとそれは聞こえなかったでしょう。

 少年はぼーっとしたまま辺りを見渡してます。

 そんな可愛い少年に、私は何をしているんでしょうか――。

 自分で打ち込んだ、画面に表示された文字を見ます。


 善魔力:0

 悪魔力:8000000


 言葉もありませんでした。

 もはや私の倫理観など狂っているのは間違いないんです。

 世界のために――そんな言葉でこのような犠牲を作る。

 もう私は、その事に――


 ――戸惑いはありませんでした。




 ボタンを押した刹那、響き渡った少年の叫び。

 私は1人、暖かい雫が頬を伝うのを感じ、泣き崩れるのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ