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厄介者の憂鬱  作者: むつき
1学期
11/13

祭り5

野外模擬戦闘が終了し勝った興奮冷めやらぬまま、一旦教室までクラスメート達が帰ってくると、

ビシャスとスティクは担任から学院長室にから呼び出しを受けた。


「スティク 何か褒美が出るんじゃないのか?」

「出るわけないと思うぞ」


と2人は、勝った余韻に興奮冷めやらぬまま、

「クラス1-1 A.ビシャス入ります」「クラス1-1 M.スティク入ります」と名乗りを上げて学院長室に入ると


2人の前には 学院長、副学院長、学年すべての講師陣が、並んで座っており 異種物々しい雰囲気に包まれていた。


2人が部屋に入室し、直立姿勢を取るなり、並んだ講師の一人より

「君達 何故 ここに、呼ばれたか理解しているね」

と、挨拶もそこそこに喋り始めた。


「野外模擬戦闘に勝利したからです!」

ビシャスが直立のまま言うと


神経質そうな別の講師が

「その事では無い! 隣の君はどうです。」


スティクは考えていた雰囲気と異なることに、戸惑いながら

「私も、勝利したことで呼ばれたと考えていましたので、わかりません」と返した。


神経質そうな講師が続けて

「とぼけても無駄です。 君達が神聖な学院の行事を汚したということで、

ある方達から苦情が届いているのです。 白状しなさい!」


担任のC.ケーションが

「まあ、皆さん、少し落着いてください、私から2人に話しますから」

というと


「ビシャス君、スティク君 端的に言うよ 

これから先の話は、もうはぐらかしたら 『ダメ』だよ、ちゃんと裏はとれてるからね


私が聞いた話は、君たちが活躍した模擬戦闘を利用して、ギャンブルの真似事をしたという人達がいるんだ。


その話が本当かどうか君たちに直接聞きたいと思って、ここに来てもらったんだ、勿論それだけでは無いけどね、


そのことについて、まず 正義漢の強い ビシャス君 しっているかい」


聞こうとすると横から唐突に別の講師が

「学院長、この2人の行為 既に、何を行ったか確認が取れているのです。

神聖な行事を賭け事に利用した、この2人の言い訳など聞かず、厳しい処分を」

と話している途中でまた


「ロンベルク副学院長 今はこの2人の担任である 私が聞いているのです、申し訳ありませんが 少しお静かに2人の話を、お聞き下さい。」

と間延びした言葉で、ロンベルク副学院長を黙らせると


「ビシャス君 どうですか?」


「…」


黙り 考え 決意したビシャスは、

「私が全て計画しました。」


「野外模擬戦闘を賭け事に利用したことだね」


「はい! そうです。 わたしが」

続けてビシャスが話そうとすると、ビシャスの前に手をだして、言葉を止め


「そこまで、ビシャス君 その後の続きは スティク君に聞きます。 それで、スティク君 君は?」


「私がビシャスより前に、計画を考えました。」


「続けて」

ケーション講師は、スティクに話の先を続けてるようほどこした。


スティクは観念し、携わった人の名前を伏せて、今までの計画・準備・戦った方法を、長い時間を掛け 学院長室で全て曝け出した。


話を全て聞いた後、担任のケーション講師は

「ビシャス君 助けようとした人の名前は 誰ですか?」


話をしたスティクでは無く ビシャスに問いかけた。


ビシャスは、大声で叫んだ。

「喋れません。」


「では、質問を変えます。 その計画に携わった人は誰ですか?  ビシャス君」


再びスティクには聞かれなかったが、意図せずビシャスと同時に

「人の名前は喋れません!」と大声で叫んだ。



すると

「なんだ その態度は講師に向かって、それが生徒の態度か! 学院長 この2人、誰の子息だろうが、即刻退学を言い渡すべきですぞ!」

ロンベルク副学院長が頭から煙を出して叫ぶ様に 学院長へ決済を求めた。


学院長は、

「まあ待て ロンベルク副学院長 君達講師陣も興奮して見ていただろう、今までのどのクラスとも違った、あの模擬戦を、 あの戦いで子供達は何が大事か悟り、ケーション講師 君のクラスも ずいぶんと、纏とまったのでないか?」


「はい 先程見てきましたが、ギクシャクとした雰囲気が無くなり、子供らしく 勝利したことに興奮冷めやらぬままといった感じでしたね。」


「そうだろう 皆が皆というわけでは無いが、こやつら位の、子供達が悪さをすれば、大人が拳で教えてやる程度で良いのだ。

大人の事情を絡ませて、子供が分からないまま、学院から放り出すのでは無く 罰を理解させ 反省させ

次に、騒ぎを起こさせないようにしてやればいいだけだ。」


と語り、学院長は

「ケーション講師 担任として、どの様な処罰が相応しいとおもうか?」


「私としては、賭博で受け取ったお金を返却させて、来月から始まる1か月の休みの間中 家に帰すことなく、この学院の道徳講義を、この二人にみっちりと教えればよいのでは無いかと思いますが」


学院長は、

「それだけでは、ぬる過ぎるな 今回、不正発覚により クラス1-1の優勝を取り消し、クラス1-5を繰り上げで優勝とする。」

と宣言すると


「…そんな」

スティクが、事の重大さによろめくと横から ビシャスが学院長に向かって飛び掛かった。


すぐさま、体格のいい、講師2人がビシャスの腕を取り、捕まえられビシャスは、動けないまま

「ふざけるな! 処分は俺達だけで十分だろう」

と叫ぶ


ロンベルク副学院長が、すぐさま ビシャスに咎める声が飛ぶ

「何だその口のきき方は 学院長に向かって失礼だろうが! ソイツを外へ放り出せ」


ビシャスは、激昂し涙ながらに学院長に向かって吠える

「皆 必死に考え あれだけ皆 必死になって、怖いのも耐えて がんばったんだ!   それを取消けすなんて どうかしてるぞ!」



そんなビシャスを見て、スティクも気持ちを立て直し、学院長へ抗議した。


「野外模擬戦闘を賭け事に変えたのは私です。 責任は私が取ります。

他の皆は関係ありません 野外模擬戦闘については、ルールどおり 

幹部養成クラスの方達と正々堂々と勝負して勝ったのです。

それについて 学院長から 不正と言われる理由は無いと考えます。」


「それに 不正と言うなら 幹部養成クラスも、私たちが持っている モバイル端末の 電波をハッキングし、監視しながら作戦を立てていました。 これも不正だと考えます。」



すると学院長は声を一段落とし、

「きさま 今言った言葉に、証拠はあるのか?」


「証拠」


言葉に詰まるスティクの横からビシャスが

「証拠が無ければ、生徒を信じないのか この学校は、人の粗ばかり探して何が講師だ おかしくて笑ってしまうわ!」

と叫び、講師を振り払い学院長の前に進もうとするが、講師からは逃がれられない。


横に立っていた スティクは違った、無言の儘、学院長に飛び掛る姿勢を整えた瞬間

担任のケーション講師が横から出てきて、スティクを羽交い絞めにした。


「だめだよ 2人とも 学院長の前だよ、この学院で一番偉いんだよ」

と間延びした声を掛けるが、今の2人には聞こえてない。


「貴様たちの、この場での態度は許されん。それだけで無く、講師への態度、お前達がどれほどの事をしたのか示しが掴ん 中央に連れてこい」


ビシャスは講師2人に中央に連れてこられ、スティクはケーション講師から腕を解かれ、2人は、納得できないまま 講師達のちょうど中央に直立で立つと。


座っていた学院長が立って、熊のような大きな体で近づき

「両名 歯を食いしばれ」

と言った瞬間


大きな音が2度すると、中央に立っていた2人が壁に激突した。


「学院長 学院の英雄に これは、幾らなんでも ひどいすぎます」


「2人とも大丈夫ですか?」

担任のケーション講師が慌てて、2人に近づき、怪我の心配するが、 顔の半分を腫らし、ビシャスは顔は学院長へ向け、スティクは俯いたままだった。


学院長は、学生2人とこの部屋全員に向かって

「処罰は決定した、2人共 この部屋から退出せい」


言われても、動かない2人に対し、学院長は顎で『連れていけ』と合図をすると、顔の腫れの為上手く言葉が喋れず、ビシャスは『学院長を睨らみながら』講師に抑えられて、俯くスティクは講師に抱えられるようにして扉を出て行った。



2人が退出したのを確認し

「今年の一年は、特に骨が折れる」と苦笑い の後、


「みな聞いての通りだ、あの2人が指揮したクラスは不正をしたかも知れんが、実際の戦時には起こりうる情報操作をしただけで、

戦いに至っては、クラス一丸となって正々堂々戦い、ものの見事に幹部養成クラスに勝ったのだ。

しかも、幹部養成クラスしか知らん モバイル携帯を利用した切り札を逆手に取ってだ。


素直に褒めてやりたいが、この国が逼迫している世情では、そうも言ってられん、一般クラスに惨敗し、見苦しく負けたという騒ぎが、学院の外に広まらないように、ある程度、無茶な情報操作しても構わん、くれぐれも各自、注意して騒ぎを鎮静化するように」


「ロンベルク、この際だ 調査していた異分子リストから、1/10程度 罪をかぶせて騒ぎを起こさず辞めさせろ 人選はロンベルク貴様に任す。」


「はっ 了解しました」



「リーザ軍事顧問 今までの個人モバイル携帯の索敵作戦は今後中止し、新たな案を私に持ってくるように


もう一つ、今回 指揮を担当したものは、リーザ殿が、国の為に使えると考えているなら、責任を取ることを条件に、他のクラスに回して様子を見ろ、それ以外の判断は『記憶の一部を消し』退学だ。 


一度土のついた者では、飾り雛として、今後使えん」


「検討し、ご連絡させて頂きます。」



「ケーション講師、英雄2人に、この学院は窮屈だろうが、学院を辞めさせる事無く、この世の中を教えてやれ 特に汚い大人のやり方を」


「わかりました」


学院長は次々担当講師陣に次々指示をだしてゆく。




その後、学校での優勝したクラスの話は、時間の経過と共に学園の7不思議の様な曖昧な噂に変わって消えていた。

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