表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/42

第十章:屈辱

★意外と早い更新です。次話と合わせてどうぞ〜★ その闇に足を踏み入れた時――本来の姿が顔を現す……

「本当、無茶するよなぁ」

 相楽臣さがら しん

 声がしたほうに目をやると薬品棚の横のドアから、相楽臣が姿を現した。

「危なかったね」

 奴はオレが寝ているベッドに歩み寄って来た。

「……!」

 まだ声が出ない。そもそもオレは何で……

「クスッ、君は爆風に巻き込まれたんだ。隕石を爆破する際の」

 聞こうとしたことを察知したように奴は言った。目を見て分かったのだろうか。オレはそのことが気に入らなかったので目を逸らした。

「すまないが、私はこれから会議があるので今から出掛けなくてはならない。君の服はそこのカゴの中だ。臣、後は頼んだぞ」

「はい、先生」

 白衣の男が部屋を出て行き、相楽臣と二人きりになる。オレは嫌だったのでベッドから起き上がろうとした。

 ああ、まだ喉が変だ。苦しい。

「あっ、大丈夫?」

 オレがベッドから落ち掛けると相楽臣が素早く手で支えた。

「……」

 声が喉につまり、さらには腕や足がろくに力が入らないオレは無言になる。

「薬効き過ぎだな。あとで父に言っておこう」

 いったい何をされたんだオレは? どんな薬を投与されたんだ? と不安というより不信感が沸いて来る。

「……」

 声が出ないため、それを聞くことすらできない。どうやって伝えようか考え――

「……」

 オレは訴えかけるように相楽臣の顔を凝視した。

「ん、何?」

 “オレは何を飲まされたんだ?”――目だけでそう問いかける。

「あ?」

 奴はオレの目を見て何かわかったように目を見張った。が

「待ってて、今“着替え”させてあげる」

 何、 何でそうなるんだ!?

 奴はオレの服を取りに行った。

 “いいから! いいから、やめろ……そんなの後でやるからほっとけ!?”

 オレは必死で訴えかけるが、全く伝わらず

 ――屈辱!

 

 奴にガウンを脱がされ、服を着せられ――オレは“介護老人”か!?

 それは、あまりにも惨めだった。

「もう少し休んでて」

 奴はまたオレをベッドに寝かせた。

 “なら、着替えさすなよ!?”

 奴の後ろ姿を見ながらオレは行き場のない感情を噛み締め、狂気していた……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ