右手に線香花火、左手に彼。(200文字)
掲載日:2011/09/12
安物の線香花火は、長続きしない。
赤い玉ができたと思った矢先、地面に吸い込まれていく。
私と彼は、せっせと線香花火に火をつける作業を繰り返した。
残り、一本。
「君がやりなよ」
そう言って、彼は私の左手を握った。
最後の一本は、赤い玉ができる途中で地面に落ちてしまった。
「あれ? 落ちるの早すぎじゃない?」
首を傾げる彼に、
「あんたが私の手を握るから、……震えちゃったのよ」
真っ赤な顔を見られないよう俯いて、呟いた。




