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恥知らずにも程がある

作者: 澤(はわ) 蜜硫(みつる)
掲載日:2026/10/05

婚約指輪をフリマアプリで売った利益で自分の友達と旅行に行こうとした元婚約者に、レストランで証拠と破り捨てた婚姻届を突きつけてスカッと撃退し、前を向いて歩き出す女性を描いたショートストーリーです。

 恥知らずにも程がある。

 もう我慢出来ないわ。だって彼ったら……

 静寂を切り裂くように立ち上がると、店内中の視線が一斉に私たちへ集まった。驚きに目を見開く二人の顔を見下ろし、私は冷ややかな笑みを浮かべる。

「その言葉、そっくりそのままお返しするわ」

「……まさか、自分の婚約指輪をフリマアプリに出品して、その売上金で私の友達と旅行に行こうとしていたなんてね。しかも『利益が出たから奢ってやる』なんて、どんなツラをして言っているのかしら?」

店内を包む静寂の中、私はスマートフォンの画面を二人に見せた。そこには、出品者のアカウント名と、彼がドヤ顔でSNSに投稿した写真が完璧に一致している証拠が映し出されている。

顔面を蒼白にする彼と、何も知らされていなかったようで慌てふためく女友達。二人の言い訳を制するように、私はカバンから婚姻届の破片——あらかじめ破り捨てておいた用紙——を取り出し、テーブルの上へ静かに滑らせた。

「請求書は弁護士を通じて送るわ。二人で仲良く割り勘で払うといいんじゃないかしら。……さあ、どうぞお食事を続けて?」

私は二人に優雅なお辞儀をすると、背筋をピンと伸ばしてレストランを後にした。夜風が火照った頬に心地よく吹き抜ける。胸のすくような解放感とともに、私は新しい人生へ向かって歩き出した。

 恥知らずには恥知らずな仕返しが有効よ。

 独りでお眠り。しかし、独りなのはわたしの方だった。

 早く新しい恋人を見つけよう。ただ平然として生きていたら、悔し過ぎるから。でも哀しい顔を見せるのも気に食わない。

 彼には恥知らず君という渾名をつけて、その記憶は永遠に封印しよう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

婚約指輪をフリマアプリに売られて怒らない女性はいませんよね……。スカッとスカッとする仕返しで、前を向いて歩き出す主人公を応援していただけたら嬉しいです。

もし少しでも「スカッとした!」「面白かった!」と思っていただけましたら、評価やブックマークで応援していただけると大変励みになります!

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