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止まない雨に傘を差して  作者: もち
1章:雪解雨
3/9

確率がバグってる

やっとヒロインが話します..!


 

 真白から視線を感じて早1週間。

 結論から言うと・・・和泉真白が俺を見ていた理由は、これだった。


小晴こはるくん!一緒のグループだね。よろしく!」


「うん!よろしく海人かいとくん」


「ふわぁ・・今日は何だか眠いね」


「海人くんちゃんと寝た?寝不足は体に悪いから気をつけてね」


「ああ、もちろん。でも、今日は小晴くんと一緒の班だから頑張れるよ!」


 海人の言葉に俺は笑って返す。男子は海人へ嫉妬の目線、一部の女子(ヒロインズ)は俺に嫉妬の目線を向けてくる。無論、真白も例外ではない。

 そう・・・俺はギャルゲーの主人公こと長谷川海人と同じグループになってしまったのだ。

 今は数学のレポートでこいつと一緒なのだが、何故か家庭科や社会のフィールドワークでも一緒の班なので、ヒロインズからめっちゃ羨ましがれられてる。海人こいつはこいつで男子から敵意を向けられているがな。

 だが、ここで問題が発生している・・・俺の数学の班には海人以外に、橘燕と新庄日向もいるのだ。お嬢様転校生とツンデレ幼馴染キャラ。この2人、水と油みたいな関係で何かと争っている。主に海人のことで。

 けどそんな2人も、今は俺を敵視しているのがよく分かる。


「あら海人くん、()()()()()()()()()って、無理に頑張る必要ないですよ。作業は私と新庄さんと小暮くんで進めておくので、ゆっくり休んでください」


 そう言ってノートをまとめる手を動かす橘さん。名前読んだ時に俺を見た目が全く笑ってない。”小暮くんがいるから” ってとこ、わざわざ言う必要ないよね??


「今回ばかりは私も同感。海人、疲れたならしっかり休みなさいよね」


 そう言って腕組みしている新庄さん。橘さんと違って俺に敵意を向けてくることはないけど、たまに子犬みたいな羨望の眼差しを向けてくるのやめてください。君のこと好きな俺の友人に羨ましがられるんです。どうしてくれるんですか、ちょっと気まずいじゃん!


「みんな心配しなくても大丈夫だよ。今日は仲良いみんなと一緒だし、小暮くんとは1年生ぶりに一緒の班になれたからね!」


 すごい今の発言でこの場の気温が30°下がったぞ多分。ヒロインの目からハイライトが消えて体の震えが止まりません。


 この男・・知っている上でわざとやってんのか知らんけど、周りの空気を読め!目の前の女の顔を見ろよ!お前には目の前の般若はんにゃの姿が見えないのか!!


「小暮くん」


「小暮」


「「ちょっと休み時間に話が」」


 女子の嫉妬って怖い。






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 とまあ、こんな感じで俺は数週間過ごしたんだ。もうギャルゲーじゃなくて修羅場回避ゲーに変えろよ。

 ヒロインズが俺に突っかかってくる不安要素は二つ。一つは、俺が海人と付き合っているかどうか。いや死んでも断固拒否なんだけど。

 海人くんはただの友達です、って言って、どうにかやり過ごせた(?)けど。俺は普段から海人と関わるほど交流はない(自分から絶ってる)しな。

 二つ目は、俺が海人のことを好きなんじゃないかって話。これが中々信じてもらえない。僕の恋愛対象は女の子です、って言っても信じてもらえない。どーしろってんだ。好きな人がいると言えば、多少信憑性は増すだろうが、ならその相手は誰なんだと、根掘り葉掘り聞かれかねない。流石に和泉真白さんです、って答えるわけにもいかないし。てかそんなことしたら社会的に死ぬ。

 けど、俺にも非はあると思う。なるべくゲームの中の “小暮小晴” を忠実に再現しようとした結果、主人公を可愛さで元気付けるタイプのヒロイン感が出てるのは自重する。まぁ俺のこと女の子として見てくるやからとは関わりを避けたりしてるけどな?海人も例外じゃない。


 だから、海人との恋人疑惑?は解消できたけど、俺が海人のことを好きなんじゃないかっていう疑いはまだ残ったままだ。

 そしてそれは・・橘さんや新庄さんだけでなく、和泉真白も疑っていることだ。

 海人とのグループ活動が一段落ついて、今度は真白と一緒のグループになったんだ。しかもペアワークっていう。本来ならガッツポーズするくらい嬉しいことなんだが・・・


「和泉さん、ここの範囲終わったよ」


「ありがとう、確認する。それとさっき送ってくれたスライド、修正しといたから見てくれる?」


「わかった」


 そう言って、再び作業に戻る。


 ・・・・空気が重い!!!

 別に怒られている訳じゃないし、真白が俺に対して当たりが強いとか、そう言ったことはないけど・・・

 言葉の一つ一つが単調で、一緒のグループになってからずっと無表情で作業している彼女を見ると、どうしても緊張してしまう。

 いや、原因は分かってるよ!海人あいつの件だろ!!ちくしょう神様!俺が何したって言うんだよ!!


 そう思いつつ、こちら側に非があることも否めないので、溜まったストレスをスライド作成にぶつけた。

 そして、他のグループなら3時間かかる作業を俺たちは1時間で終わらせることができた。


「ありがとう小暮くん、おかげで早く終わったよ」


 普段なら好きな子から褒められて嬉しいはずなのに、怖くて素直に喜べねぇ!

 慎重に言葉選びしないと・・・


「そ、そんな僕なんて大したことないよ。和泉さんが教えるの上手かったから、僕も色々理解できて作業が進んだし」


「いや、そんなことないよ。面倒臭いって言ってサボる人はたくさんいるもの・・・それに、私が率先してまとめたりリーダーしてると、普段ちゃんとやる人も意欲を失っちゃうから、全部私がやらないように調整したり、みんなに役割を振ったり・・・自分勝手に苦労することが多かったから」


 真白は周囲のクラスメイトをチラりと見る。その顔はどこか負い目を感じている気がした。

 俺も同様に教室を見渡す。

 友達と一緒になった人は雑談して、作業が止まっている。あまり面識がない者同士は沈黙が続き、耐えきれなくなったら、ペア関係なく仲良い人と話している。

 確かに真白の言うことは最もだと思う。俺もこんなにやる気があるのは好きな子と一緒だからだし、友達がいるかいないかで熱量も違ってくる。

 そうじゃなくても、あまり話したことない人とは上手くコミュニケーションが取れなかったりして、作業が進まない場合がある。グループ内で意見が対立して、収集が着かなくなるケースもある。

 グループワークは単なる知識だけじゃなくて、人とどれだけ意思疎通できるかが鍵になってくるからな。

 極端な話、普段からサボってる人と一緒のグループになっても、そいつと仲良いクラスの人気者みたいな奴が架け橋になれば、サボり魔も一転してグループワークに積極的なるかもしれない。

 正解も攻略法もないんだ。真面目な真白の性格を考慮すると、人一倍苦労しているよな。


「僕は自分勝手だって思わないけどな。相手の気持ちもちゃんと考慮して、グループの中で上手く作業を進めようと頑張ってるじゃん。放棄したり、一人でやろうともしないでさ。人に向き合うことって、重要なことだけど、怖くて逃げちゃう人もたくさんいるし、真剣に一人一人のことを理解しようとしてる和泉さん、本当にすごいと思う」


「小暮くん・・・そっか、ありがとう。そう言ってくれるとすごく安心する」


 そう言って、優しそうに笑みを浮かべる真白。

 くっ・・・急な不意打ちはやめてほしい。心臓に悪いじゃないか。

 ていうか、勢いで思ったことそのまま口に出したけど、俺今めっちゃ恥ずかしいこと言わなかったか??どうしよう穴があったら入りたい。

 彼女に引かれてないのが唯一の救いだな・・・でも恥ずい!


「いやいやこちらこそ!グループワーク手伝ってくれて本当にありがとう!」


 恥ずかしさを誤魔化すように頭を下げる。表情は見えないが、彼女がクスッと笑った気がした。

 最初あった緊張感は無くなったのかな?少し安心。


「そういえば、小暮くん数学の課題難しいって言ってたよね」


「あー言ってたね。解説見てもよく理解できなくって、ちょっと困ってるかも」


 って、俺は好きな子の前で何を言ってるんだ。情けなさすぎる。


「確かに数学の解説って、説明省いてるの多いからね」


「そうなんだよね」


 まぁ最悪AIに聞けば分かることではあるが・・精度はともかく

 真白はあごに手を当てて何やら考え事をしている。


「・・・よかったら私が教えようか?」


 ・・・・・・・・・・・・・・ん、うん?

 今なんて言いました??






長くなったので切りました。

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