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グリーン・インパクト  作者: 未来が見えない
第一章 交錯する世界

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第三十三話 T.O.レックス

 このでかい鳥もどきは一旦捌いて枝葉で隠すとして、周囲の状況を確認した方が良さそうだ。何か良くない雰囲気を感じる。


 そもそも、俺はこの鳥もどきを見たことがねえ。前回、狩に出たときもだ。こんな村の近くにこいつがいたら真っ先に狩るはずだ。獲物としてもいいが、村に被害が出る可能性もある。おそらく奥地に生息していたのだろうが、より強い生物がこいつを追いやったに違いない。そして、追われたこいつは餌にありつけなかったことから、俺らを狙ったと推測する。


 これが合っているかどうかは分からないが、かなり近いはずだ。


「サブ、コイツの臓物を出して、血抜きしたらもう少し先まで行くぞ」

「え、分かったっス。にしても見たことない生き物っスねー」

「ああ、だが、こいつもおそらく何かの標的だったんだろうな。逃げ延びて腹を空かせたって感じだな」


 サブは、なるほどと手を打つ。俺は鳥もどきに近付く。


(――宿れ、刃虫(ハムシ)


 形態変化させるように創造する。刀のようなものに腕を変化させた。そして腹を裂き、必要な臓物を葉に乗せて分ける。


 太いつるを鳥もどきのでかい足に結ぶ。そして近くの木に吊り下げるようにくくりつけ、首を落とす。自然落下による放血処理を施した。近場にある、朝露を貯める籠草(カゴクサ)の水で洗浄し、食材をすべて吊るして枝葉で隠した。これでよし、と。


「ゲンの旦那あ、手際いいっスね。おれっち、つるを持ってきただけで終わったんすけど……」


 サブのモヒカンが、感情表現のように少し項垂れる。お前のモヒカン、生き物かなんかなのか?どうなってんだそりゃ。


「これくらい、狩人なら朝飯前だと思え、サブ」


 捌いていた腕刀の血を払い、元の腕に戻した。


「確かに、もっと学ぶッス!」


 サブは元気な声で答えた。ふ、まあこいつも色々考えてやってるみたいだしな。さて、村に危害を与える生物の可能性は避けたいからな。散策に行くとしようか。


「あ、ちょっと、ゲンの旦那あ。先に行かないでくださいっス」


 サブは、先々行くゲンの後ろ姿を小走りで追いかけた。


 ◇


 ――森林を抜けた先、広大な草原が広がっていた。ゴツゴツした岩場も所々にあり、何かがそこに潜んでいそうだった。


 その場には死臭が漂う。おかしい。ここはバガールの群れが草を食べるために横断していく場所だ。だが、群れがそもそも見当たらない。


 辺りを見渡しながら、しばらく歩く。


「なんか、静かっスね。あと、血の匂いが近づいているような……何かいそうっス……」


 サブは肩を震わせながら、いつでも戦えるように腕をすでに形態変化させていた。


「そうだな、変だ。バガールの群れもいない。静かすぎる」


 ここいらは、もう少し生き物がいてもおかしくはないはずだ。なぜこんなに静かなんだ。なっ――


 二人が向かった先に、匂いの元凶があった。岩場に囲まれた場所の近くに、バガールの群れが山のように積まれていた。


 ――これは一体誰がやったんだ? 捕食者としてここまで出来るのは、相当な上位種でなければ無理だ。そしてこの裂傷。頭部を噛みちぎるかのような裂け方……ほぼ一撃でバガールを仕留めていると見て取れる。


「おれっち、トイレ行ってきやすね」


 俺は手で合図をしてテキトーに返事をした。そして、バガールの仕留められた傷跡を手でしっかりと確認していく。


 おかしい。こんなに大量の獲物を置いてどこかに行くなんて……何か見落としているのか?


 背後で何か動いたような気がした。


「旦那あ! うしろおおおっ!!」


 サブは大声で俺に叫ぶ。俺は背後を見た。そこには、巨大な恐竜がいた。


 巨大な橙色牙の王(T.Orfanrex)は、どうやら岩場に擬態していたようだ。


 チッ、すかさずフライバエへ形態変化し距離を取ろうとした瞬間――


 巨大な橙色牙の王(T.Orfanrex)が速かった。羽を一枚、噛みちぎられる。


 があっ……なんて速さと噛む力だ。


 俺は巨大な橙色牙の王(T.Orfanrex)を見据える。


 こいつ、デカいな。


【バガール】

(生体構造)

体長:2m位・四足歩行の草食動物

大きく捻れた角が特徴

(集団のボス個体によって身体が一回り大きくなる)


(生態情報)

食性:草

習性:集団で移動する。


分布:草が生い茂る場所


<討伐難易度>

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

(ボス個体差アリ)


<ソウのコメント>

コイツは、太ももの部分が特に上手いんだ。でも、毛皮の処理が結構手間で食べる時に毛がついたりするからちゃんと洗うことだな………

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