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グリーン・インパクト  作者: 未来が見えない
序章 始まりの血脈

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第二十八話 緊急招集

 ガニメデがタイムトラベルを行って間もなく、関係者全員のデバイスに緊急通知が送られた。


 その頃、博士は自宅の展望室で次世代型望遠鏡を覗いていた。


 『情報エネルギーコア(IEコア)、一時消費エネルギー大。復帰処理実行中……しばらくお待ちください』


「何かね、不具合か……こんな時間に……なっ!?」


 アラート音が鳴り響き、博士は星の観測を中断する。宙に展開された情報ウィンドウを確認すると、使用されるはずのない情報エネルギーコア(IEコア)が稼働した痕跡が表示されていた。


 しかも、その消費エネルギー量は常識を逸している。


 博士は一瞬で結論に辿り着いた。


「最高権限発動。使用者の解析を実行」


 ――解析開始

 ――適用コード確認

 ――照合データ参照中

 ――コード:ガニメデ

 ――光遡行空間移動装置(タイムマシン)とリンク済み

 ………………………etc


「はあ、彼か。私も立ち会う予定だったのだがな。ハウメア君も黙認していたのか?……連絡してみるか」


 博士は額を押さえ、軽く息をついた。そのとき、来訪者を知らせるホログラム通知が届く。映し出されたのはラウアの姿だった。


「大変です、博士! 情報エネルギーコア(IEコア)が不正利用された可能性があります。早急に確認を――」


 彼女は明らかに焦っている。普段は冷静な彼女だが、博士と二人きりという状況もあり、素の感情が表に出ていた。


「ああ、落ち着こう、ラウア君。それは既に確認済みだ。……それより、なぜ私の家を知っている? 個人情報は秘匿してあるはずだが」


「え、えっと……博士のことが好きすぎて、尾行して……えへ」


 ラウアは舌を出して戯ける。


 博士は深くため息をついた。


「その話はまた別の機会にしよう。今は有事だ。部隊を研究所ホールへ招集しろ」


 ラウアは一瞬ビクリと体を震わせ、即座に表情を切り替える。


「は、はい! 了解しました、博士!」


 ◇


 夜半、緊急招集されたのは警備および特殊部隊の面々だった。眠気を残す者もいるが、空気はどこか張り詰めている。


「んー……なんで私たちまで呼ばれたんですかね」


 トリトンが小声でつぶやく。


「私も理由までは聞いていない。ただ緊急招集とだけだ」


 ハウメアは苦い表情で答えた。


 エウロパは黙したまま立っている。


「そういや、あのゲスがいないな」


 イオが吐き捨てるように言った。ガニメデの不在に気づいたのだ。


 そこへ博士が姿を現す。


「諸君。召集の理由を説明しよう。光遡行α-A部隊(α-A部隊)コード:ガニメデが、単独で中生代へ向かった。明確な規律違反だ。」


 場がざわめく。


「彼は独断で行動した。目的は不明だが、研究チームを軽視した行為である。よって、彼を拘束し帰還させる。手付金の権利は剥奪済みだ。そのことも伝えよ。あわせて、以前命じたアレの回収も頼む」


「チッ、隊の恥さらしが」


 イオが苛立ちを隠さない。


「想定外だな……」


 ハウメアは情報ウィンドウを閉じ、静かに呟いた。


 博士は続ける。


「実に不愉快極まりない。まったく、N数を増やせないのは残念だが仕方あるまい。光遡行α-A部隊(α-A部隊)は、明日から順次、一人ずつタイムトラベルを行う。時間間隔はできる限り空けるな」


 そして一拍置く。


「ガニメデが帰還に反抗した場合――最悪、殺しても構わない。四名で任務を達成せよ。よいな?」


「ハッ!」


 四人は一斉に敬礼した。


 ◇


 翌日。


 トーナメント途中の敗退順でガニメデと同立だったエウロパが、光遡行空間移動装置(タイムマシン)とリンクし、タイムスリップを開始する。


 だが、わずかな時空間の歪みによって、彼女は崩れた時系列へと飲み込まれてしまう。


 ――これは、また別の物語。


 


 

いつもお読みいただきありがとうございます。皆さまからのブックマークや高評価が、執筆の大きな励みになります。これからも楽しんでいただけるよう精一杯書いていきますので、引き続き応援よろしくお願いします!

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