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グリーン・インパクト  作者: 未来が見えない
序章 始まりの血脈

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第二十二話 ガニメデVSトリトン②

トリトンはビル群を三棟まとめて貫通し、瓦礫と粉塵の中へ吹き飛ばされていた。


鉄骨が歪み、ガラスが砕け散る。


『右半身凍結確認。神経伝達遅延。機能出力49%』


――個人デバイスAIの無機質な報告。


トリトンは軽く舌打ちする。


体内循環を加速。生成水を凍結層の内側へ送り込み、氷と肉体の間に水膜を形成。


『内部加圧処理開始。剥離率28%』


氷が内側から弾け飛ぶ。


さらに水流を体表へ展開。層状に圧縮し、可変緩衝フィールドを構築。


「んーん……やだねぇ。本気出そうかな」


血を拭い、青いロングヘアーをかき上げる。


「顔は好みじゃないけどさ、ガニメデ。君の戦い方は嫌いじゃない」


ガニメデは確信していた。


(あの氷フックは直撃だ。内部まで凍らせたはずだ)


その瞬間。


轟音。


トリトンを吹き飛ばした方向から、水が噴き出す。


ビルの隙間という隙間から濁流が溢れ、廃都市を呑み込む。


ここで、別の声が響く。


『フィールドに大規模水流発生! トリトン、環境支配を開始!』


――トーナメント進行AIの実況。


声は明らかに熱を帯びている。


「チッ……!」


ガニメデは空中へ退避。迫る濁流を次々と凍結させる。


『ガニメデ、広域凍結で対抗! しかし水量が圧倒的だ!』


凍らせる端から砕ける。


『水圧上昇! 凍結層、保持不能!』


背中の傷が軋む。


『個人デバイス警告:背部損傷悪化』


(くそ……!)


上空ではトリトンが水の触手で浮遊している。


濁流は一方向へ収束している。


『おっと! 水流が一点へ集中! 地形スキャン――前方に低地! これは誘導だ!』


ガニメデが気づく。


「しまった……!」


「んーん、水圧で押し潰れなさい」


――ザパァァァッ!!


四方から水壁が立ち上がる。


完全包囲されたガニメデは焦っている。トリトンによる策により盆地へ追い込みが完成していた。


ガニメデは最大出力で凍結。


氷壁を構築。


だが水は止まらない。


「水圧が増加しているな。凍結は逆に質量を増やす! これはまずい!」


骨が軋む。


「くそカマ野郎がああぁ!」


「汚物が何か言ってるねぇ」


トリトンは楽しそうに笑う。


だが次の瞬間。


ガニメデは足裏へ氷爆弾を装着。


『何か仕掛けるぞ!?』


――氷爆弾は爆発して風を起こす。


爆圧で直上へ射出。


『突破成功! 急接近! 距離三メートル!』

進行AIは、前のめりになりながら解説する。


「お前だけが飛べると思うなよォ!!」


極低温を拳へ凝縮。


「オラァァァ!!」


トリトンは微笑む。


「本当、君ってひとは」


――点火。


閃光。


爆炎。


衝撃波が空間を震わせる。


『爆発発生! 解析中――水素反応だー!』


ガニメデは地面へ叩きつけられる。


動かない。


『戦闘不能判定! カウント終了!』


トリトンが静かに降り立つ。


「水を分解して水素を生成。拡散させておいたんだよ」


『不可視領域爆殺戦術! トリトン、冷静に罠を完成させたァ!』


『第一試合――決着! 勝者、トリトン!!』


歓声が響く。



フィールドが粒子へ分解される。自身のアバターとのリンクも切れていく。


濁流が消え、都市が消え、光導ラインの床へ戻る。


トリトンは片膝をつくガニメデへ近づく。


「最後の突破は悪くなかったよ」


「……クソが、次は勝つ」


『敗者ガニメデ、医療プロトコル起動』

医療AIである白いロボットがやってきて治療を施している。


そして、イオが歩み寄る。


「無様だな」

イオは一言ガニメデに呟いてその場を去った。


(クソ女が…)

ガニメデは心の中で悪態をついた。


『さあ続いて第二試合! イオ vs エウロパ!』


床が発光する。


『フィールド設定:砂漠! 高温環境、視界不良、砂嵐発生率30%!』


都市が崩れ、砂丘が隆起する。


『両選手、アバター同期開始』


イオが歩く。


エウロパが無言で立つ。


『観客の皆様、次なる激突にご期待ください!』


光が二人を包む。


『第二試合――開始ッ!!』


砂嵐が巻き上がった。

いつもお読みいただきありがとうございます。皆さまからのブックマークや高評価が、執筆の大きな励みになります。これからも楽しんでいただけるよう精一杯書いていきますので、引き続き応援よろしくお願いします!

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