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グリーン・インパクト  作者: 未来が見えない
序章 始まりの血脈

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第十話 代償

 ――村人たちは、ゲンたちによって大広間の物見台の近くに集められていた。

 およそ三百名ほどの村人が物見台を正面にして立ち、その台の上にはゲン、ラルク、ソウ、そして村長であるヤンガの四人が並んでいる。


(ザワザワ……ザワザワ……)


「一体なんなの? こんな大勢集めて。村長を決めた日の宣誓日以来じゃない? こんなことするなんて。」

「なんだってんだ。日も暮れてしまう時間帯だぞ。」

「わたしも夕飯の支度をしてたら、あの少年が『おばさん、今から大事な発表があるから物見台に来て。絶対だよ!』って、真剣な眼差しで言うから来てみたのよ。そしたら村のみんながいて、びっくりしたわ。」


 村人たちは一体何事かと、不安を口々にしており、事態を飲み込めていない様子の者ばかりだった。


 ゲンは、ぱんぱん、と手を叩き、視線を集めた。


「みんな、集まってくれてありがとう。今ここに呼んだ理由は、全員に関係することだ。そして、悲しむ者も出るだろう。単刀直入に言う。我ら食糧調達に出た狩猟班は、奇妙な怪物と遭遇した。三班とも全滅状態で、生き残ったのは、おそらく我々三人だけだ。」


(!!?)


 村人たちは理解が追いつかない様子だった。思考を止める者、驚きを隠せない者、それぞれの顔に疑問と混乱が浮かんでいる。


「ゲンの言っておることは本当じゃ。わしの孫、ヤンも、そやつに殺されたのじゃ。」


(ザワッ!!)


 悲鳴や「信じられない」といった声が、一斉に四人へと向けられる。それも無理はないと、彼ら自身が理解していた。だが、これしか方法はなかった。


「私の息子、ジェスは? いないの? ねえ、全滅ってどういうことなの? 捜索したら、いるかもしれないじゃない! 時期尚早すぎるわ!」


 母親としての叫びは、あまりにももっともだった。

 だが、ゲンが「三班とも全滅」と言った理由がある。


 ラルクは知っていた。班長たちは、すでに死んでいる。

 ヤンの最愛の人アンナは班を率いており、残る二つの班の班長の頭も、怪物の胴体に乗せられているのを、ラルクはこの目で見ていた。


 つまり、あの場にいた者が生き残る可能性は、極めて低い。仮に生き延びていたとしても、食い繋ぐ物資は足りない。集合場所であり緊急避難先でもある二対の巨木に、生存者は現れなかった。帰路でも、誰一人として遭遇していない。


 ゲンやラルク、ソウは、道中で仲間の痕跡を探し続けていた。だが、怪物は討伐されておらず、次の被害を防ぐためにも、区切りをつけねばならなかった。だからこそ、「全滅」と伝えたのだ。


「それに関しては、限りなく可能性が低い。いや、ほぼゼロだ。申し訳ないが、今から調査は無理だ。」


 ゲンは、一切の希望を持たせぬよう、はっきりと告げた。それは、彼なりの優しさでもあった。


「そ、そんな……嘘でしょ……。生きてるかもしれないのよ? 見殺しじゃない! お願い、調査に行って! 様子だけでも見に行ってよ!」


 ――ザッ。


 ソウは苛立ちを抑えきれず、一歩踏み出し、思わず口を開いた。


「おばさん、あのな。見殺し? 様子を見る? お願い? 俺らがここまで来て、これを伝えた理由が分からないのか? 自分は何もしないで、俺たちだけ危険に行かせて、ここで待つだけなのか? 調達部隊に志願したジェスの気持ちはどうなる? 死だって、狩猟をしていれば起こり得る。ジェスだって、それを分かってたはずだ。あんたは――」


「フガッ……モゴモゴ。」


 ソウはゲンに口を押さえられ、言葉を封じられた。


「何すんだよ、親父!」

「これ以上、言うな。お前は言い過ぎる。」

「……。」


 ソウは黙り込んだ。


「お母さん、ジェスのことも考えてやるんじゃ。それに、村のみんなも、もう察しておるじゃろう……。」


「ジェス……ジェス……。」


 母親は啜り泣き、その場に座り込んだ。


 ――そして村人たちは、先ほどとは打って変わり、静まり返っていた。

 事の重大さと置かれた状況を理解し、亡くなった者たちに涙を浮かべている。


「明日は急じゃが、慰霊祭を行う。親しかった者を中心に、供花をくべるのじゃ。わしらからの手向けじゃ。せめて、彼らを誇りをもって送りたい。わしも、ヤンを失っておる。皆の気持ちは分かる。」


 村人たちは涙を浮かべながらも、次第に心を開いていった。


「ああ……ヤンや村の民のためにも、慰霊祭だ。灯火と供花で、彼らを送ろう。」


 ラルクは、強く拳を握りしめた。


 ――ここにいる者すべてが、悲壮感を胸に抱きながらも、前へ進むための大きな一歩を踏み出そうとしていた。


いつもお読みいただきありがとうございます。皆さまからのブックマークや高評価が、執筆の大きな励みになっています。これからも楽しんでいただけるよう精一杯書いていきますので、引き続き応援よろしくお願いします!

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