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#27 家事にチャレンジ!

私は藤井宮。隣の家に住んでいる(ほとんど)弟のカイトが大好きな女子高生!そしてそこにいるのがカイト。大体何でもできて、家事もやってくれる頼れる弟!でも、クラスメイトからは弟に頼りすぎだって言われちゃった。普通の家はそんな感じじゃないのかな?

木曜日の放課後、この前クラスメイトの山田に言われたことを思い出して、カイトに質問してみる。

「ねぇ、私ってカイトに頼りすぎだと思う?」

カイトは洗い物をしながら答える。

「...僕は頼られてそこまで悪い気はしないよ。たまに疲れるけど」

最後のほうが小声でよく聞こえなかったが、そうなんだ。

「そっか~」

そう返事をした瞬間に今の答えがおかしいことに気が付く。...今の質問の答えになってなくない?頼りすぎか聞いてるのに...

「そうじゃなくて!頼りすぎかどうか聞いてるんだけど!」

渋々カイトは答える。

「え~~...まあ、そこまで言うなら答えるけど、ちょっと頼りすぎじゃないかな。少なくとも、僕の両親はここまでしてくれないかな」

...そうなんだ。うちには家政婦さんもカイトもいるから家事全部やってくれるのは当たり前だと思ってた…まあ、家政婦さんはすぐ帰っちゃって、洗い物とかしてくれないから助かってるんだけどね。

「そうだったんだ。全然気づかなかった...ごめんね?今まで色々やってもらって。それといつもありがとう!でも大丈夫!これからはお姉ちゃんも...」

一緒に手伝うから、と言おうとしたとき、カイトが食い気味に話始めた。なぜだかかなり興奮している。

「いや!お姉ちゃんは僕を頼ってくれていいから!むしろどんどん頼って!あと、今日の夕ご飯の量多くなかった?味付けとか大丈夫だった?」

いきなりそんなことを聞いてくるカイト。ご飯はいつも通りおいしかったし、量もちょうどよかったけど...なんでそんなに怒ってるの?

「う、うん。今日のご飯も美味しかったけど...なんでそんなに怒ってるの?嫌なことでもあったの?それとも、お姉ちゃん何か嫌なこと言っちゃった?」

カイトはハッとして、少し悲しそうに答える。お姉ちゃんとしてはカイトが嫌だって言うなら自分でできるように頑張るんだけどな...

「いや...別に...ちょっと嫌な想像しちゃっただけ...いきなり怒っちゃってごめんね」

そっか。何を想像したのか聞いてみたいけど、あんまり触れないほうがよさそう。...もしかして、カイトって私に頼ってほしいのかな?...そんなことある?家事って疲れるし大変なのに?可能性としてはありそうだけど、まだよくわかんないね。...そういえば、思い出していて気づいたことがある。

「今思い出したんだけどさ、お父さんがいなくなってからカイトなんか変わったよね。なんていうか、すごく仲良くなったっていうか...お姉ちゃんのことよく看てくれるようになったっていうか...大人になったみたいな」

カイトがすごく驚いた表情で私の話を聞く。もしかして、私がカイトの変化気づいてないと思ってたのかな?これでも姉だからね。頼れるところは見せないと!

「カイトが何かつらいことあったら言ってよ?お姉ちゃんで良ければ相談に乗るから。この前みたいに泣きたくなったらいつでも泣いていいからね」

カイトはこの前、自分をクズとか言いながら泣いてたし。そんなに自分を責めなくても...と思うけど、カイトには自分を許せないことでもあるのかな。でも、私なら何でも許してあげられるから、いつでも言ってほしいな。

カイトはその言葉を聞いてさらに悲しそうな顔をしながら、小さい声でつぶやく。

「いいよ...お姉ちゃんの前で泣くのとかもうしたくないし...」

...なんでそんなにお姉ちゃんのこと頼りたくないんだろう。私ってそこまで子供に見えてるのかな...よく考えたら、カイトが私を頼ってくれたのってこの前泣いたときだけだし、本当はカイトは私のことを全然信用してくれてないのかな...私だっていつまでも頼っていたいわけじゃないんだけど...

「一回泣いたら二回目も同じだよ。大丈夫、お姉ちゃんカイトがまだ子供だってわかってるから。まあ、大人でも泣きたい時ぐらいあるだろうし、たまには泣いていいんだよ」

洗い物をする手が止まっているカイトの横まで移動し、肩を抱きながらカイトに語る。

「それに、私もよくカイトに泣いてるところ見せてるし。ね?お互い泣いていいってことで。洗い物の残りはお姉ちゃんがやっておくから、カイトはリビングで泣いてて。大丈夫、家政婦さんは休みだし、お母さんも今日はいないから」

カイトの手からスポンジを奪うと、私は洗い物を始めた。カイトは泣きながらリビングのソファに座る。本当にカイトは子供になれないんだから。もっと素直に嫌なことは嫌って言って、したいことはしたいって言わないと!

最後にカイトが本当に小さな声で呟いた。

「全部お姉ちゃんの...」

...それしか聞こえなかったけれど、カイトの言いたいことは分かった。それを聞いて他の家事はカイトと一緒にやろうと決めた。

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