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舞台から降りました

作者: こうじ
掲載日:2025/05/18

「お嬢様、これはどうしますか?」


「あぁ、それは処分でお願いします」


「こちらの絵画はどうしますか?」


「画商に買い取ってもらいましょう、少しは貴女達の退職金になるでしょう」


「ありがとうございます……」


 そう言ってメイドは涙ぐんでいる。


「泣くのは仕事が終わってからです、さぁ荷物を片付けてしまいましょう」


 私の指示に合わせてメイドや使用人達は家財道具を外へと出していく。


 今現在、私エリーシャ・リナルダは実家である公爵家の処分をしている。


 何故、こうなったのか?


 理由は簡単で我が家は公爵家で無くなったからだ。


「お嬢様、王太子様が来ておりますが」


「え? あぁ、国王様から話を聞いたのね……」


 まぁ、元婚約者だし一応話はしておかないといけない。


 ただ、ここ最近は話をする機会が無かった。


 理由は最近王太子様が聖女様と懇意にされている、という噂を耳にしていたから。


 聖女様は国を守護する力を持っていて大事な存在、そりゃあ王太子様も聖女様を大事にするよね、ていう話で。


 だから、私は別に聖女様に関しては何もしてないし話した事もない。


 だけど、なぜか私が聖女様に嫌がらせをしている、という悪い噂が流れていた。


 どうしたもんか、と悩んでいた時に今回の出来事が起きた。


 私は応接室へと向かった。


「リチャード殿下、わざわざ来ていただいてありがとうございます」


 私は丁寧に挨拶をした。


「エリーシャ! 婚約を解消する、とはどういう事だっ!? それにこの状況は何が起こったんだっ!?」


 王太子様は顔面を青くしながらも怒鳴っていた。


「それに関しては国王様から説明を受けたのでは無いのですか?」


「私は君の口から聞きたいんだ。 リナルダ公爵家が無くなるなんて聞いてないぞっ!」


「そうですね、私も驚いております。 きっかけは両親が事故に遭って亡くなってしまった事でしょうか……」


 今を遡る事、数カ月前両親は突然この世を去ってしまった。


 馬車で移動中に馬が毒蜂に刺され暴れて馬車が転倒、外に放り出された両親は暴れた馬に何度も踏んづけられ全身の骨を折られ亡くなってしまったのだ。


 当時、貴族学院の寮に住んでいた私は執事からの連絡を受けて慌てて帰宅、すぐに親戚や付き合いのあった貴族に連絡を取り、執事やメイド達と共に葬儀の準備を始めた。


「葬儀には国王様にもご出席していただいて感謝しております、そういえば殿下は何故か連絡が取れなかったんですよね……」


「そ、それは……」


「聖女様と一緒に過ごしていたんですよね? 国王様から謝罪を受けましたよ」


「あ、怪しい事はしてないっ! 彼女が町をみたいというから……」


「婚約者の親が亡くなった事よりも聖女様が大事なんですね、いえ責めるとか恨み言とかではありませんよ、私もそれなりに理解はしているつもりですから」


 まぁ嫌味の1つや2つは許してほしい。


「それで跡継ぎとかの問題になりますよね、あいにく子供は私1人で、しかも私は王太子様と婚約状態、で最初は親戚の誰かが代理になって将来的には私の子供に継がせる、みたいな話になったんです。それで財産の確認をしたら借金まみれだったんですよね」


「公爵家が借金て……」


「亡くなった人の悪口を言うのもなんですがお父様は人が良すぎて騙されやすい、と言いますか……、怪しい儲け話に乗って結局財産を騙し取られてしまったんですね、流石に借金のある家を継ぐのは嫌じゃないですか。 だから、国王様とも相談した結果、爵位を返上して家にある物を処分して借金を返済して1からやり直す事にしたんです」


「それだったら私に相談してくれれば……」


「殿下に相談してもどうしようも無いんです、それに既に私の悪い噂が出ていて避けられていたので……」


 そう言うと王太子様は俯いた。


「なので公爵令嬢でない私が殿下と婚約してるなんて無理な話じゃないですか。 ですので婚約は解消する事になったんです」


「君はこれからどうするつもりなんだ?」


「私は平民として田舎で暮らします。 国を離れる事はしませんが貴族社会に復帰する事はありません。 殿下とも会う事は無いと思います。 改めてですが殿下今までありがとうございました」


 そう言って私はお辞儀をした。


「エリーシャ……、すまなかった!」


 突然、王太子様は土下座をした。


「私がエリーシャとの婚約を望んでしたのにいつの間にか君を避けていた……、もっと君と話したりコミュニケーションをとれば良かった!」


 うぅ、と涙を流しながら私に謝った。


「殿下、次婚約者となる方には優しくしてくださいね」


「本当に、本当にすまない……」


 暫くして後始末を終えた私は田舎へと引っ越していった。


  




 

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